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【映画】白い馬の季節

※以下の記事には映画内容のネタバレが含まれます。

Season1

土曜日、現場仕事が14時で終わった。
急ぎホテルに帰り、たまった洗濯物を片付け、神田神保町に地下鉄で直行。
岩波ホールで映画『白い馬の季節』を鑑賞するためである。
中国・内蒙古自治区。
砂漠化と旱魃で草原は荒れ、多くの遊牧民が街に定住する中、妻子を連れた主人公は遊牧の伝統にこだわり続け貧しい暮らしを続ける。そんな彼らも生活が立ち行かなくなり、やがて遊牧から離れる日がやってくる。
そんな現実を描いた映画だ。

たまたま朝読んだ産経に映画評が掲載されてあった。
反共右派の産経らしく、見出しは「奪われる遊牧民の伝統」というタイトルである。監督・主演のニンツァイ氏も同様の表現で答えているのだが、私の見方は異なる。
映画が映し出しているのは、価値観を変えざるを得ない人々の姿である。
伝統を奪われようと、人は生きていかなければならない。
それが現実である。

映画中盤において、村長に遊牧民の現実を諭され、主人公が声をあげてすすり泣くシーンがある。
私にとって最初のクライマックスはこの場面であった。
本編の最後、かろうじて遊牧を続ける年老いた叔父が、主人公に「馬にこだわるな」と価値観の変化を促す。
痛ましい思いと同時に、人は生きていかなければならないという強い意志を私は感じる。

中国国内では商業ベースの公開はされていないという。
これだけ国家の少数民族政策を批判した内容ならばさもありなん、と思う。
映画ウェブサイトでも、製作に当たっては様々な圧力があったようだ。
もう北京五輪とか上海の隆盛しか目に入らない「プレジデント」誌とかに関わる経営者やデキるビジネスマンの輩には、劇中の人々は経済化の波に乗り遅れた愚かな人に映るんでしょうね。
だがそういう愚直な人々の事に心を向けられる人間でありたい、と私は思います。

あ、それから。
劇中、ついに主人公が馬を売りに出してしまう場面で
「まさか食べたりしないだろうな」
とバイヤーを問い詰める場面があります。
あー、遊牧民の人々に会津坂下の馬肉がとても美味しかったなんて口が裂けてもお話できませんな。

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