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月山で一番熱い夏。【前編】

6月某日、携帯に電話が入る。
山形県朝日少年自然の家でお世話になっている先生、「彦さん」からだった。
今夏のチャレンジキャンプ(夏キャン)の登山にぜひ参加してほしい旨の内容。
え゛え゛~
Gosimei ご 指 名 で す か っ ! !

ちょうどメンタル的に落ち込んでいた時で、登山プログラムにご指名を戴き、山岳ガイドとしては至福のお知らせである。
さて、ちょうど現場稼働の時期と重なり、休暇の確保が問題。
私の勤務先、教育機関と無縁ではない。
入社した当時の直属の取締役は、山形県自然博物園の地質展示の執筆者であり、かつて某短大で地質学の講師をしていた。博士号を持つ某社員は、某田舎大学からの要請文書が会社に届き、臨時に実習講師を務めていた。
んが、そこはリストラ寸前ヒラ社員の私。
少年自然の家という県の教育機関からの依頼といえ、所属部署の偉い人から「趣味の山は仕事に差し障りないように!」と丑の刻参りのワラ人形なみに釘を刺されているので、目立つことは一切できない。なんとか同僚諸氏の皆様のご協力で、登山プログラム当日の休暇を一日だけどーにかこーにか確保。

 私が毎夏の山形県朝日少年自然の家「夏キャンプ」の登山ガイドにこだわるのは、それが「登山で社会に貢献する」という私の目標を具現できる数少ない機会だからである。
 自然の家の先生方からみれば、行政の経費削減の折、ボランティアスタッフとしてガイド協会の人間を利用できるのは願ってもないことである一方、私にとっては野外教育の on the job trainig の貴重な機会である。ヘンリーの「賢者の贈り物」状態ですな。私は賢者じゃないけど。

今年は月山の姥沢から姥ヶ岳経由の周回ルート。
参加する子供達の人数は26人、うち小学4年生が大半を占める16人。
かつてはザックにスイカを忍ばせたりというパフォーマンスもやったが、今はしない。子供達のリスク管理が自分に課せられた使命だと考えているからだ。
コースと人数、年齢を考慮して装備を決め、あらゆる可能性を模索しているうちに、明日が登山日。
前夜、いつもどおり仕事を終え、夜の高速を飛ばして月山山麓の志津キャンプ場に到着。
まずは先生方のいる本部テントに挨拶に向かう・・・・が。

 先生方の表情は皆一様にお疲れのご様子。
 聞けば本日はちょっとしたアクシデントがあり、対応に追われていたらしい。
 明日の登山は絶対に事故は許されない状況。
 夜のミーティングでまず子供達の様子、特徴(落ち着きのない子供、個性の強い子など)を把握。
 挨拶とミーティングを終え、今夜の宿となる自分の車に戻り、それからしばらく夏キャンプの計画書と名簿をにらめっこ。
 少年自然の家の行事は緊急連絡体制にしても独自に確立されている。また、日程は細かく決められているため、自分はいつどこでどう動けばよいか、日程の中でどんな事が予想されるか、再度頭の中で一日の流れを整理し、再構築する必要がある。

 NHKニュースの半井小絵おねえさんは「明日は強い寒気が入り込むため、北日本でも雷が多く発生するでしょう」と断言しやがっていた。
 星空を見上げる。
 志津から見る星空は満天の星。天の川まで、うっすらと確認できるほど。
 視界の片隅に流星が流れた。
 とっさに「明日の子供達が無事・・・」と願い事を唱える。
 唱え終わる前に、流星は燃え尽きて消えた。

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