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日本最大級の『不法投棄現場』に行ってみた

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9日、業務関連の研究会主催による、青森・岩手県境で発覚した「日本最大級」の不法投棄現場(の汚染対策現場)見学会に参加した。
平成7年、岩手県二戸町とニンニクで有名な青森県田子町の県境、総面積27haの高原において、マスコミを騒がせた香川県・豊島不法投棄事件を上回る総量92万tの産業廃棄物が不法に投棄されていた事件である。
当ブログは東京の方が数多く訪問されているが、日比谷公園の二倍弱の面積に不法投棄されていたといえば、事件の規模がご理解いただけるだろうか。
 事件の詳細については青森県のサイト 青森県境産廃不法投棄事案・環境再生に向けた取り組み が詳しい。

 この事件、私が所持している「地質調査技士」という資格の更新講習でも講演議題に取り上げられ、ぜひ現場を視察したいと思っていた。
 JR二戸駅から約40名のメンバーでバスで現地に到着。
 あいにくの大雨で現地サイトは車窓からの見学となった。
 青森県側は谷筋を埋めるように廃棄物が埋められた。汚染された地下水の浸出を防ぐため、莫大な費用をかけた浄水プラントが建設されていた。このプラントを見学。

 この事件について、強く印象に残っていることがある。
 事件発覚当時の現地調査にあたった大学教授が見せてくれた写真だった。
 おそらく不法投棄に従事した人間が作ったであろう、汚染水が流れる水路に木炭が敷き詰められていたのだ。もちろん、不法投棄された廃棄物の量・質からみて、そんな木炭の浄水効果など無きに等しいものだ。
 その木炭を敷き詰めたのは、不法投棄を指示した本人か、命じられた従業員なのかはわからない。
 だが、この事件に関わった人間にも、良心の呵責はあったんだな、とその木炭の光景を見て思ったのだ。
 実際に、その木炭を敷き詰めたのは何の目的かはわからない。
 この日本最大ともいわれる不法投棄の全容を知る産廃業者は、裁判中に自ら命を絶ってしまっていた。

 対策事務所内で詳細な説明を受ければ受けるほど、この投棄事件の深刻さがわかってくる。
 事務所の窓から外に目を向ければ、広大な高原が防水シートに覆われた不毛な光景が広がっている。
 この対策工に費やされた費用は青森・岩手両県で650億円超。
 莫大な金額よりも、もう取り返しのつかないものを人間の手で失ってしまったのではないか。
 そんなペシミスティックな想いにとらわれる。
 現場を立ち去るバスの車窓から、防毒マスクをした作業員が淡々と作業を続けているのが見えた。
 少し現場を離れれば、そこは美しい高原地帯。皮肉にも、事件発覚直前に環境省が「星のよく見える場所」に選定された高原でもある。 
 なんとも気が重い見学会であった。

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