鳥海山頂にて、女性に目覚める。
天気図から、停滞前線は日中弱まると予想し、鳥海山へ向かう。
すぐ南の新潟には大雨洪水警報が出ている。速攻で夕方までには戻ることにしよう。
滝の小屋下駐車場に着くと、東芝日曜劇場のような雲海に日の光。
アカハライモリくん、きみはどうしてこんなところを歩いているの?(心字雪渓にて)
頂上稜線から、やはり激しい雨になってしまった。
標高2236m、巨岩を積み重ねたような新山には大勢の団体ツアー客がとりついていた。
新山の登りは「歩く」ではなく「攀じ登る」である。
雨で岩が滑りやすい中、傾いた岩の鋭角部分に足を乗せたり、フリクションを効かせて登らなければならない。
韓国のハイカーは凄い岩場をロープ無しで歩くといわれるが、日本の中高年もなかなか大胆である。
うしろで順番まちをしていた私、岩場にオコジョをみつけた。前でつまっている登山者のすぐそばだ。
「オコジョッ!オコジョッ!」
と、声をかけるが、前を行く登山者たちは岩場の登りに必死。
私の声に 誰 も 耳を傾ける者なく、気づいてくれなかった。しくしく。
やがて新山頂上が目前数メートルというところで、大渋滞が発生。
どうやら、十数人の団体さんがすれ違えないでいるらしい。
「もうこっち場所ないねん!」
「そっちから降りなさいよ!」
「道こっちにあるのよ!」
不慣れな岩場で緊張しているのだろう、ヒートアップした関西弁のおばさんの罵声が飛び交う。
このときの私の気持ち↓
ルートから外れたテラスに移動し、ザックをおろし、パンを食いながら渋滞解消を待つ。
同じ関西弁のおじさんの仲裁をものともせず、ルートをめぐる戦いは続いている。末期のイラク戦争のようである。
激しい風雨の中、関西弁のおばさんの罵声を聞きながら、標高2236mでパンを食う。
なんてシュールな光景だろう。
そこへ、単独できたらしい赤い雨具の女の子が話しかけてきた。
富山からいらっしゃったそうで、仲間たちは反対側から新山めざしているとのこと。鳥海山の後はさくらんぼ狩りに行くそうだ。
整った顔立ちの、とても可愛らしい方で、話していると和んでくる。
上から聞こえる罵声の持ち主と、今、私の目の前にいる彼女が生物学上、同じ生き物とは、とても思えんな・・・彼女も歳を重ねたらああなるのか?
うーむ、まさに女体の神秘である。
激しい雨が降ったり止んだりの中、登山口に戻った。
美しい花々を愛でるには、雨をいとわず、梅雨時前後の山に通うに限る。
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コメント
こんにちは。
月山を検索してたらここがひっかかりまして。写真と文のからみが面白い! ガハハハッ (これでも私、女)
山岳徘徊も30年。北&南アルプスは今やジジババ軍団に占領されてしまいましたので、人気の無い僻地をさまようようにしています。一人、道もないような山で小動物に囲まれながらの食事は森の中の白雪姫(←絶対ムリだわ)。
また寄らせてください。
投稿: かもめ | 2006.07.23 15:56
かもめさん、はじめまして。
<<小動物に囲まれながらの食事は森の中の白雪姫
飯豊では登山道の真ん中で熊がお食事していたりするので、『森の熊さん』の世界にひたれますです。落とし物は届けてくれませんが。
当地・山形の山も人気ルートは大勢の登山客でごったがえしますが、静かで良い意味の僻地もたくさんあります。
お互い、僻地を存分に楽しみましょう。
投稿: 聖母峰 | 2006.07.25 09:19