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山に魂を抱かれる男

久々にぶっとんだクライマーの物語を韓国から。

“山をする”ビッグウォールクライマー文宗国(ウンジョグック) by 全羅道ドットコム12/12

彼はフリーターだ。
世界どこでも、よじ登れる壁があれば、そこが彼の職場だ。
巨大な岩壁に身をあるいは命を任せている間、彼は自由だ。

「山をする」 登るとかではない。 彼にとって山は「する」のだ。
職業の意味としての山だ。 彼の ‘山をする’という文章の中には、生の微細な細胞たちが圧縮されている。 世界の限りない巨壁を登り、その岩壁を指の力で感じる間、彼の魂は山を抱く。
ビッグウォールクライマー文宗国(38)

(中略)

1993年、北米の最高峰マッキンリーとヨセミテに登った。
他人が可能ではないと言い、登山に対する基本的な情報さえ無いから選択した。
当時まで、ビッグウォールクライミングはここ韓国ではやり手のいない領域だった。ヨセミテさえ情報が全くなかった。ヨセミテは垂直900mの険難な岩壁だ。世界で一番登りにくいという岩壁コース 10個中 7個がそこある。 しかし天気が予測可能でボルト確保が確かで安全な登山が可能だ。彼もその山を通じて岩壁登山を始めた。

ただ 7mm ザイルだけが生命与える
ヨセミテが象徴ならヒマラヤトランゴタワーは夢だ。垂直高 1500m、登攀に一週間を要する巨大な岩壁。
彼は行かなければならなかった。
そこは夢だった。資金を用意したが 400万ウォン不足だった。もう出発日は近づいた。前日に4人の先輩にカード一枚ずつ借りて、100万ウォンずつキャッシングした。そして夢のトラングゴタワーに行った。
「10年は老けたようだった。トランゴタワーに登る大変な過程を経て頂上に登れば、世の中すべて私のもののように感じられる喜びを知った。」
トラングゴタワーのような大岩壁では寝食も、何日間もひたすら岩壁にはりついて登る。 ザイルが切れれば死ぬ。通常は9〜11mmのザイルを使う. しかしこの時は 7mm。 命より山に登るのが大事なだそうだ.

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セロトーレ登攀中の文氏。

 南米のセロトーレは悪天候で悪名高い。ヒマラヤは3日晴れて3日吹雪が続く、予測可能な天気だが、そこは晴れてもまたすぐ強風が吹き、雪が降り続く。セロトーレで晴天の日は年に30日程度だ。そこを登るには登山時間を縮めなければならない.

「死は、岩壁の上から下を見下ろす時の恐ろしさのようだ。ずっと岩壁に沿って見れば恐ろしさが消えると思った。 ところがそうではない。ただ少し、感覚が鈍くなるだけだ。死もそうだ。ずっと死がそばにいて暮すのに、感覚が鈍くなるだけだ。」

(中略)

彼は今、登山を広めるためにビッグウォール登山教室「Sun&Moon山岳文化」を運営する。
ビッグウォールクライミングは「諦め」との喧嘩だ。岩壁に身を任せ登りながら、いつでも諦める言い訳を自ら捜しているのがビッグウォールクライミングだ。
 彼の教育はスパルタで厳しい。教室を運営して6年経ったが、完全に卒業した人はまだ 20人もならない。

 ひととき彼がヨセミテとセロトーレの単独登攀を企てたことも、人々に「諦めない」ことを教えるためだ。岩壁登攀は 2人1組が基本、一人が先に登り、他の人が事故に対処する。そのシステムを放棄した時、本当に山と一つになれると彼は信じる。

「この前は死んでも良いからあの山に登らしてくれと祈った。今は違う。下界に住む場所がある。下界にもまた山がある。また他の人達と一緒に登ることもできる。」
彼は一生山が職場なら、と願う。誰かと一緒に山に登っていて、生を終える瞬間が来るのを願う。ある日自分が 1500mの巨壁トランゴタワーを単独で登って墜落したという知らせを聞いても、決して悲しまないでくれと言う。

 岩壁がそこにあり、彼は行き、登るしかない。

 抑えた文体の記事に、文氏の凄みが伝わってくるようです。
 その生き方・思想に賛同はしませんが、韓国隊がヒマラヤや世界各地の「危険な」ルートで成果を上げている秘訣が垣間見えるような、そんな記事です。

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