【訃報】チェザレ・マエストリ逝く
イタリアの登山家、チェザレ・マエストリが1月19日亡くなりました。91歳の生涯でした。
御子息のジャン・マエストリがfacebookで公表しました。死因は明らかになっていません。
Il mondo dell’alpinismo piange Cesare Maestri morto a 91 anni by lecconotizie.com2021.1.19
『宿敵』ラインホルト・メスナーと腕を組んで語り合う晩年のチェザレ・マエストリ
チェザレ・マエストリといえば、池田常道氏に洗脳された日本のクライマー諸氏はマエストリ=セロトーレ疑惑でしょうが、そもそもは非常に優れたソロクライマーでした。『ドロミテの蜘蛛』と異名を持つチェザレ・マエストリが行った、生涯のクライミング約3500のうち、3分の1は単独登攀と言われています。
セロトーレ疑惑後のチェザレ・マエストリの動向については、思考停止した日本の山岳メディアはほとんど取り上げていませんが、その後も精力的に登山活動を続け、2002年には72歳でシシャパンマを目指しましたが、ドクターストップで断念しました。
その逝去をイタリア州政府、また晩年までしつこくセロトーレ疑惑を検証した映画を製作し、家族からクレームを受けていたラインホルト・メスナーも「非常に優れたクライマー」として哀悼の意を表しています。
当ブログでも以前に取り上げましたが、チェザレ・マエストリ氏はイタリア山岳会の名誉会員であり、ベローナ大学の体育学名誉学位を授与されている地元の名士です。
一方、山と渓谷社ウェブサイトにおいては『大悪党』という表現まで用いられました。
遭難事故などで「死者に鞭打つな」とはよく耳にしますが、クライミング倫理に一度でも反した生者は、永遠に石を投げつけられるのでしょうか?
日本の山岳メディアには再考と猛省を促します。
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