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パタゴニア仙台・横山勝丘講演会 ラインを引く

上司よりも、女の子よりも、会社を速攻で退出。
杜と汚職の都・仙台に向かう。
犯罪者集団シーシェパードやグリーンピースを支援しているパタゴニアの門を断腸の思いでくぐる。
2日20:30より、パタゴニア仙台で開催される横山勝丘氏の講演に出席。
まあせっかく仙台まで来たので、
Imgp0496鯨 大 和 煮 缶 詰 で 記 念 撮 影 。

は、さておき、日本のみならず世界の登山界のキーパーソンと私は考えている横山勝丘氏の講演は聞き逃せない。
んが、定員40名に対して集まったのは30数名。
若いクライマー達で満杯になったという関東の講演会に対し、これがイナカ東北の実態ですよ。
てめえの山域を熟知していることに満足し、新しい世界を知ろうともせず、古井戸の蛙に裸の王様。
一番登りやすそうなルートを探してはい、世界初登頂でございってが。
まあせいぜい酒飲み田舎山岳会の爺は、山小屋で酒に浸って若い衆に自慢話でも永遠にしていてください。
一方、ここ東北は猟奇連続殺人鬼がウジャウジャいる大都会東京と異なり、「田んぼの手入れで忙しい」とか「さくらんぼの世話で忙しい」とか事情があって来られない有志の登山者もいるであろうことを信じて、以下に講演内容の記録を掲載する。
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横山勝丘講演 ~ラインを引く~
Imgp0500すごく好きな写真、として画像の風景が講演の最初に映し出される。アラスカ・ベアートゥースに向かいラッセルしている写真。横山氏自身の心象風景だという。
難しいだけでなく、格好良い山(壁)を登りたい。この山には心を鷲掴みにされる感銘を受けた。
こういう壁は何かしら凄いエネルギーがある。それを登るクライマーも、それだけのエネルギーを込めなければならないのではないか。この二年間の原動力はこの壁の光景だった。

○ベアートゥース北東壁
 幾つかラインを見出したが、やはり壁のど真ん中を登りたかった。自分の心にぐっとくるラインを登りたい。
 壁の基部で、普段はノリノリの一村、佐藤が(壁に対して)冷めていたので、『営業活動』を開始。(登るか登らないかの)協議に30分ほどかけたが、この時間が大事。皆の意識を一つのラインに集中させるということ。
 同行の佐藤裕介はアルパインクライミングに関しては世界的なレベルに達している。あるピッチで佐藤が人工で行くと言った。アルパインクライミングで重要なのはどれだけ瞬時に的確な判断を下せるかということ。(←この点を横山氏は特に強調)どれだけのグレードをこなせるかなど、役に立たない。

○アルパインクライミングの面白さ
 どういうライン取りで行くか、自分をとりまくロケーションに浸ること

○ハンター北壁のクライミング
 ハンター北壁ムーンフラワーバットレスを登った。既成ルートとしてはこれまでに経験したことのない非常に質の高いルート。アルパインのスタンダードなルートを登り、自分達に何が足り、何が不足しているか知ることが出来た。アルパインクライミングに必要なのは『途切れることのない怒濤の体力』(←横山氏強調)
 ムーンフラワークライミングの目玉として、徹底した軽量化を図った。3人で全装備の重量6kg。ザックの雨蓋を改良し、ウエストポーチの様な形で荷物を収納、クライミングに専念できた。
 ただし、最近ライト&ファーストという言葉は日本国内で安易に使われていると考えている。大きく、時間のかかる壁で使われるべき言葉ではないか。

○デナリの継続クライミング
 『いかに山にどっぷり浸かれるか』で計画したのがデナリの継続クライミング。
 このデナリ継続クライミングのヒントとなったのは、日本の剱、黒部横断、穂高のパチンコから。冬の剱で死にかけ、山頂に立って思った。これは旅であり、サバイバルであり、第一線の登山だと。そこには完成されたストーリーがある。
 最近の登山は合理的・手軽に出来ることがもてはやされていると感じている。登山はもともと非合理なもの。非合理であればあるほど価値が高くなる。それをデナリでやりたかった。

○継続クライミングの意義
 どこでもいいから自分の行きたいルートを探してご覧なさい。
 (デナリ周辺の地図を示しながら)山はこれだけでかいのに、ここだけ(ルート)しか楽しんでいない。どれだけ山を骨の髄まで楽しめるか。継続登山はどんどん可能性が見えてくる。

○デナリのクライミングで思ったこと
 チェコダイレクト→デナリダイアモンドの方が難しいと思った。よくどのくらい難しかったかと聞かれるが、(グレードは)どうでもいい。カシンリッジを登って思ったのは「もっと登っていたい。」
 一番大事なのは「初登」。全然知らないところに突っ込む、自分にとってそれが一番大事。
 今回のクライミングが評価されるとしたら?そんなたいしたところは登っていない。既成ルートを繋げただけだが、「デナリを骨の髄から楽しんだ」この事は評価されてもいいかなと思っている。

○遭難した山田達郎、井上祐人ペアのこと
 彼等はカシンリッジの末端、カヒルトナピークを越え、前人未踏の完全な末端からカシンリッジをトレースしようとしていた。捜索ヘリが撮影した長大なナイフリッジにトレースされた足跡を見て、彼等の情熱にうたれ、身震いした。
 自分は(山岳雑誌などでクライミングを)語っているが、彼等の情熱に比べればまだまだである。彼等のようなクライミングを実現させたい。それくらい彼等は凄いクライミングを行おうとしていた。

○しめくくり
 モニターの写す画面は再び冒頭のベアートゥースに向かいラッセルするクライマーの風景となる。
 これが今の自分の心の風景です。再び皆さんに山のお話をする機会があれば、今度は頂上からの雄大な眺めを披露したいですが、たぶん又この写真で締めくくることになるでしょう。それが自分の生き方です。
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講演中、強調していた事の一つが「よく休み、よく食べること」。
スティーブ・ハウスの話していたこととよく似ているなと直感。横山氏やハウス氏のレベルになれば、当然行き着くところも収束されていくのだろう。
講演の締めくくりに明かされた裏話だが、横山氏はチェコダイレクトを登るに際し、スティーブ・ハウスとはメールで何度も情報をやりとりしていたとのこと。
そこでスティーブ・ハウスの言葉に「百聞は一見に如かず」とあったという。この言葉に、横山氏はクライマーとしての姿勢を自省したという。
今回の講演では参加者に横山氏手書きのベアートゥース北東壁のトポのコピーが配られたのだが、トポのタイトルは「Climbing is Believing」、百聞は一登に如かず、である。

Imgp0501横山氏とともに。

横山氏が常に強調していた言葉は『情熱』。
合理的なラインを引くことの強調といい、その姿勢は決して革新ではなく、クライミングの世界に古くから連綿と続く保守的なクライマーの筆頭であると私は考えている。
横山氏は今秋は再びカンテガ北壁、来春は新たな課題を抱いてアラスカ行を予定しているという。
シーシェパードやグリーンピースなど犯罪者集団を支援している企業ではあるが、パタゴニア仙台のスタッフの皆様には丁寧に応対していただき、また素晴らしい講演を企画していただき、ありがとうございました。

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