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黒いダム

新年度を迎え、会社で机の周りをお片づけ。
一枚のデータCDがでてきた。
日本における水文学(地下水学)の大家、故・山本荘毅先生による「日本の地下水」だ。
太平洋戦争直後、農地開拓のため日本各地で盛んに地下水開発が行われた。戦前から地下水研究を専門としていた山本先生は、農林水産省の担当者として調査に従事された。
この際の日本全国にわたる地下水・地質資料を、立正大学時代の私の恩師である高村弘毅先生が中心となってとりまとめ、日本地下水学会が発行したCDである。

私が立正大学地理学科に入った当時、すでに山本先生は退官されておりお会いする機会はなかった。
今の会社に就職した翌年、日本地下水技術協会の全国フォーラムが山形市で開催された。先生が会社顧問を務めていた縁で、偶然にも私が山形駅から先生を送迎することになったのである。
大先生をお迎えすることで、だいぶ緊張した私はすっかり近道を忘れ、遠回りの道に車を進めてしまった。
助手席の取締約から、
「おい大滝、ずいぶん遠回りでないか?」
と言われたとき、
「これは扇状地をぐるっと廻るルートですねえ」
山本先生がそう仰ってくれたおかげで、だいぶ車内の空気が軽くなった。
同時に、さりげなく扇状地を廻るルートと指摘する先生の言葉に、研究者としての凄みを感じたのであった。

山本先生は生前、地下水包蔵体としての火山を「黒いダム」と呼んだ。
私が昨年ブナ林ガイドを務めた月山では、主役はあくまで「ブナ林」であり、地下水涵養の立役者として強調される。
私個人は、ビジターの方々には火山としての月山にもっと目を向けて欲しい。
だが巧いきっかけが見あたらなかった。
黒いダム。
これをキーワードに、地形地質の視点からの解説も試みてみたいものだ。

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