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21世紀における、エベレスト登頂と国家の威信

2005年春、Vojvodina(ボイボディナ)の登山隊がエベレスト登頂を目指す。

2005 Vojvodina everest expedition by everestnews.com  

ボイボディナと言っても、多くの日本人にはなじみがなかろう。
私もeverestnewsを読むまで、その存在を知らなかった。
旧ユーゴ、セルビアモンテネグロ国内に位置する自治州である。同じセルビア国内の自治州としては、コソボがその悲惨な内戦で知られる。
登山隊はボイボディナ登山協会によって組織された。同国のクライマーは南米、ヨーロッパ、オーストラリアと各大陸の最高峰に登頂、まだエベレストに登頂していない。2005年中に登頂したい・・・というのが記事の主旨。この登山隊は当初予定していたネパール側からの登山計画を変更、北面に転進している。

 ヒマラヤ初登頂時代においては、その山を有する国および登頂者自身の国旗を掲げるのがセレモニーであった。
 以降、「個人の行為」としてのヒマラヤ登山が隆盛をきわめるにつれ、頂上で国旗を掲げるシーンは少なくなっていく。また、旗を掲げる行為自体についても、批判的なクライマーの論評を目にすることもある。

 一方、動乱の20世紀後半は東欧、中央アジアに新たな新興国を産み出した。その一つが旧ユーゴ一帯である。
 該当のeverestnewsでは触れられていないが、『The only peak they are missing is Everest・・・』というくだり、あくまで筆者個人の感想であるが、登山隊には、セルビアとは独立した集団であることの誇りを感じる。
 幾つかの国家が産まれ、その国家の数だけ、国家「初」登頂の記録が生まれる。それ以前に、新興国の人々にとって地球の最高峰に立つという行為・・・命をかけるに値する、当事者達にはかけがえのない「国家の威信」を示す行為なのかもしれない。
 かのラインホルト・メスナーも、当初はイタリア人として日本に紹介されていたが、8000m峰に持ち込んだのは「南チロル」の旗である。
 
 このニュースのタイトルによれば、本年4月3日にはマオイストが中・ネ国境を閉鎖するため、ボイボディナ隊は2日に出国するとのこと。登山隊の無事成功・帰還を祈る。

※追記:本文を読み返すとボイボディナ隊はバリバリの国粋主義者に思えてしまうが、everestnewsによればボイボディナのクライマーによるモンブラン登頂は1924年。山のない平らな地方だが、古くから登山の伝統はあるとのことです。

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