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静寂の朝日連峰 -ぶな峠から鳥原山をめざす-

「ぶな峠」から鳥原山をめざす。
朝日連峰縦走の起点(終点)である鳥原山には、朝日鉱泉、古寺鉱泉、白滝から登るコースがポピュラーである。
しかしもう一つ、ぶな峠という箇所からのルートもあるのだが、不思議と市販のガイドブックには記載されてない。
だからこそ、ガイドとして確認しておきたい。

鳥原小屋の管理人、HAJの鈴木正典氏を訪問する事も目的の一つである。
管理人生活で不足しているであろう果物(スイカ)と発泡酒セットをザックに忍ばせ、いざ出発。
・・・しかし、ぶな峠コースの登山口が見あたらない。うっかり見過ごし、車で二回ほど登山口があるはずの箇所を往復する。
目立たない登山口を見つけだし、ようやく出発。
登山口から胸までの藪漕ぎが数メートル続いたが、樹林帯に入ると踏み固められたしっかりした登山道になっていた。タラタラと沢筋の細い道をゆく。
道と沢が交差したところで一気に稜線まで急登。急登は10分ほどで、稜線にあがると平坦でとても快適なブナの道。両側を二次林と思われるブナ林に囲まれ、夏の日差しをさえぎってくれる。

1時間ほどで畑場峰、古寺鉱泉からの登山道との合流地点に出る。
ここからは稜線をまく平坦な道。
快晴で暑く、Tシャツは汗で重くなり、裾から滴が落ちる。
少し登るとぽっかり湿原の島に浮かんでいるような鳥原小屋がみえた。
小屋番の鈴木氏と久々の再会。
時折訪れる登山者に応対する鈴木氏と、積もる話・・・お互いの近況やツアーリーダーの話、高所登山の話など交わす。鈴木氏との共通見解は、今後の日本の登山界において、高所登山の記録を一括してとりまとめる事が困難になるのではないか、と憂慮していることだった。
クライミングの情報・データのとりまとめについては雪山大好きっ娘さんがITエンジニアらしく関心を寄せておられるようですが、高所登山については記録の集積が「放置」され、埋もれていくのでないか。などなど、硬い話から昨今の登山者像まで様々な話題を話す。

昨日は鈴木氏は大変だったらしい。
鳥原小屋に荷物を置いたまま、中年女性が夜七時になっても戻ってこない。
心配した鈴木氏が捜索にでたところ、当の女性は大朝日小屋で小屋番の大場さんに誘われ酒盛りしていたという・・・
朝日連峰を訪れる中高年女性登山者の皆さん。
大朝日小屋の管理人、大場さんは齢80越えながら今夏も達者に大朝日小屋番を頑張っています。
歳が歳だけに、大場さんには中高年女性登山者は娘っ子にみえるらしいですから、誘惑に惑わされないように(笑)

鈴木氏の登山者の対応は元金融マンらしく心遣いが細かい。
登山者に目的地までの時間を訪ねられると、必ず「この小屋まで何時間かかりましたか?」と確認する。
かかった時間でその人のペースを把握・推定し、その登山者のペースに合わせた目的地までの時間を教えるよう、心掛けているのだそうだ。
伝わってきた話では、古寺鉱泉の駐車場には50台以上の車がひしめき、今日あたり大朝日小屋の宿泊者は100人近くなるのではないかという。
鳥原小屋は大朝日をダイレクトにめざすコースから外れているため、訪問者は比較的少ない。
しかし鈴木氏や朝日山岳会のご尽力で、ネット検索してもわかるが鳥原小屋は綺麗だと評判である。
静かな朝日連峰を目指す方は、ぜひ鳥原小屋、鳥原コースを計画に取り入れてください(宣伝)。

鈴木氏から「ぶな峠」コースの話を聞く。
もともと登山道ではなく、昔の山林伐採の軌道などが設置されていた道なのだそうだ。
なにぶん、古寺、朝日鉱泉など主要コースの陰にかくれていることもあり、地元役場でも予算がつかず、刈払いなども行われていないらしい。
しかし居合わせた朝日山岳会の方々の「ぶな峠コース」への評価は高く、途中の平坦なブナ林の道は快適だ、春先は水芭蕉が素晴らしいというお話だった。
長居をしているうちに昼になる。
鈴木氏手製の素麺を、朝日山岳会の方々と共にご馳走になる。

Imgp0178

登山道整備や山岳会の話題で盛り上がっている鈴木氏や朝日山岳会の方々を眺めていると、地元の方々の努力で登山道が成り立っているんだなあ・・・と改めて思う。
食後のコーヒーまで戴く。外の猛暑とは対照的に小屋の中は涼しく、熱いコーヒーが美味しい。
コーヒーを飲んだ後、鈴木氏に改めて御礼を言って下山。
小屋から10分ほどの鳥原山頂に立ち寄った後、ぶな峠をめざして下りる。
大賑わいの大朝日各コースとは異なり、まったく人に出会わない、静寂のコースでした。

Imgp0172
沢筋から急登を過ぎ、平坦なブナ林。
強い日差しも遮ってくれる快適な道。

Imgp0174
半ばひからびていたカエルに水をかけてあげました。
急に元気になってました。

Imgp0175
鳥原山の湿原にぽっかり浮かんだような鳥原小屋

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朝日山岳会の尽力で、木道に転倒防止のステンレス網がかけられています。

Imgp0180
鳥原山山頂から小朝日・大朝日を望む。
百名山なんて気にしなければ、静寂の山が楽しめます。

Imgp0185
名は体を表すといいますが・・・タマゴダケ。
自然の造形は、H・R・ギーガーのそれよりもユニークだ。

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ワンポイントアドバイス
ぶな峠~鳥原山コース
Map

登山口の状況↓
Imgp0171

上述記事のように、刈払いは期待できません。
登山道はしっかり踏み固められ明瞭ですが、前半の沢筋ルートは草むらを通過したり、沢と道が交差したりするため、無雪季の山でもしっかり登山道のルートファインディングができる人向きです。
また鳥原小屋まで、眺望はよくありません。

Imgp0186
上記のように丸木橋や徒渉が幾つかありますので、雨天時は要注意です。
また沢筋でアブが非常に多いため、8月は登山は避けたほうが無難でしょう。
水芭蕉が点在していたので、春~初夏がよいかもしれません。
本日のコースタイム
ぶな峠~鳥原小屋・鳥原山分岐 2:15
鳥原小屋・鳥原山分岐~ぶな峠 1:45
最近出版されたパンフレット「朝日連峰まるごとナビ」(朝日町・西川町・大江町・山形広域観光協議会)では、ぶな峠→畑場峰2:10 畑場峰→鳥原山1:20、 鳥原山→畑場峰1:00 畑場峰→ぶな峠1:30 となっています。ゆっくりペースと思われますが、ご参考まで。

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コメント

 山、行きたい、行きたい、行きたい・・・。うなされてますねぇ。(笑)
 車で数時間で静かな山に行けるなんて、うらやましい限りです。
 ザックを出してアレコレ考えながら休みがとれるかカレンダーを見てます。しかし・・・この時期、1畳巾に3~4人は当たり前、夜中まで宴会の連中だの、2時3時にデカい目覚時計を鳴らすバカだのが、沢山々々いるんです。テント場も似たようなものだし。
 安上がりで人が少ないところ、探そう。

投稿: かもめ | 2007.08.13 21:22

日本各地猛暑ですね。
今朝の新聞では、富士山頂でも未公認記録ながら18度記録したとか。

<<2時3時にデカい目覚時計を鳴らす
繁忙期の山小屋におけるトンデモ話はよく聞きますが、ホントにいるんですね。
東北では、避難小屋での地元山岳会の宴会に対して「お呼ばれして盛り上がった」「うるさくて眠れない」と賛否両論です・・・
 あまり飲めない方ですが、誰もいない山頂で月を見ながら静かに飲むとかしてみたいです。賑やかな宴会は、下界の居酒屋で結構です。

<<安上がりで人が少ないところ、探そう。
 日本各地どこの山域も、どうも「一極集中」型のような気がしてなりません。
 かもめ様の安価で静かな山行が実現しますように。

投稿: 聖母峰 | 2007.08.15 08:44

 鳥原小屋は朝日連峰でもかなりすてきな小屋です。今年初めていきましたが、管理人の鈴木さんには大変お世話になりました。きくらげ料理とたのしいお話を聞かせていただきました。閑古鳥が鳴いていると寂しがっていたところ??に、泊まったので歓迎されてこちらもかなりしあわせな訪問となりました。
 山で管理人さんに大事にしていただき感謝しています。≪鳥原小屋個人的に宣伝協力しています。≫

投稿: kawa | 2007.08.15 22:00

re:kawa様
 <<閑古鳥が鳴いていると寂しがっていたところ??
??ではなくて、ずばり閑古鳥が鳴いているそうです(鈴木氏・談)
 前回は「しあわせな訪問」であったとのこと、とても良かったですね。
 もっと人が来るようにブログでも宣伝してくれと言われてますが、あの静かで幸せな時間がいつまでも存続していてほしいなあ・・・とも思ったりしています。
 秋の鳥原山と鳥原小屋も、ぜひどうぞ。

投稿: 聖母峰 | 2007.08.16 17:17

 6月天狗小屋にも泊まりましたが、こちらでもやさしくしてもらいました。
 秋にも管理人の鈴木さんはいるのでしょうか??

投稿: kawa | 2007.08.16 19:50

鈴木氏は秋に一旦山形に戻ってくるようですが、鳥原小屋にいつ入るかは未だわかりません。
ご本人も今は各社のツアーリーダーで出かけているので、またわかり次第お知らせしたいと思います。

投稿: 聖母峰 | 2007.08.20 17:52

こんにちは
9月30日、朝日連峰 清太岩山とゴロビツ清水でガイド中の鳥原小屋管理人の鈴木さんにお会いしました。どこかでみたような?と言われましたので、あいさつしましたら、鳥原小屋では静かだったよな~俺~と話してました。大勢のガイドは楽しそうでした。鳥原小屋は、閑古鳥が鳴いてるからさびしいのかな~との声ありました。

投稿: kawa | 2007.10.01 22:53

re: kawa様
 鈴木さんに出会えて何よりでした。
 秋期は鳥原小屋に入らないとお聞きしていたので・・・

<<閑古鳥が鳴いてるから
そうそう、鈴木さんの鳥原小屋に対する口癖です(笑)

私も雪の降る前にもう一度静かな鳥原に行きたいですね。
kawa様もどうぞ秋山、存分に楽しんでください。

投稿: 聖母峰 | 2007.10.02 21:45

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