2004年秋、ヨセミテ・エルキャピタンのノーズで二人の日本人クライマーが荒天に襲われ亡くなった。
自然学校やまかぜの山本亮一君と流郷真理子さんである。
ちょうど私が当ブログを始めた頃の事故であり、野外教育界の大きな損失だと思っている。
あれから3年経った今、当時の詳細な状況がFriends of Yosemite Search and Rescueによって公開された。
Double Climber Fatality on The Nose
事故の検証は、二人が所有していたデジタルカメラの画像をもとにして事故に至る状況が詳細に検討されている。
引用開始
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It is significant that they took these photos; people typically don’t take pictures when they’re fighting for their lives. At this point they were no doubt wet, probably hungry, and at least a little cold, but taking the time and effort to snap a few shots could indicate that they were not yet desperate.
彼らがこれらの写真を撮影した点は重要です。生命の危機に瀕しているとき、人々は普通写真など撮影しません。彼らは間違いなく濡れていて、おそらく空腹で、寒さにさらされていましたが、2、3の画像を撮影したということは、彼らがまだ必死ではないことが推測されます。
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と、このような具合に画像から二人の行動様式まで推測、記事はいくつかの疑問・・・何故二人がノーズを下降しなかったか、何故キャンプ4を出発して悪天の中で登り始めたのか等を挙げて検証、最後にLESSONS LEARNED (教訓)として幾つかの項目にまとめている。
記事の中で二人の経験不足と装備不足を指摘しているものの、どれだけのパーティーがフルシーズン用ポーターレッジを持っていくのか?と急な悪天に襲われた二人の不運も強調されている。
最後に重要な問題として、ベースとのコミニュケーションが挙げられた。
他パーティーの多くが何らかの通信手段を持ち合わせていたのに対し、二人は携帯等の装備をしていなかったことも指摘されている。
Big wall climbing can get you killed in more ways than one.
ビッグウォールクライミングは幾つもの死ぬ可能性がある。
検証記事のまとめ冒頭部の言葉である。
何故事故から3年経過した今、当時の事故検証が公開されたかは不明であるが、いずれにせよ、もう二人は戻ってこない。
事故当時は某クズの集まり掲示板上で誹謗中傷がとびかい、私も匿名でしかモノを言えないバカどものお言葉を有り難く頂戴したが、私にできることは、彼等の事故原因から学び取り、長く山を続けていくこと。
それだけである。
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