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緒形拳氏を悼む

現場作業中の立ち話で緒形拳氏の死去を知る。
本業の俳優としての経歴よりも、紀行番組のリポーターとしての氏を偲びたい。

DVD全盛の現在、いまだにビデオテープで保存しているのが、左翼偏向売国放送局TBSにしてはまともな出来であった1991年放映『TBS創立40周年記念番組 萬里の長城』である。
この番組は故・井上靖草案、中国中央電視台との合作、音楽は宇崎竜童によるオーケストラというバブル末期の正月番組らしいカネをかけたドキュメンタリー番組である。
内容は万里の長城を、東端から西域の砂漠に消えるまで、その姿を追ったもの。この番組のリポーターが緒形氏である。
 もともと、国民からまきあげた視聴料をせっせと中共政府のアカどもにミツグ君のNHK『大黄河』でナレーションを務めた氏であるが、リポーターとしても素晴らしい方であった。

 この番組の中で、氏は北京郊外で一人の少年と出会う。
 少年は親戚の家に緒形氏を連れていき、どんどん中に入っていくのだが、緒形氏は玄関で立ち止まる。
『この家の人にとって、おじさんは知らない人だから、そう中に入っていけないんだよ』
と、少年に語りかける緒形氏。
 
 この後、緒形氏は地元住民の家で旧正月の食事に招かれる。
 正月料理の餃子を勧められ、一つ口にした後の沈黙。
 家人がさらに餃子をすすめようとするのを手でとどめ、よく味わいながら一言、
 『好(ハオ)。』とだけ答える。
 芸能界に生きる人間にとっては、語り口とは命に等しいものであろうが、そのときの絶妙な沈黙は俳優たる氏の演出であろうか、それとも人柄のなせる技だったのか。
 百万言を費やすよりも美味しさが伝わってくる場面であった。

 好奇心の名の下に非常識まるだしの芸能人の紀行番組と異なり、その落ち着いた行動は視る者を安心させるとともに、大きく共感させるものがあった。
 その後も幾つかの紀行番組のリポーターを務めていた氏だが、最近の紀行番組でお見かけしないのを残念に思っていた。
 あらためて氏のご冥福を祈りたい。

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コメント

どの出演映画も、その存在感がしっかりしていました。主役でなくても印象に残る役者でしたね。
私が一番記憶しているのは「楢山節考」。
相当な山奥の話かと思っていたら、山梨県笛吹市の郊外、桃で有名な一宮町から少し入った春日山(1235m)が構想場所だそうで、意外でした。
この人に代わる役者さんは出ないでしょう。
合掌 

投稿: かもめ | 2008.10.08 21:23

 あらためて緒形拳の出演映画リストを見てみましたら、私あんまり出演作を見てないことに気が付きました。それにもかかわらず、あの存在感はなんだろう・・・

「楢山節考」の構想場所は意外ですね。
私の住む東北、山形市のすぐ近くにも姥捨伝説のある土地があり(あれは結構日本各地にあるのかな?)、かなり山奥のエピソードから着想を得ているとばかり思っておりました。

投稿: 聖母峰 | 2008.10.09 19:32

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