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個人主義

 今朝の読売の一面の特集、『日本 第3部 漂流する倫理 「他人の目」お構いなし』を読んでハッとさせられるところがあった。

 この特集は最近の日本人の倫理観を問うたものであるが、コラムの中盤にこんなくだりがある。
 客同士の喧嘩で電車が遅れたトラブルが連続したことについて、関係者のコメント。

以下記事引用開始
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 こうしたトラブルの当事者について、ある鉄道会社では「金を払っているのに何が悪いんだという態度が目立つ」と話す。その視界に周囲の目は入っていない。
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以上記事引用おわり

 はじめに明言しますが、どっかの遭難専門ブログと異なり、私はツアー登山肯定論者です。
 さて、上記の読売の記事の「金を払っているのに何が悪いんだ」という箇所、ツアー登山の批判でよく見聞きする、「金払ってるんだから登頂させろ」というクレームと全く同じ状況だなあ、と感じた次第です。
 ただし、ネットでよく散見される、ツアー登山で「金払っているんだから・・・」という意識が遭難事故に結びついているという意見、推測論ばかり多くて当の山岳ガイドや添乗員のコメントが少ないのが気になりますが、ここでは置いておきます。

 私自身、さほどのガイディング経験ではありませんが、「金払ったんだから登頂させろ」または「登頂させて当たり前でしょ」とクライアントに直接すごまれた事は まだ ありません。
 ただし某社のツアー登山で、悪天下で下山の時間が一時間ほど遅れ、「(バスで)時間どおり東京に戻れよ」と添乗員に凄んでいるクライアントを目撃したことはあります。
 
 上記の読売の記事では神戸女学院大学の内田樹教授が
「自己の欲求の充足を図る消費は、きわめて個人的な行為。消費主体化がきわまれば、集団の一員としての自分を意識することもなくなる」と評しています。
 あー、うまいこと言うなあ。というのが正直な感想です。

 私は有償ガイドを志している故、山行を「商品」として「消費」いただくことには何の抵抗も感じませんが、登山には山の世界の鉄則が存在します。
 ツアー登山のみならず、山のパーティーは一つの社会といえます。
 社会を構成するのは個人であるが、個人の領域だけが突出した社会は破綻を招きます。
 この悪しき個人主義というのはツアー登山には限らないようです。
 ツアー登山批判論者はなぜかあまり言及しませんが、最近、2~3人の少人数・お友達パーティーでも不調の仲間を残したり、何らかの理由で離ればなれになって→遭難 というパターンが目に余るような気がします。

 団塊の世代とやらの大量流入に期待している登山関係者もいるようですが、あらためて登山パーティーの社会性に目を向けるべき時期ではないでしょうか。

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コメント

 ツアー登山については最近"迷惑"ばかり目に付きます。狭い道を占領して譲ろうともしない、小屋でもあとから入る人に場所を空けない、夜中まで宴会、2~3時に目覚まし時計を鳴らす(本人はそれでも寝てます)・・・旅行社員は無関心。あ~何とかしてくださいよ、です。
 こうしたツアー、ときには60~80人、大移動を統率できる添乗員なんているんでしょうか? 日暮れ近く、あわてて探しに行く姿もなんどかみましたが。
 

投稿: かもめ | 2007.05.06 10:35

もっと幅広く物事を楽しむ余裕をもってほしいものですね。苦笑
アクシデントもハプニングも思い出だろうに。。。

年齢が高いヒトであればあるほどヒトの親である確立も高く、誰かを育てたりする立場も経験しているだろうにと不思議です。
思いやりがない手本をみせて何が明るい未来なのだろうかって笑っちゃいますが。常に行動する基準が明確なポリシーがないということを露呈する瞬間ではないでしょうか?

投稿: POP | 2007.05.06 20:39

re:かもめ様
 <<ツアー登山については最近"迷惑"ばかり目に付きます。
関係者としては耳が痛い・・・
でも北ア等メジャーな山域では、こちら東北では想像を絶するような極悪マナーの方々もいるとか。
下界と変わらない営業小屋の存在も関係しているのでしょうか?「旅行の延長と考えて」参加する人が増えているとは業界関係者の知人の言です。

re:pop様
 <<誰かを育てたりする立場も経験しているだろうにと不思議です。
 それそれっ!!
 そうなんですよね。
 時折、自然の家の子供達の方がオトナに見える時もあったりします。

投稿: 聖母峰 | 2007.05.07 18:11

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