« ヒマラヤンシェルパティー | トップページ | 平山ユージとハンス・フローリン、再びノーズへ »

月山の地滑りは昔から ~人と自然の共存とは何か?~

当ブログによくコメント下さる方から「月山で地滑り」というコメントがあり、よくご存じだなあと思っていたら・・・帰宅して新聞読んでビックリ。(この日の朝は社説と社会面読み流して出勤してたのでした)

山形・月山山ろくで地滑りの可能性、国交省が対策着手へ by 読売新聞6/26
嫁売は最近すぐリンク切れになるので以下引用
-------------------------------------------------
 山形県の月山(標高1984メートル)南西側山ろくで、広範囲な地滑りが起きる可能性のあることが国土交通省の調査で分かった。
 軟弱な地盤と豊富な水脈が主な原因とみられ、3年間に最大約1・7メートル移動した地盤もあった。同省は来年度にも過去最大規模となる約9650ヘクタールの地滑り対策に着手する考え。
 専門家は「放置すれば直下型地震で大規模な崩落につながる恐れがある」と指摘している。
 山ろくの地盤は、硬い火山岩の上に、深さ約100メートルの軟らかい火山噴出物が堆積(たいせき)。さらに、月山の万年雪から出る大量の雪解け水が地表近くを流れており、地滑りを誘発しやすい。対策工事の対象地域は、同県西川町の寒河江ダムから北北西に約15キロ離れた同県鶴岡市の月山ダムまでで、集落や湯殿山温泉などの温泉街が位置する。
 同省は昨年度からの調査で同地域の地滑り面を確認。来年度にも井戸やトンネルを設けて地下水を排水するほか、えん堤や杭(くい)を施し、地盤の動きを止める本格的な工事に着手する。
-------------------------------------------------
読売紙のローカル山形欄ではなく、全国版の社会面に大きめの文字見出し。
これって絶対「岩手・宮城地震」に感化された記事だよな。
ネット配信の記事も特集・岩手宮城内陸地震の一部として配信されてるし。
記事だけ読めば、月山で地滑り状態が「突然」発覚したような印象を与えますが、事実は違います。
月山朝日ガイド協会会員であり山形応用地質研究会会員の私がはっきり書いておきますが、

月 山 一 帯 は 昔 か ら の 地 滑 り 地 帯  なのであります。

特に湯殿山に近い大網地区なんてのは地滑り関係者には知られた地域で、私も若かりし頃、地滑り学会の見学会で歩き回ったことがありました。このあたりの人々にとっては地滑りとのつきあいは明治以前、即身仏(ミイラ)で有名なお寺も地滑りの影響で移転するなどしています。
山形・庄内を結ぶ幹線道路である月山道路も、開設当初から補修の連続、お盆の時期に工期がかかり、片側交互通行規制で大渋滞が発生し、
市民からクレーム
 ↓
地元マスゴミ山新が取り上げる
 ↓
国交省陳謝
が、もはや山形の夏の風物詩(笑)

今回の記事で私が何を言いたいかといえば、月山山麓における地質調査業・建設業者と地滑りとの闘いは今に始まったことではないし、関係者は以前から対策を続けていたということ。
岩手・宮城内陸地震で深刻な被害が発生し、亡くなられた方のご冥福と行方不明者の無事をお祈りする一方、それ(内陸地震の被害)にひっかけて関係ない地域までセンセーショナルに大騒ぎするのは辞めなさいよアホのマスゴミ。
風評被害って、お前らマスゴミが作っているということに全然自覚ないんだよな。
現に、朝日連峰の登山道に岩手・宮城内陸地震の影響はありませんか?って問い合わせがあるくらいなんだからさ。

ちなみに昨年、ネタ探しにブナ林歩いていたら山形県自然博物園の敷地内を某●菱マ▲リ▲ル社の作業服着た男性がうろついていたので、同業他社の私としては国交省の動きはなんとなく察知してました。
上記に引用したネット配信記事では割愛されていますが、今回の地滑り対策の工期は数十年、工費は100億以上になると読売は報じている。
担当部署の国交省新庄河川事務所にも予算が付くし、土建業者も当分仕事に事欠きませんな。
こういうことになると『市民派』『環境派』あがりの議員や活動家はすぐ「税金の無駄」とか「土建国家」とかわめくけど、これこそあなたたちがいつもおっしゃる『自然との共生』ではありませんか?
道路って、完成してはいおしまい、じゃなくて、常にメンテが必要な構造物なんですぜ。
地滑り地帯に高速道路作るのはバカ、とネット上で書いてる匿名のバカがいましたが、地滑り対策というランニングコストも見込んで道路を運用していくことがベストなはず。
(蛇足ではあるが、山形・庄内を結ぶ道路については、月山の貴重な湿原である念仏ヶ原周辺を通すという幻のプランも存在していた。詳細は山形県学術報告書を参照)
『自然との共生』って、なにもブナ林に抱きついたり、自然観察会で歩き回ったり、エゴバックとやらで買い物するだけじゃないでしょ。
地滑り対策はそこに住む人間にとって必要な工事であり、泥と汗にまみれて働く土建業の作業員のお仕事だって、立派な『自然との共生』の一形態じゃないですか?土建業嫌いな自然保護活動家の皆さん?

でもまあ、今後予想される国道112号線で連続する片側交互通行を思うと正直うんざりもするけどね。
現場代理人の皆さんがんばってね。

|

« ヒマラヤンシェルパティー | トップページ | 平山ユージとハンス・フローリン、再びノーズへ »

ブナ林ガイド」カテゴリの記事

コメント

んだげんと
○○ダム・△△ダム堤体そばのトンネル、バンブクレ・すべりはオカネ!

投稿: ta-keda | 2008.06.29 06:03

re:ta-keda様
ちょうど今、某試験のため『原価管理』とか、『公共工事標準請負契約約款』とか書いてあるテキストとにらめっこ中。
まあホント、建設業は表も裏もカネでございまするよ。
 

投稿: 聖母峰 | 2008.06.30 04:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21370/41660296

この記事へのトラックバック一覧です: 月山の地滑りは昔から ~人と自然の共存とは何か?~:

« ヒマラヤンシェルパティー | トップページ | 平山ユージとハンス・フローリン、再びノーズへ »