人々に翻弄される「神」
日本のメディアでは極小さい扱いですが、英語圏では大きく取り扱われているようです。
まあ原因の発端はイギリスの「メディア」ですから。
ネパールの「生き神」クマリがイギリスメディア製作のドキュメンタリー番組宣伝のため訪米、それが原因でクマリ失格という話題です。
訪米でクビになった、ネパールの「生き神」 byアメーバニュース7/5(ロイター配信)
'Goddess' sacked for visiting US by BBCnews7/3
Travel costs Nepal goddess a title by Seattletimes 7/4
今回のクマリ「失格」報道には二つの疑問が沸きます。
1.何故、クマリをアメリカに連れていく必要があったのか?
2.そもそも、常に付き人が付いているはずのクマリの訪米に反対する者はいなかったのか?
邦訳された日本での報道では報じられていませんが、シアトルタイムズはじめ、アメリカのマスコミは問題のドキュメンタリー番組の製作責任者、イシュベル・ウイテッカーのコメントを掲載しています。
彼女のコメントによれば「クマリが海外に出られないとは誰も言わなかった、そして人類学者、サジャニのいる寺院の最高聖職者と両親に意見を聞いた、ネパールの大使館がアメリカへの渡航手配を手助けした」とのこと。
もっとも、現にクマリ資格剥奪の問題となっている現状では単なる釈明ですね。
クマリをアメリカやその他の国に連れていく理由は、わかりません。
クマリという存在、初潮前の少女を選び「生き神」として崇める信仰ですが、クマリの任期を終えた(初潮を迎えた)クマリは多くは不幸な人生を歩むといわれています。ネパールでは確か映画化もされているはず。
元クマリと結婚した相手は早死にする、という言い伝えもあるとか。
そういう宗教、人々の信仰なのだ、と容認する向きもあるようですが。
以前、無頭症で生まれた障害児(乳児)の遺体を皿に掲げて「人間からカエルが生まれた」とネパール某村の民衆が驚喜している画像を見て以来、
「人間は信仰の名の下に何をやってもいいのか?」
と私は思うようになりました。
今回の騒動、「生き神」などと形容されながら、所詮は大人たちの都合に人生を左右される子供達という図式が私には見えてくるのです。
たまに日本のメディアやネット上で「ネパール最高!」とかのたまう脳天気バカ女をみかけることがありますが、同姓として、こういった現実をどう考えているのでしょうか。
| 固定リンク
« 夏バテ? | トップページ | 丹沢・大山を登る »
「マ ス ゴ ミ」カテゴリの記事
- 石油・ガス産業の何が悪いのか(2020.12.11)
- ラインホルト・メスナーの告白(2020.11.05)
- DNAは誰のものか?(2020.07.30)
- アンジェイ・バルギェル、コロナウィルス罹患(2020.07.21)
- 追悼 服部克久氏(2020.06.11)
コメント