氷上山 ~宮沢賢治『雪渡り』の山~
弘前から長いドライブの後、岩手県の陸前高田に到着。
ここに位置する氷上山(ひかみさん)標高874mが、かねてから登りたい山であった。
皆さん、国語の教科書で宮沢賢治の『雪渡り』という童話をご存じ無いだろうか。
雪国を舞台に兄妹と狐達の無垢な出会いを描いた、悲劇色の強い賢治の童話ではホッとする話である。
キックキックトントンという特徴的な擬音、そして物語のクライマックスとなる、狐に勧められて兄妹がお団子を食べる緊張の場面。
この話に登場するのが、氷上山なのである。
青白い大きな十五夜のお月様がしずかに氷の上山から登りました。
雪はチカチカ青く光り、そして今日も寒水石のように堅く凍りました。
宮沢賢治『雪渡り』より
氷上山中腹には、遊覧目的も兼ねた林道氷上山線が立派に舗装され整備されている。
私は今回、この林道から通じる中央コースをたどった。
林道から臨む氷上山の山並み
中央コースの登山道。登山時間45分とあるが、実際には1時間はみておいたほうが良い。
登山道は幅広く踏み固められており、歴史を感じさせる。
かつて金鉱があったことから、相当この山には人が足を踏み入れていたものであろう。
つづら折りの登山道をすすみ、「9合目」の看板を過ぎると、それまでの杉林・ナラ林から一転して広い草原(祈祷ヶ原)に出る。
祈祷ヶ原入り口からの眺め
途中の登山道からも景色は良いが、祈祷ヶ原の眺めはまた格別。太平洋側とリアス式海岸を一望。
氷上山の山頂は、祈祷ヶ原からほぼ平坦な道を歩いて15分ほどの所。
氷上山山頂のお社。ひかみ→火の神を祭っているためか、お社はオレンジ色一色。お社の陰には三角点があり、小高くなっている。ここに立つと360度の眺望が楽しめる。
氷上山のコースに関しては、祈祷ヶ原の看板が概念図としてよくできている。
私は中央コース中間からアプローチした。
氷上山登山コース概念図
氷上山も新芽萌える季節。青森ではずっと厚い曇り空ばかりだった私には、眩しい青空でした。
登ってはみたものの、狐さんにお団子おごってもらえなかった私は山頂で自分でコーヒーを作って飲み、下山。
海と山、青い空に恵まれた、地元の人々にも愛されている良い山でした。
雪渡り(全文掲載のサイト)
陸前高田市観光物産協会サイト氷上山のページ(山開きの様子が掲載・08年は5/11予定)
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