« にんげん様のおとおりだいっ!! | トップページ | おら東京さいぐだ~ »

氷壁のワンダーランド

Yama1

パキスタンの登山事情を知るため古書店にて購入。
1985年の福岡大学山岳部隊によるナンガパルバット・ディアミール壁遠征の報告書である。
特筆すべきは、隊員紹介のページ。
多くの登山報告書は登山中の隊員のスナップ写真を掲載するものだが、同報告書は登山中および勤務中の二枚の写真を対照的に配置しているのが印象的である。
惜しむらくは、登山活動、特に上部キャンプから登頂に至る行程の明瞭な写真が少ない点であるが、それだけ過酷な頂上アタックであったと推察される。
しかし、その短所を補ってあまりある構成・まとまりの良い報告書である。
ナンガ峰の登山史、隊員達の遠征参加に至る経緯、各係の報告。
報告の中で特徴的なのは、隊員による座談会形式で登山活動を振り返っていること。
後々改まって筆をとった文章よりも、やはり本音がにじみ出ており、それだけ臨場感あふれる報告書となっている。
その座談会の中で、隊員の自己管理がしっかりできたことは大学山岳部のタテ社会の効果の一面ではないかという意味の会話がある。
ふりかえれば、80年代から90年代初頭は、部員が減少しつつあった大学山岳部が「8000m峰登頂」という目標を掲げ、最後ともいえる花を開かせていた時期であった。
「氷壁のワンダーランド」はその大学山岳部の活動期を象徴する、よくまとめられた報告書といえよう。

|

« にんげん様のおとおりだいっ!! | トップページ | おら東京さいぐだ~ »

山岳ガイドが読む本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21370/12393900

この記事へのトラックバック一覧です: 氷壁のワンダーランド:

« にんげん様のおとおりだいっ!! | トップページ | おら東京さいぐだ~ »