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韓国 人工壁事情

国体の鳴り物入りで人工壁ができたものの閑古鳥・・・なんてトコありませんかそこの山岳連盟のエラい人!
というわけでお隣韓国の人工壁繁盛記です。

人工壁の成功事例・ノウォン、ソンドン人工壁 by 月刊山
以下記事引用開始
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人工壁の成功事例・蘆原、ソンドン人工岩壁
 連日多い利用者で活気にあふれて…雨降る週末にはすし詰め

 クライミング教室も毎回人があふれるほどに人気上昇中、全国的に屋外型の大型人工壁が 40余箇所と推定されるようになった。
スポーツクライミング人口や需要がそれほどに増えたためだが, しかしいくつかの個所を除けば人工壁の利用率はあまり高くない。 大概は一日中がらんとしているか, でなければ少数の人が利用している程度だ。 最小でも2億ウォン、最大5,6億ウォンと言う施設費用を勘案すれば情けない位だ。 しかし例外的に驚くべき利用率をあげている人工壁もある。 なかでも代表的な所がノウォン人工岩壁とソンドン人工岩壁だ。

 ノウォン人工壁は連日利用者で活気にあふれている。
 秋ならロープが「すだれ」の様になっているほどだ。主な年令層や性別を問うと管理者であるソ・ウソク氏は “文字どおり老若男女”と言う。 実際に 7月18日金曜日午後、ノウォン人工壁は頭が白いお爺さんから小学校3年生まで、老若男女がめいめいに混じって人工壁を楽しんでいた。人数は30人ほどになるだろうか。そのうちにはほとんど毎日通うようになった人が半分、その他は週に何回か通う人々だ。
 これらはほとんどがノウォン人工壁で企画されているノウォンクライミング教室の卒業生たちだ。 これまでクライマーの輩出は大学や高校山岳部, 社会人山岳会, そして登山学校が主に担ってきたが、人工壁教室もその一翼を引き受けている。

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ノウォン人工壁。平日、そして蒸し暑い夏の日午後にもかかわらず多くの愛好家たちが人工壁クライミングを楽しんでいる。

(中略)
 ノウォンクライミング教室は、ノウォン区役所広報体育科で担当しているボーリング, ピンポン, テニス, インラインスケートなど生活体育プログラムの中の一つとして企画されている。昼と夜それぞれ20人定員で運営されているのに, 実際はいつも申請者があふれて30人以上になる場合が多く、最大43人が申し込んだ時もあった。 教育は毎週火・金曜日に12回にわたって進められ、受講者たちの熱気によって予定の2時間を超え3時間ずつの講習だ。最近21期が終わり、この間クライミング教室を卒業した延べ人員は約600人位になるとソ・ウソク講師は明らかにする。
 これら受講者数 600人の意味は決して小さくない。彼等がいつか岩壁やリッジクライミングに赴く人々だったと仮定すれば、正しい登山教育を通じて事故予防を果たすという意味でもクライミング教室は大変な役目をしているのだ。 首都圏の山岳地帯ではリッジクライミングなどで基本を無視した無謀登山で死傷者が数多いことを勘案する時さらにそうである。ソ・ウソク講師はこう語る。
「クライミング教室で一番重きを置くのが安全です。外岩でも人工壁でもロープと確保を利用した安全は基本中の基本ではないですか? その次が技術です。」
 ある受講者はクライミング教室修了後、ネット掲示板にこう書き込んだ「いままでどんなに無謀にリッジクライミングをして来たのかひしひし感じるようになった」 人工壁利用者たちの大多数はそのままクライミング教室修了者だ。 安全最優先の教育を受けた人々が壁全体の雰囲気を造り、ノウォン人工壁は初めてまともに運営されて行くようになったと言う。

(中略)

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ノウォン人工壁の指導講師チョン・ウォンジュ、ソ・ウソク、補助講師チェ・スクフィ、イ・ジョンナム、ユン・ゾンヒョン(左側から)。

講師たちの献身的な努力を支える財政支援が必要
 ノウォンクライミング教室の熱気はすごい。 12回中2回欠席すれば修了証を与えないのに、そんな人は全体の 10%に満たない。女性の中でわざわざ欠席する人もいるのが、8週めと9週めに行われる「リードと墜落」実習の時だ。わざわざ墜落体験をさせるから恐ろしくて出来ないのだ。 そんな事を除けばほとんど欠席者がいない位に熱気がすごい。
 受講費用は受講料 30,000ウォンと保険料20,000ウォン、総額50,000ウォン、その他、成績が良い受講者たちにはリュックサックやジャケットなども与えられる。受講者たちはハーネスとチョークバッグ、シューズだけ準備すれば良い。 高価なロープ、クィックドローなどの装備は全てクライミング教室側が提供する。
「うちの講師たちが区役所に積極的に話したんです。人々がアプローチしやすくなければならない。初期の装備購入費が数十万ウォンずつであれば誰がする、とですね。結局区役所側で納得しました。毎年ロープやクィックドローは廃棄処分して新たに購入します。受講者たちは大変恵まれているわけです。」

 毎年10月には秋に運動会をするように、クライミング祭りも開く。業者から物品の提供を受けて賞品として登山競技をするなど、楽しい一日を送る。冬には登りにくくて大概の人は室内の人工壁に行く。しかし二人の講師は人工壁の一角にドライツーリング(アイスバイルとアイゼンを利用した岩壁・氷壁混合登山技術)もできるように、冬に限りルート設定を変える。

 二人の講師は会社員達のために夜間照明施設を設けたりした。そのため夜10時まで気を使わなければならない。ノウォン人工壁とクライミング教室が活性化したことは、実はこの二人の指導講師がこのように真心で管理して来たおかげであり,ノウォン区役所の積極的なサポートのおかげでもある。
 ノウォン人工壁を管理しているソ・ウソク, チョン・ウォンジュ二人の指導講師は専門の登山家だ。 ソ・ウソク氏(45)は 16歳の時に光韻高校時代から登山を始めた登山家で, 海外遠征経験も多い。 ソウル山岳遭難救助隊隊長と同時にソウル市山岳連盟遭難対策を担当している。チョン・ウォンジュさん(32)は一昨年エクストリームライド大会で速度と難易度部門1位, 昨年大会も速度1位, 難易度2位を受賞した優れた登山家で韓国登山学校講師でもある。

 クライミング教室も毎度定員オーバーするほどに人気上昇している中、最高級の施設を取り揃えても利用率が遅遅として進まない人工壁が多い中、このように特別な実力と経歴を取り揃えた二人の登山家が講師として誠意をつくした結果、今日のノウォン人工壁の姿がある。教習は二人だけで進めるのは困難なため、イ・ジョンナム、ユン・ゾンヒョン、チェ・スクフィの三氏が補助講師として手伝ってくれる。「区役所が彼等に少しでも手当を支給すれば、クライミング教室がいっそう引き立つようになる」と二人の指導講師は言う。
 クライミング教室を修了した人々が自然に集まり2003年結成したノウォンクライミングクラブ(会長李正南)は現在会員が約30人で40~50代が一番多い。彼等は一週間に何度かノウォン人工壁に出るが、月に二度位は外岩に登りに行く。

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ソンドン人工壁の指導講師手チョン・ジュンさん。 慶煕大でスポーツクライミングの講義もしている。 ソンドン人工壁管理者と同時に指導講師であるゾ・ギュボク(左側)とソンドンクライミング教室出身者たちの集まりである「星岩会」シン・ジョンウォン会長。

 某所で設立した人工壁はシャワー室, 着替え室に室内人工壁まで全天候で楽しむことができるようにすべての施設を取り揃えたがまだ活性化することができなかった。 管理主体がハードウェアよりはソフトウェアがずっと重要であることを理解できなかったためだ。ノウォン人工壁は旧式のためシャワー室もないなど施設は不足な点が多いが、卓越したソフトウェアで全国最高水準の運用成果をあげている。
 ノウォン人工壁は周辺にソウル市民たちが多く訪れる水落山とブラム山という名山があり、多くの住民が殺到するタンコゲ駅の前に位置する。しかし遠く春川や盆唐からわざわざこのノウォン人工壁を尋ねて来る人々がいるという事実は、立地条件が人工壁活性化の大きい要素ではないことがわかる。

 ソンドン区役所が99年12月開場したソンドン人工壁は韓国最初の大型室外人工壁だ。
 この人工壁もノウォン人工壁のように模範事例として取り上げるに値する。ゾ・ギュボク、テチョン・ジュンの二人の指導講師は卓越したクライミングで講師として有名だ。ゾ・ギュボク(45)は全国規模のスポーツクライミング大会で何回も優勝した事がある実力派であると同時に、多様な経験で老練味を見せる名クライマーだ。テチョン・ジュン(44)は国内最初に5.14の高難度ルートを登ったクライマーであると同時にスポーツクライミング研究所を運営中だ。

 二人の講師が指導するソンドン区役所クライミング教室は、5月から10月まで9期にわたって進行される。夏休みの時の小学生組と5日間体験コースを主として、月・火・木・金の夕方7~9時の2時間ずつ2週間(総16時間)にわたり一般人を対象としたクライミング教室を開く。
 このソンドンクライミング教室は最初「普及するための欠点」として無料で始め、今現在も無料だ。受講者数はもちろん20人定員をオーバーして25人位になるのが常だ。無料であるだけに重複の受講申請は受けない。ただ最後に行われる中級クラスだけは重複申し込みを受けつける。その他、幼稚園児たちを5時間ずつ体験させるプログラムも進めている。

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人工壁教室の受講者たちに人工壁クライミングの要領を模範演技しているチョン・ウォンジュ指導講師。 ノウォンクライミング教室実習過程で真摯な表情で人工壁を登っている受講者。

数億ウォン投入した道峰人工壁の閉鎖

 こちらソンドンクライミング教室受講者たちも最初は「白紙状態」で始める人々が大部分だ。ここで学んだ後にインスボンなど各地の岩場で体験を広げて行く。ソンドンクライミング教室出身者たちの集まりと言う意味で星岩会(会長シン・ジョンウォン・62)と言う名前の山岳会も組職されているなど定着している。
 しかし初期には苦労が大変多かったとゾ・ギュボク講師は語る。(中略)これからは15人の星岩会の会員がノウォンクライミングクラブ会員たちのような役目を果たしているので安心だ。 それでも雨が降る週末には多くのクライマーたちが集まり、ぐっと緊張するとゾ・ギュボク講師は言う。
 その間ソンドン人工壁教室の受講者は年間最小180人ずつ、8年になったので延べ1,500人に迫る。岩壁登山の基本技術とメカニズムを原則どおり学んでいった1,500人の意味は先立って言及したとおり、正しい山岳文化の定着と言う点でも重要である。巨費を投じて運営される総合登山学校に劣らない役目を、これらソンドンとノウォン人工壁がその一部を担っているといえる。こちらソンドン人工壁の講師手当はノウォン区に比べて3分の2位にしかならない。それにもかかわらずソンドン人工壁がこのように円滑に運営されていることは、やはり二人の講師の老練さと努力、人徳が大きいと言うことだろう。

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ノウォンクライミング教室の実習過程。 写真に見える低い人工岩壁は数年前に設置したボルダリング壁。

大部分の屋外大型人工壁の效率の落ちる理由は、結局運営資金の問題だ。全国人工壁の実態に詳しい登山スポーツクライミング委員会アン・ガンヤン委員はこう語る。
「管理主体が費用をかけて管理人を常住させる所が結局よく運営されています。ノウォン, ソンドン以外にもナンナ, 仁川, 富川,光州の人工壁が数えられるでしょうか。ドボン(道峰)の人工壁は2億ウォンで設置され6千万ウォンも投じて補修してから閉鎖してしまいましたが、多くの人の努力と巨費が入った公共施設を、こんな風に無用の長物と化してはいけないでしょう。」

 別に必要もないのに立てた大型人工壁も数多くある。たいてい岩壁登山の人口自体が極少数である小都市の人工壁だ。このようにほとんど使う人がいないにもかかわらず無理して建設した人工壁は困り者になって、いざ必要な他の地方の人工壁の建立までも邪魔するようになっているという点で慎む必要がある。
 建立後に放置されている人工壁は事故の危険が存在する。雨が降る週末、人々が押しかける人工壁も安全が保障されているのは常住管理者がいるノウォン, 鷹峰, ナンナ, ボラメ公園等に限定される。
 これからの運営はもっと困難となる。事故の時の損害賠償問題のためだ。昨年春、提川人工壁で無知なまま登って墜落した人が提川市と提川山岳連盟を相手に損害賠償訴訟を申し立て, 安全管理義務違反としてソウル中央地方法院は30%の賠償判決を下した。すべての人工壁管理者たちの尻に火がついたのだ。数億ウォンも投入した人工壁を何年もたたず閉鎖することはできない事だから, 結局解決策はノウォンやソンドン巌漿のような体系的管理システムを取り揃えてソフトウェアを開発することだけだ。
  文 アン・ジュング 写真ホ・ジェ

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以上引用おわり
日本では国体競技もスポーツクライミングに集約され、「あれは登山とは別物だ!」という方が多いようですが、韓国では安全登山普及の一環として巧く人工壁が利用されている事が伺えます。
その一方、巨費を投じた屋外型人工壁で閑古鳥が泣いているという現実は、登山が盛んな韓国においてもあるようです。
 この記事で強調されている、人工壁を管理運営する「ソフトウェア」に力を注ぐべきというのは、我が日本の公営施設でも耳が痛い方は多いことでしょうね。
 日本の地方都市で、公営施設に人工壁があるにも関わらず商業ジムがあちこちに誕生し支持されているというのは、やはり運営者という「ソフトウェア」が大きく影響しているからではないのでしょうか。
(ちなみに我が山形県にも山形市と酒田市に商業ジムが、米沢市に有志によるジムが運営されています)

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