月山で一番熱い夏。【後編】
今日は山形県朝日少年自然の家チャレンジキャンプ2008『ぶっちぎり!!夏・味・感』の登山プログラムの日。
子供達の様子を把握したいので、キャンプ場に前夜入り、朝食を取りながら子供達の様子、そして足周り(靴)を観察。
←今年のキャンプ村
今回ガイドとしてペアを組むのは、地元西川町の佐藤武敏氏。
姥沢の登山口で、出発式。
「登山をする際の注意をお聞きしましょう」と先生の司会で、私が月山登山の注意点を子供達に話す。
あれあれ、子供達にわかりやすいように要点だけと思ったのに、ついつい長くなっちまったい。
要点は、
・リフトに乗るよ!物や帽子を落とさないでね!
・歩く道は土の上じゃなくて、木道という木の板の道や、石畳や岩が積み重なった道を歩くよ!決して走らないでね!ゆっくり歩く子がいても急かしちゃダメよ!
・トイレはリフト駅と、頂上にしかありません。でも、身体を動かすとおしっこやうんちしたくなるのは自然なことで恥ずかしいことじゃありません。我慢できなくなったら近くのスタッフに声をかけてね!(注・スタッフはポンチョ型ツェルト、トイレセットを装備している)
・キャンプの目標は「自分の限界に挑戦する」。だけど、気分が悪くなったら我慢しないで近くのスタッフに声をかけてね!
以上の点を話す。(7年も自然の家の活動に関わっていると、口調が先生方の話し方に影響を受けてくる)
今回の登山計画で特に注意したのは子供達26人中、小学4年生が18人もいること。私にとっても未知数の経験である。
リフト上駅から早速、姥ヶ岳を目指す。
後ろから、小学4年生らしい女の子の幼い声が聞こえる。
「どうして月山に登るの~?」
私が口を出す前に、別の男の子が言った。
「挑戦だよ挑戦。」
大人が上から口を挟むより、子供達同士で納得してもらえれば幸い。
まずは姥ヶ岳に立つ。
ここで女の子が「あっ!壊れた!」と大声を出した。
驚いて振り向くと、小さな氷塊を手にしていた。姥ヶ岳の消えかけた雪渓から、大事に持ってきていたらしい。
姥ヶ岳から稜線を辿り、頂上手前の鍛冶月光も登り切り、子供達全員が月山頂上へ。
ここで昼食。
午後からの天候悪化を考慮し、先生方に早めに昼食時間切り上げ、下山開始を進言。先生方も、頂上で時間を持て余した子供達を遊ばせていると怪我になりかねないと用心して15分予定より早く下山。
月山で最もポピュラーな姥沢コース。
ガイドブックには書かれていないが、姥沢コースの魅力の一つは、あるポイントからは自分が歩いてきたルートが全て見渡せること。下山中、歩くことに夢中になっている子供達に止まってもらい、朝登った姥ヶ岳、そこから続く稜線、そして今はガスに隠れた月山山頂を振り返ってもらう。
自分たちの歩いてきたコースを振り返り、自分の目で確認することによって、がんばったことを自覚してもらいたかったからだ。
牛首からの下山路と姥ヶ岳の登高路が合流する地点で小休止。
もうリフト駅は目前で30分もかからないところ、通常のツアーでは決してこんなところでは休憩を入れないのだが、今回はあえて子供達の足を休ませる。最後のリフト駅までの下りを慎重に行くためである。
そしてリフトに乗り、姥沢で自然の家の所バスに乗り、みんなで水沢温泉で汗を流した後、再び志津のキャンプ場へ戻る。
サポーター(ボランティアスタッフ)のロコちゃんの「おかえりなさーい」という声に手を振りながら、ようやく緊張感から解放される。
今回の登山であらためて考えたこと。
月山登山のポイントとなる鍛冶月光の登り降り。足の短さは自慢できる私ではあるが、やはり大人と小学生の歩幅の違いを痛感させられる。(しかも今回は痛恨のコースミスもやらかし、少々子供達には歩きにくい岩場を下ることとなった)
あるトレッキングガイドの方のブログに書いてあった、「華麗に悪場を歩く姿を見せつけるガイドであるよりも、鈍くさく歩くガイドでありたい」という言葉をあらためて噛みしめる。そのココロは、クライアントの立場にたった歩き方をする、ということだ。
そして今回最も考えたのは、雪渓の通過である。
ここのところ、関西の雪渓に不慣れなお客様を相手にしていたこともあり、雪渓イコール悪場、という観念で常に子供達に注意を促してばかりいた。
牛首からの下山途中、雪渓で転んだ子供の楽しそうな笑顔。
その笑顔を見た瞬間、姥ヶ岳で氷の塊を大切に持ってきた女の子を思い出した。
今、引率しているのは雪国の子供達。雪の上を歩くのは慣れている。
ならば、せっかく真夏の雪の上を歩かせているのに、もっと自然に親しみ触れるという視点で子供達を引率できなかったのか。
私はガイドとして、登山を通じて、子供達に何を見、何を感じて欲しいのか。
後悔ばかりが残る、今年の引率登山であった。
キャンプ場に戻った後は、キャンプ協会の石井御大にくっついてボンファイヤーのやり方を学ぶ。
本当は登山のふりかえりや反省点を各班のリーダーや先生方からお聞きしたかったが、明日以降の活動の準備で慌ただしい空気を読み、ボンファイヤーが終わった時点で先生方に挨拶し、志津キャンプ場を離れた。
生活苦で最近購入を控えていたスタバのエスプレッソコーヒーをコンビニで買い、帰宅途中の車中で一人打ち上げ(暗い。)
明日以後の行事がうまくいきますように!
子供達はもちろん、先生方やスタッフも皆元気で乗り切れますように!
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