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頂上に立たざる者

仕事バリバリの営業本部長とホテルで同室。
明日からの展示会を控え、ビールを飲みながらレクチャー&ハッパを受ける。
従来の私の改善点を挙げ、
「(前回の遠征登山において、頂上を目前に) 引き返した事は、世間や山の世界では評価されないかもしれないが、俺は評価しているんだからな」
と、言われる。

そう、私にとってのエベレスト登山、ブラックスプリングとまで呼ばれる大量遭難の年、頂上を目前に引き返した。
シェルパや山岳ガイドの厚いサポートで60、70の爺様が登れる今現在と異なり、シェルパのサポートも無く、二人だけの頂上アタック、そして帰りは一人だった。
会社員たる私は、会社員だからこそ「成果をあげられなかった」事に悔しさを覚えた。
幾人かの方からは、やはり本部長同様に引き返した事に評価を戴いたが、山は登頂あってこそ、である。

山形県人初登頂を果たした今野一也氏は、短期間ながら最高齢登頂記録保持者となり、つい先頃も活躍する中高年として新聞の一面を飾った。
山形県人第2登を果たした遠藤博隆氏は、朝日連峰・竜門小屋の管理人として、チョモランマの代名詞となり、多くの中高年登山者に慕われている。
私の2年前にサウスピラーを狙った高村真司氏は、高度障害に倒れ登頂を逃し、以後ガイド・啓蒙活動に力を注いでいる。
そして私は、静かに会社員として生活している。

私が頂上を目前に引き返したのは判断力というよりも、山に対する価値観の問題である。
命を賭けて登るに値する山は存在しない。
それが私の価値観だ。

山で得た経験を社会に活かそうと思ったが、仕事ではダメ人間のままである。
かろうじて社会との接点の意味を持つ少年自然の家での活動では、似非アルピニストの野口某と違い、子供達にエベレスト登山を自分から語ることは無い。
なぜなら、私にとって「登れなかった」山だからだ。

あらためて本部長から過去の遠征登山を評価されると、戸惑いを覚える。
もうそんな歳でもないのだが。
仕事に課題の多い今、やはり次の大きな山は遠いままか。
そんな事を考えると眠れなかった・・・なんてことは無く、ビールの酔いであっさり眠る。
今の私には、あるのは目前の展示会だけのようである。

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