雪岳山総括・リッジクライミング体験
ふー。
長らくネットにふれることもできないくらいの現場作業生活。
さらっと今回の韓国行きをとりとめもなく振り返ってみる。
先日の記事に書いたように、韓国には「リッジクライミング」という分野がある。
今回の渡韓の目的は雪岳山もさることながら、リッジクライミングの実際を経験してみたかったという目的がある。
大韓山岳連盟発行「Ridge climbing safety」
日本人による韓国登山記にはよく「韓国のハイカーは凄い所をよじ登っていく」という類の表現を見かける。おそらくそれらはリッジクライミングの光景であろう。
リッジクライミングの定義については、かつて「山と渓谷」誌の韓国特集において、韓国の山岳雑誌「人と山」のパク・ヨンスン氏が「継続登攀と岩稜登りを組み合わせたもの」という趣旨で表現している。
ただし、韓国現地の報道を読む限りでは遭難事故は多いらしい。
その事故防止・啓蒙目的に発行されたと思われるのが、上記の大韓山岳連盟発行「Ridge climbing safety」である。私が同テキストを入手して見た限りでは、説明されている技術体系はビレイ、プロテクションなどクライミングと変わりはない。強いて違いを挙げればシューズである。
リッジクライミングでは日本でいうアプローチシューズ、クライミングも可能なソールを用いたローカットシューズが用いられる。
技術体系がクライミングのそれと全く変わりないことから、私個人は韓国のリッジクライミングはやがて「クライミング」に収束されるだろう、と勝手に推測していた。この推測は、大きな誤りであることがわかる。
今回、雪岳山でリッジクライミングを経験してみて「爽快」の一言につきる。
同行の申氏に誘っていただいた「一編の詩の為の道」はビレイは立木を利用する他、ステンレスハンガーもしっかり整備されてあった。盛んに登られている証拠であろう。
雪岳山の最高峰・大青峰でも標高2000mに満たず、アルパインの舞台としては厳しい気候にさらされることもないが、その岩のロケーションは素晴らしい。
そのロケーションだけでなく、岩場としての魅力がリッジクライミングという分野を生み出したものだろう。
リッジクライミングは韓国独特のカテゴリーとして、今後も登り続けられると思われる。
日本人による韓国のクライミングの記録といえば圧倒的に仁寿峰が多く、スポーツクライミングとしてソヌンサンが紹介されている程度であろうか。
やはりハングルが一つの障壁になっているのか、雪岳山におけるクライミングの記録は少ない。
日数があれば、ぜひ雪岳山まで足を伸ばしていただきたいものである。
今回貴重な時間を割いて導いてくれた大韓山岳連盟の申東勲氏、山道で出会い多々差し入れをいただいた名も知らぬ韓国の岳人の皆様には、改めて深謝する次第である。
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