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エベレストの標高に絡む思惑

先日、中国が発表したエベレスト/チョモランマの新標高。
それを受け、私が注目していたのはインドとネパールのメディア。
ヒマラヤを挟む「敵対国」、中国に続く経済新興国インド。
経済発展が進む大国に文字通り挟まれ、政治も混乱している世界最貧国のネパール。
いずれもメディア上では静観をきめていますが、その論調の微妙な違いに、国の立場が現れています。

インド 
真実かハッタリか?エベレスト新標高 The telegraph インド・カルカッタ10/10

記事によれば、ヒマラヤ山脈の地質学に精通するインドの科学者のコメントとして「中国の主張についてコメントするのは現時点では早急、そのデータを確認したい」としています。
また、中国測量隊がGPSを用いたことについては「しかし、GPSは地殻の垂直運動よりも水平運動に鋭敏である」(ハーシュ・グプタ博士、ハイデラバード地球物理科学研究所の元責任者)のコメントを掲載しています。

ネパール
ネパール当局は新標高にコメントせず newkerala10/10

この記事についてはインド・ネパール両国で同様の記事が配信されていますが、どうもチョモランマ測量隊の経緯・動向については、中国側からネパール政府に対する公式通達は何も無かったようで、秘密裏・一方的などと表現されています。(the Chinese survey has been unilateral, bordering on the verge of secretiveness)
記事中、ネパール登山協会書記官のブミ・ラマ氏のコメントが載っています。いわく、

「良い関係のために、エベレスト山の新標高についてはネパール、中国、インド間で議論が必要」
「我々が8844mをエベレスト山の正確な標高と認める前に、新標高はネパール測量部によって支持されなければなりません」
「エベレスト山が伸張しているとされたときも、我々は8,848mを支持しました。縮んだという場合でも、我々の姿勢は同じです。」

ラマ氏のコメントは、すなわちインド政府が1955年に公式発表した標高8848mを支持するものである。後者の「伸張したとき・・・」とは、90年代のアメリカ地理学会の測定結果8850mに対するものである。この際も、ネパール政府は8848mという標高を支持し続けている。
 このようにチョモランマの標高とは、インド、ネパール、中国各国の思惑とメンツがかかった数字なのである。
 事実上、国際政治的には発言権も皆無なネパールが、標高に関してはあくまでもインド支持という姿勢は興味深い。また、自国の測量部が確認の上で新標高を認めるという姿勢は独立国家としても当然であろう。

 国家間の紛争が煩わしいから竹島なんて韓国に譲ってしまえ、などと公言する売国メディアや平和運動の仮面を被った左翼評論家には到底理解できない、国家の矜持が一つの山の高さにこめられている。

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