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車椅子のクライマー

槍の北鎌尾根に初めて登ったのが、19歳の春。
その時、聾唖の二人組と一緒になった。
幕営地で肩を叩かれ、振り向くと一枚の紙を渡された。
紙には、
『ラジオで天気予報聞いてましたら教えて下さい』
と書かれていた。
ああ、そうか、聞こえないというのは、こんな不便もあるのか、と改めて考えさせられた。
同時に、ハンディを抱えてまで北鎌に登る、人をひきつける山の魅力にも思いを新にした。

Climbing誌の広告で車椅子の人が人工壁に対峙している写真を見た。
そして、こんな報道が。
Wheelchair-bound get a lift with rock climbing by ピッツバーグ Post-Gazette

車椅子の人たちは、滑車システムを駆使して人工壁のクライミングを楽しむ。
第一人者、マーク・ウェルマンはエルキャプやハーフドームなどのビッグウォールからシャスタ山などピークハントまで、その活躍はハンディを感じさせないほどである。
クライミングのようなマイナースポーツにも、果敢に障害者がチャレンジする。
俗な言い方だが、その姿はアメリカらしいと私は感じる。
極真空手出身の、著名な空手の先生のエピソード。
アメリカで道場を開いた際、車椅子の入門希望者が現れた。
それまでは相手を倒すこと・勝つことに目が向いていた先生は、車椅子の入門者を前に、何をどのように指導するか、考えこんでしまったという。

努力が足りない・根性が足りないと罵倒するだけの上級クライマーがよくいる。
私自身トライアスロンや素人マラソンを経験して思うのだが、日本の登山やクライミングの世界での「コーチング」技術は他の競技に比べて20年は遅れている。
何が足りなくて、どこを伸ばすのか。
それをどうやって見つけ、どのように相手に伝えるのか。
障害者がクライミングを楽しむ。
障害者自身の前向きな姿勢だけに目を奪われがちであるが、それをとりまく環境・・・指導する人間も前向きな研鑽を積んでいる成果だと思う。

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コメント

はじめまして、
ずいぶん前のブログにコメントで恐縮ですが、知人が発見をし、教えてくれました。
 
私は視覚障害者を主な対象としたクライミングスクールを運営するNPO法人モンキーマジックを主宰している小林幸一郎と申します。

指導方法に関するコメント大変に興味深く読ませていただきました。 私は代表であると同時にインストラクターの1人を勤めさせていただいています。 そして私も視覚障害者のひとりです。

こういったプログラムにはご指摘のとおり、当事者の姿勢がまず大切なのですが、それと同時に指導者、主催者の知恵絞りが重要です。 前例が非常に少ない分、苦労も多いのですが私がよく両者の立場で意見を出し合います。

とかく「出来ない」理由が付けられることが多い分野ですが、どうしたら「出来るか」。 そんな方法を考えてゆくことが必要だと思っています。

ぜひいつかどこかでクライミング、ご一緒させていただきたいです。 

投稿: 小林幸一郎 | 2006.03.14 12:26

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