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井上靖『氷壁』、韓国で出版さる

日本人にはおなじみの山岳小説『氷壁』が韓国で出版されことになりました。

'伝説の本が出版' 不滅の山岳小説古典『氷壁』 by 毎経インターネット5/30
以下引用開始
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特定分野でバイブルと呼ばれる本がある。
その分野を理解するために、イニシエーションのように読まなければならない本だ。最近バイブルと呼ばれる本が2冊出版された。
山岳小説史上不滅の古典と称えられる『氷壁』と、世界で一番多く売れたワイン本『ワインバイブル』だ。
『氷壁』は1950年代に芥川賞など日本の文学賞を一気に受賞した作品だ。(中略)

◆ 氷壁 (井上靖・マウンテンブックス)
大学の時から登山の友魚津と小坂は新年の休暇でマエホ氷壁を登る。登山途中ザイルが切れ、小坂は絶壁下に落ちて魚津は遺体収容に失敗したまま一人で生還する。
山の事を分からない人々は、美貌の人妻を愛した小坂が成すことができない愛に悩み自らザイルを切って自殺したと推測したり、登山の未熟で起こった事故、魚津がザイルを切って死体を捨てたかも知れないというあらゆる憶測を並べ立てる。
魚津は「登山家は決して山で自殺しない」と、事故の真実を明らかにするために孤独に争うが、山を知らない都会人たちは理解することができない。都会人たちはナイロンザイルの欠陥に対しては思い至ることができないまま登山のことのみを話す。彼は独白する。

『人々は言う。どうしてそんな雪に覆われた高い山に入ったかと。しかし私たちは登らなければならなかったのだ。私たちはマエホタカ東壁を誰も登ったことがなかったから、そこを登ろうと思っただけなのだ。それが一銭の得にならない事だったから、生命の危険を伴う事だったから、意志との戦いだったから、私たちは雪に覆われた岩壁を登ろうと思ったことなのだ。』

Image_readtop_2008_347173_121213823事故の真実はザイルの欠陥だったが、事実を明かにするのは困難であった。ザイル製造メーカーは実験過程まで改竄してザイルに欠陥は無いと主張して魚津はますます孤立して行く。彼は結局一人で小坂の死体を収容して弔った後、単独山行の中で落石事故で死亡する。
この小説は、どちらかといえば淡々とした構成になっている。しかし山と俗世間という空間を通じて、絶えることなしに生の究極的価値に対する質問を投げかける。
『氷壁』の他にも『楼蘭』『蒼き狼』などを世に出した井上には何度もノーベル文学賞有力候補に挙げられたが、結局受賞することができずに1991年、84歳で世を去った。
(画像右が韓国語版『氷壁』)
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以上引用終わり

韓国メディアでも「山岳小説史上不滅の古典」と書かれているのは、以前から韓国では井上靖の著作は知られていたのか?
個人的には、井上靖の山岳小説で韓国の人々に日本の登山界をイメージされるのは困惑しますが。
なお、『氷壁』が受賞したのは芥川賞ではなく芸術院賞である。

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コメント

ここ数年、山を歩いていると韓国のグループに出会うことがあります。
最も近い外国の山なんだそうです。←「あー、そうなんだ」。
今日は梅雨寒というか、冷えびえとした一日。無印良品のインスタント“チャイ”を熱くして一服。しみますなぁ~。無印コーナーを久方ぶりにのぞいたら山に使えるものが沢山ありました。一回分という分量がありがたい。惜しむらくは、ちょっとお高いですね。
今年の徳沢園は韓国語が飛び交うかな?。かもめは立山方面を目指します。

投稿: かもめ | 2008.05.31 21:36

31日は山形もメチャメチャ寒い日でした。久々にフリースウェア着て過ごしました。
山形は山はそれほどではないですが、スキー場はもう韓国語、中国語入り乱れて異国情緒です(笑)
立山はどうぞ楽しんできて下さい。

投稿: 聖母峰 | 2008.06.01 15:07

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