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ぢょしこうマニュアル・キャンプ編

正月、親戚廻りの空き時間に昨年末に届いた「野外教育研究」を読む。
野外教育学会の学会誌である。
巻頭に掲載される基調講演とかシンポジウムの議事録に、自然学校運営などの裏話・問題点・最新の動向が掲載されていて学会誌とはいえ見逃せない情報元である。
今月号は・・・原著論文に釘付け。
タイトルはずばり、
『キャンプ経験による 女 子 高 校 生 の自己概念の変容過程』

おおっ!!
女子高生だよ女子高生!!
しかも共著者に野外教育界の重鎮・飯田稔先生の名前がっ!
山形県朝日少年自然の家のサポーター活動にも、時々ボランティア活動の一環として現役高校生が参加することがある。
その時の印象でいえば、女子高生ってプリ帳見せびらかす無邪気な一方、事象の本質を鋭く見つめる一面も覗かせる存在である。

で、肝心の論文の内容だが。
著者である筑波大大学院の渡邊仁氏は「・・・内的にも外的にも混沌とした高校生にこそ、キャンプの効果が認められるのではないだろうか」として、「もっとも複雑な心理状況を呈している女子高校生を対象と」した研究の意義の大きさを強調されている。
うーむ、この緒言を読んだだけでおじさんワクワクしてきたぞ。
調査対象となったのは八ヶ岳山麓で4泊5日のキャンプ生活しながらクラフトや登山活動を含むプログラムを経験した女子高校の生徒66名。
テント設営はいきなり・いまどき、 家 型 テ ン ト 。
しかも教育効果を目的に、設営場所と備品倉庫は50~100m離れ、装備運搬にもお互いの協力が必要に設定されているとのこと。

野外教育、キャンプとか登山の効果なんて主観的なもの、どうやって調べるの、と一般の方は疑問に思うかもしれない。
この点、教育界の先生方は超小型ビデオカメラを子供達に取り付けたりと、涙ぐましい努力をされている。
この論文の調査では、一般的なアンケート調査。
 『ヒロコ~、このアンケートかったるいよ~』
 『もうテキトーに書きゃいいんだよ』
・・・と、いう女子高生の姿が目に浮かぶようであるが、こーいうのを省くために統計処理ってあるんだろうな。

さて、調査結果の一部であるが。
論文によれば、キャンプを経験した女子高生の心理的変化は・・・

「自信と自己受容」因子(具体的には、テント作りでの仲間意識、自分の存在価値の再認識)は向上。
「達成動機」「努力主義」「他者のまなざし意識」に変化はみられなかった。

この「変化はみられなかった」という項目に、けっこう冷めてる女子高生像が伺えて興味深い。
論文は、年齢層の違いによってキャンプ効果も異なることを示唆している。

登山が大きく自己概念の認識に影響を与える、という結論はちょっと嬉しい内容。
緒言で述べられているように、複雑な心理状況を呈している年代であるからこそ、野外活動の成果・効果も大きいとは言えまいか。
論文が指摘するように、高校生を対象とした野外活動というのは、浅学な私からみても少ないような気がする。
修学旅行で外国まで行って謝罪文を読みあげて自己陶酔するよりは、近場の野山で自分に向き合うことも、また良いのではないだろうか。

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