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ネパールの女性山岳ガイド その背景と現実

ネパールのアンナプルナ・トレッキングコースに女性ガイド増加中。
その背景やいかに。

Female Guides Gain Ground in Nepal Mountains by Womensenews1/28
以下記事引用開始
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ネパールの山々に普及する女性ガイド

女性トレッカーがネパールの山に増えつつあります。これは、順番に、社会的制約と伝統的な農業の貧しさから活路を見出す「女性山岳ガイド」の需要に拍車をかけています。
彼女たちはアンナプルナBCコースを引率します。息を切らし登るトレッカーに混じり、20才のジャヌカ・ライは山道を軽々と歩いていきます。彼女は、追い越すポーターの視線を無視します。女性のトレッキングガイドは、珍しい存在です。
Januka3462ジャヌカ・ライ 20歳、女性ガイド

女性山岳ガイドはヒマラヤのトレッキング産業の中では少数派です。現在、トレッキングはネパールの国内総生産の8パーセントを占め、農業と工業に次ぐ第3の産業です。
しかし、近年、女性トレッキングガイドとポーターは、ある3姉妹の苦労により旅行者の間に普及していきました。
ニッキー、ディッキー、ラッキー・チェトリの三姉妹です。ダージリン生まれのインド人、チェトリは、Annapurna山麓のポカラで14年前にレストランを開業、長期のトレッキングから戻る旅行者を喜ばせていました。

「男性トレッキングガイドからのいやがらせについて、女性はレストランに入って、山から我々に酷い話を語ってくれました。」と、Dicky Chetri、40、3姉妹の次女が語ります。彼女はティーンエイジャーの微笑を浮かべ、長い三つ編み、サングラスをかけています。
まもなく、彼女達は未知のビジネス需要を確信しました。「多くの女性が不愉快な経験をして帰ってきました。彼女たちは一人で男性と山で過ごし、非常に弱い存在です。私たちは何が必要かわかっていました」
しかし、彼女達自身は登山経験が無いまま、姉妹は走り出しました。
「私たちは一戸一戸訪ね歩いて、女性を探し説得しましたが、彼女らの家族が抵抗しました。彼らは非常に「恐れた」のです。私たちは10人の女性を納得させることができただけでした。」レストランの食堂で、応急手当、雪崩、急性高山病、観光旅行、トレッキングと女性の権利拡大について学びました。
「誰からも笑われました。レストランを閉鎖することが正しいことか、私たち自身にもわかりませんでした。」

女性の強さと精神的な弱さに対する疑念、女性が山の上で不運であるという迷信、妻が夫より稼ぐ事への根強い抵抗、ネパールのほとんどの女性には農業以外に仕事がない。そして、米と小麦を収穫し、1日につき約3ドルをかせぐ、とチェトリは言います。
現在、スリー・シスター・トレッキングエージェンシーは、1年につき約50人を訓練して、アンナプルナコースで何百人もの外国の旅行者 ― ヨーロッパ、アメリカ合衆国、日本とインドからの観光客を案内します。多くの女性だけのグループは、クライアントの一つです。姉妹はロッジを経営し、ポカラで再びレストランを開業しました。

姉妹によって訓練されたガイドの幾人かが独身の大学生である他は、皆貧しい農民の妻です。
三姉妹は、山に入っているガイドのために、保育センターを運営します。
トレーニングビジネスは、低収入の地方の女性を対象とした雇用ネットワークも生みました。
「大多数のネパール女性は、すべて夫に依存しています。それは、彼らが虐待下にある家庭を去ることができないことを意味します。ほとんど読み書きもできず、選択肢は無く、夫の意のままに生きることしかできません。」
虐待的な家庭を逃れるために、一部の女性は三姉妹のトレーニングに夜間こっそり参加するといいます。「一旦彼らが訓練されれば、彼女たちは何でもすることができます。自分自身と子供たちを支えることができるのです。」
(中略)
ガイドは、1日につき最高10ドル(一人当たりの国内総生産260ドルの国家では有望な給料)を稼ぎます。
(中略)
女性の資産と遺産権利は、婚姻関係に拘束されます。ほとんど全てのネパール人女性は19才になる前に結婚、同国は世界でも初等教育において男女差の著しい国家です。
権利拡大プログラムは、女性の権利に関してワークショップを含む信頼生成と教育から開始します。
「女性の多くは、「権利」についてさえ耳にしてきませんでした。彼らは、夫なしで生きることが合法的であるということをさえ知りません」
(中略)
山での労働は女性ガイドにとってまだまだ挑戦的な行為です。ガイドは一般に単独で働き、混雑した食堂でしばしばただ一人の「女性」だと思われます。そして、時には酔った男性ガイドとポーターと並んで眠ります。
一般に男性ポーターは50キロも背負いますが、スリー・シスターズでは女性ポーターのために12キログラムの重量制限を実施します。
ジャヌカ・ライJanuka Rai(ネパール東部地方から来る大学生)は、大学の学資捻出のためにガイドを行います。
アンナプルナBC方面は七回経験しましたが、彼女は衝撃的な景色に未だ畏敬の念を覚えます。
しかし、彼女に仕事とは何かを尋ねるとき、彼女は答えることをためらいません
「私の給料小切手です。」
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以上引用おわり

この記事で注目されたいのは、日本や欧米諸国のように、「山が好きだから」「山を愛するから」ガイドになるという以前に、「喰っていかなければならない」「閉鎖的な伝統社会からの自立」という切実な問題、目的意識からガイドの道を選ぶ人々がいる現実である。
日本の登攀ガイドのセンセイ方がおっしゃる「ガイドは5.12をこなさなければうんぬん」なんてのは、このネパール社会では枝葉末節なことですね。

私はだいぶ以前の記事で書いたように、日本においても女性ガイドはもっと増えて然るべきであると考えています。
最近は若い女性でもネパール方面にトレッキングに出かける方も多いようですが、ぜひ女性ガイドを利用されてはいかがでしょうか。それがネパール社会における女性自立への一助になるのかもしれません。

記事で取り上げられているチェトリ3姉妹のトレッキング会社はこちら↓
3sistersadventure

なおYoutubeで偶然見つけましたが、記事中に出てくる20歳のジャヌカ・ライ率いるトレッキングの様子が動画でアップされています。↓
http://uk.youtube.com/watch?v=wj0C4WNkmdY

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