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暖冬のブナ林

来月の下見も兼ねて月山に入る。
風は弱いが激しい降雪で視界不良。

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例年なら屋根まで埋まっている月山ビジターセンターも、二階が顔を出している。
備え付けの雪尺では、積雪はわずか3mだった。

冬の月山に入る度、あるガイドネタを求めている。
それは冬ごもりする生き物を見たい、というテーマだ。
生き物を拒絶するような雪山で、生命の証のようなものを確認したかったのだ。
ときおり樹皮をめくってみたり、

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木霊でも棲んでいそうな穴を覗いてみる。
私の観察眼が悪いのか、特に何も見あたらない。

ブナ林に入ってしばらくして、目前をウサギが走り過ぎていった。
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久々に目撃する動物の姿に、しばし見とれる。

マスコミは決まって冬山を「銀世界」と呼称するが、現実の冬山はモノクロームの世界である。

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そんな冬のブナ林で、ヤドリギが好きだ。
青々としたヤドリギに実った実の鮮やかな黄色が、モノクロームの景色に映える。

昼食前、雪洞掘りの自主トレ。
某国際山岳ガイド氏の言葉では、一人用雪洞を掘るタイムリミットは10分。
誰もいないブナ林で、ぜーぜー言いながらスコップをふるう。
ムジナ型雪洞の完成に12分。
余計な2分は、要領の悪さか、トシによる体力不足か。

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風が吹き始めたが、雪洞の中の静寂を味わいながら行動食をとる。

雪洞造りは場所の選定と雪質に大きく左右される。
今回は表層に3~40センチほど粉雪が積もっていたが、暖冬を反映して直下は堅い締まり雪とザラメ雪、ブロックにして掘りやすかった。例年の腰までくるようなパウダーなら、もっと雪洞造りに難儀していたろう。
昨秋、不幸にして遭難されたガイド氏が「過去の雪洞造りで苦手そうだった」という伝聞が一人歩きして、遭難を扱うブログはじめネット各所で叩かれていた。
正直、何様のつもりだ、という気がする。
頭の中ではさぞ雪洞造りが上手いであろう匿名の各氏と違い、私は不器用なので地道に修練を積むしかない。

行動食を食べ終えた。
スノーシューのツアーコース直近なので、念のため雪洞を埋めておく。
せっかく作った雪洞を埋めるのは、気に入らない作品を叩き壊す陶芸家のような心境だった。

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コメント

 本当に雪が少ないんですね。昨日も新潟の豪雪地帯の映像みて、2階に冬用の玄関があるんですけど、積雪40cm。1階の雪囲いも無用のヨロイで、村人も「こんな冬は記憶にない」とのことでした。こうなると融雪後の水不足が心配になります。
 夏のアルプス稜線はここ数年来、水不足。人が多すぎるのも一因ですけど、水場が涸れていることもあり、ザックの重量がその分、重くなってかないません。

投稿: かもめ | 2007.02.12 11:11


>昨秋、不幸にして遭難されたガイド氏が「過去の雪洞造り>で苦手そうだった」という伝聞が一人歩きして、遭難を扱>うブログはじめネット各所で叩かれていた。
>正直、何様のつもりだ、という気がする。
これ、私もほんとーにそう思います。
山屋ってのは噂話が好きなオバちゃんみたいなのをいうのだな。っていってやるがよろし。笑

大の大人が恥を知れって感じですな。
たたくならもっとあほーがいっぱいいるだろに。
雪山はやっぱり大変なのです。
先日吹雪大雪の中、ゲレンデを滑ってたらもうスキーの先が雪に突っ込んで大変。スキーでラッセルを体験してしまいました。こんな中ラッセルして雪テント泊と考えただけで=遭難と頭の中に浮かびました。

投稿: POP | 2007.02.12 11:56

re:かもめ様
<<こうなると融雪後の水不足が心配になります。
あまり農業には詳しくないのですが、この暖かさが果樹の育成にかなり影響しているとのことで、農業県の山形ではいろいろ問題になってますです。
<<夏のアルプス稜線はここ数年来、水不足。
信州はしばらくごぶさたなので知りませんでした。今年は雪渓の崩壊もちょっと心配です。

re:pop様
スキーでラッセル・・・
ふかふかの新雪で、ザック背負ってて転ぶと手をついてもついても重さで起きあがれないんですよね。
雪洞の中の静寂が好きなのですが、ガンガン暖房できないところが難点です。(ちょっと体冷やしました)

投稿: 聖母峰 | 2007.02.13 18:03

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