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アイガー遭難報道におけるマスゴミの暴走その2

アイガー遭難報道において、先の項では遭難者の身元調査「のみ」に奔走するマスゴミの姿勢に疑問を提示した。
マスゴミの報道姿勢においてはもう一点、先走った報道姿勢がみられる。
問題の記事は、産経新聞。早々にリンク削除される可能性があるため、あえて全文掲載する。

スイス 登山の61歳邦人死亡 クレバスに転落2人重軽傷 by 産経新聞夕刊7/19
記事引用開始
 外務省に十八日入った連絡によると、スイス中南部にあるアルプスのアイガー(三、九七〇メートル)で山歩きをしていた日本人男性三人が、氷河の割れ目に転落するなどして一人が死亡、二人が重軽傷を負った。
 事故が起きたのは、十七日昼で、AFP通信などの報道によると、一行は子供を含む六人でスイスを訪れ、うち大人三人が山歩きをしていた。三人はロープで体を結び、アイガー南壁の三千百四十メートルの地点で岩登りの最中、二人が深さ四十メートルのクレバスに転落。うち、六十一歳の男性が死亡、一人は重傷を負った。残る一人もけがをしているという。三人が遭難しているのをガイドが見つけ、ヘリコプターなどで捜索した結果、転落した二人を発見した。一人は既に死亡していた。
 外務省は、家族の要望として死傷者の身元を明らかにしていない。三人とも西日本在住といい、旅行代理店のツアー客ではなかったという。現地大使館員が病院に駆け付けた。入院中の二人は医師に状況などを説明している。
 アイガーはアルプスを代表する山の一つで、特に北壁は険しく、アルプスで最も困難なルートの一つとされる。
 ≪増える中高年遭難 ツアー人気海外に拡大≫
 中高年の登山ブームの中、旅行業者が山小屋や現地への交通手段を手配し、参加者を募る「ツアー登山」が増えている。旅行会社などによると、アイガーをはじめヨーロッパアルプスをめぐるツアーも人気を集め、ツアー登山は国内から海外へと広がりをみせている。
 人気の背景には、海外旅行のツアー料金が安くなったことや、体力や登山技術のない人でもトレッキングシューズで気軽に歩き回れるハイキングコースが設けられていることがあるという。一方で、山岳雑誌「山と渓谷」編集部の担当者は「氷河はハイキングコースとはまったく次元の違う世界。ピッケルやアイゼンといった装備をしていても転落の危険はある」と指摘する。
 海外でも日本人が山岳遭難などに遭うケースも増えていることから、外務省はホームページなどで中高年向けに注意を呼びかけている。
 国内ツアーにかぎれば、旅行業者七十社が加盟する「旅行業ツアー登山協議会」(事務局・東京都千代田区)の加盟社が扱うツアー参加者は年間約二十六万人で、うち約八割が中高年だという。
 日本山岳協会(東京都渋谷区)の八木原圀明事務局長によると、中高年の間で登山ブームが広がったのは数年前。「体力は年齢とともに衰えているため、遭難の危険性は増す」と指摘する。
 また、若いころに登山を経験した中高年の場合、以前と同様に体力があると過信しがちなため、未経験者が始めるよりも危険性が高いといい、八木原事務局長は「体力を過信せずに計画を立てることが重要だ」と説いている。
 記事引用おわり

 一読いただければおわかりのとおり、この記事は
  取材による事実の記述
  「増える中高年遭難 ツアー人気海外に拡大」と題する論評
 の2部構成となっている。
 ここで、筆者は次の疑問点を提示したい。
 1.前半部で「旅行代理店のツアー客ではなかった」と報じながら、後半では「ツアー登山が増えている」とし、山と渓谷誌編集部担当者のコメントを引用、ことさらに登山の危険性を強調している。その意図は何なのか。
 2.八木原氏のコメントとして「若いころに登山を経験した中高年の場合、以前と同様に体力があると過信しがちなため、未経験者が始めるよりも危険性が高いといい」「体力を過信せずに計画を立てることが重要だ」というコメントを引用している。八木原氏のコメントは全くの正論である。しかしながら、遭難者の身元がまだはっきりしていない段階、すなわち登山経歴や技量も判明していない段階、まして事故の本質的な原因も確定されていない段階で、八木原氏の論評を持ってきた新聞記者の姿勢は正しいのか。

 本件の産経新聞の報道姿勢、ずばり
 60代登山者の遭難→無謀登山といいたくて仕方がない姿勢がかいま見える。
 私、産経新聞のはっきり物言う論調は好きだが、暴走はいけないな。
 三浦雄一郎氏のエベレスト登頂の際には、いずれのマスゴミも高齢者の行動力をもてはやしていたが、無名の人物の遭難は攻撃の対象となるらしい。
 この記事、かつてクライミングジャーナル誌で公開質問が掲示された、朝日新聞社によるメルー峰遭難に対する人権蹂躙・無責任記事および武田文男氏の無責任答弁と同類といえよう。
 マスゴミの登山に関する報道姿勢は、ここ20年まったく変わっていないのだ。

 不思議で仕方がない。
 マスゴミ関係者は優秀かつ切れる方が多いのに、まともな登山関係の報道が少ないのは何故なのか。
 かくいう私自身、正確には私の所属する大学山岳部の先輩方が以前、遭難騒ぎに直面して押し寄せるマスゴミの対処に追われた。
 現地(山)にいた私は伝聞でしか知り得ないのだが、伝聞であってもマスゴミの横暴な態度には驚かされた。
 マスゴミの使命は権力の監視などと称しているが、自分達がもはや第四の権力と呼ばれ恐れられていることに未だ気が付いていないのだろうか。

 話は変わって、若かりし頃、遠征登山と会社の狭間に揺れていた頃、短い会話でしたが八木原さんにはピシッとムチを入れていただいたことがありました(ご本人はもうお忘れでしょうが)。お元気そうで何よりです。
 

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