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素晴らしき森と人々

moon左から湯殿山、姥ヶ岳、月山(石見堂岳に続く稜線から撮影)


石見堂岳は夏道が無い。
山スキーの記録が散見される、月山と朝日連峰の中間に位置する堂々とした山。
別のクラスのちょっと可愛らしい女の子のような、気になる存在ではあった。

志津集落・清水屋旅館のご主人であり現役マタギの今野さんを先頭に、石見堂岳に続く稜線の森へとスノーシューで入る。
今野さんのお話・・・狩猟の経験に基づく熊やウサギの生態、ブナ林の様子は聴いていて面白い。
私は口下手であり、登山でも会社でも手痛い大失敗を続けていた。
それゆえブナ林ガイドに志願、人様とのコミュニケーションに関する書物参考書に目を通し、インタープリター養成講座などなど顔を出していたが・・・
そんな修練など積んでいそうにない今野さんの話に、参加者の皆さんが惹き付けられるのは何故なのだろう。
インタープリターに関する本とか講習なんて無駄なのか、と考えさせられてしまった。
推測するに、今野さんの狩猟の実体験→実体験ゆえの揺るぎない自信→参加者にとって心地よい解説 になっているのでは、と思う。
 一番印象的な話は「熊の血」。
 熊を仕留め、解体する時、毛皮と肉の間にどうしても血が溜まる。
 すると、集落の年寄りがペットボトルなどを手に集まってくる。
 熊の血を、そのまま飲むのだそうだ。
 今野さん自身は不味くてダメ、とのことだった。血を飲むことに何か儀式的ないわれがあるのかと思いきや、年寄り連中にとっては熊の血は「脂っこくて美味い」らしい。
 自宅から車で1時間たらずの地域で、こういうワイルドな生活文化があるとは思わなんだ。

 石見堂岳に続く稜線。
 立派な太いミズナラ、ブナが林立しており、博物園でお世話になっている仙人の異名をとる工藤さんも感心しきりだった。いや、ブナ林ガイドのはしくれの私にも素晴らしさを感じる。
 なんといっても熊棚や、樹幹の無数の熊爪の跡など、熊の痕跡が大量にある。インタープリターのコースとしては最高である。

 kumakuma無数の熊爪の跡が残るブナ

 今回はあらためて月山の懐深さを知った山行であった。

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山岳ガイド日記」カテゴリの記事

コメント

「別のクラスのちょっと可愛らしい女の子」ですか。
なるほど、と、微笑んでしまいました。
上の記事を読んだら、石見堂岳に行って実際に熊の跡を見てみたくなりました。

投稿: S | 2006.03.27 14:25

いや~、予想以上に素晴らしい森でした。低気圧と前線通過で天気が危ぶまれたのですが、お陰様で天気は保ち、記事冒頭画像の素晴らしい眺めも堪能できた一日でした。

投稿: 聖母峰 | 2006.03.27 18:14

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