山伏
北海道沖の高気圧が踏ん張ってくれることを期待し、庄内側から月山に向かう。
この時期の雪渓を把握しておきたい。
庄内側の起点となる月山八合目駐車場。
標高が高く、駐車した車のタイヤそばにハクサンチドリが咲いておりドキッとする。
登るにつれ、大粒の雨と風はひどくなる。
登山路は大きな岩のガラ場、片足を上げた時に何度かバランスを崩しそうになる程の風。
7月だというのに、手がかじかむ。
仏生池小屋で飲むコーヒーの熱さが腹にしみていくのがわかる。
小屋を出たところで、スゲ笠に白装束の一団とすれ違う。
強風の中、みんな表情は必死だ。
格好は半透明の安価なレインコート、ジョギングシューズ、簡単なナップザックといういでたち。
山ではない。
彼らにとって、ここは参拝の場所なのだ。
杖にすがりながら、おぼつかない足取りで降りていく女性をみて思う。
みんな、何を願うんだろう。
みんな、何かにすがりたいんだろうか。
山は無数の花に覆われていた。
白装束の一団は、花には目もくれず降りていく。
激しい風雨の中、沢山の花が揺れている。
大通りを行き交う無数のサラリーマンが一瞥をくれることなく、それでも踊り続けるストリートダンサーを連想する。
一団が通り過ぎ、また私一人で登り続けていると、
ミヤマシオガマの群落。
ミヤマシオガマは月山でも庄内側にみられる希少種。
一般的なヨツバシオガマよりも、花が濃厚で好きだ。
荒天の登頂をすませ、再び八合目駐車場に降りてくる頃には天候は穏やかになった。
ところで、白装束の参拝客を引率していた山伏の方。
立派なホラ貝を携えてました。
おお、すごい・・・と振り向いてみると、背中には
ド派手な色の、小さくて可愛らしいミレーのザックを背負ってました。
これが 和 風 フ レ ン チ ってやつですかい。
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