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【映画】『いのちの食べかた』 食の大量生産・オートメーション化の何が悪いんですか? 

我が家の夫婦仲のように冷え切った夜、管理栄養士のカミさんと共に映画『いのちの食べかた』を見てきた。

Ino

『いのちの食べ方』はドイツで制作された記録映画で、冒頭から終わりまで、一切のナレーションも、音楽すらも無く、ひたすら「食」の生産現場(それは工場と言い換えてもいい)の様子が延々と映し出される。途中、アクセントのように従業員の休憩・食事シーンが挟まれる。

見終わった後、私はカミさんに思わず「お疲れ様」と言い、後ろに座っていた若い女の子二人組も「疲れたぁ~」とつぶやいていた。

この映画、日本では昨年全国公開された当時からとても見てみたかった映画なのだが、山形県では公開されず、私自身なかなか他県でも見る機会が無かった。今回ようやく映画館で見る機会をつかんだ次第である。
山をやっている方にわかりやすく言えば、ドイツで出版された名著『生と死の分岐点』のごとく、ひたすら「事実をもって語らしめよ」というスタイルで食品の大量生産の現場が映し出されているのだ。

昨年すでに公開されているので、ネット上にも多くの感想・意見が公開されている。
その多くは、工場そのものの「農場」で展開される機械化された食品生産の現場に対する不安・恐れを訴える方が多いようだ。

だが果たしてそうなのだろうか?
大量生産・機械化は裏返せば、食品の安定供給・品質の安定化に繋がり、価格の安定化にも繋がることであり、現代社会においては国家戦略上も欠かせない事実・現実である。もちろん我々が住む資本主義社会では、アグリビジネスを展開する企業にとって機械化によるコスト削減も重要な命題であろう。
この映画を見て食料生産の現場に批判的な意見を展開される方はあらためて映画の公式サイトを読んでいただきたいのだが、監督ニコラウス・ゲイハルター氏のインタビューを読む限り、食料生産の現場に対するアンチテーゼを込めた意図は無く、ひたすら客観的な事実・現実の記録に努めた姿勢が伺える。

カミさんと共に映画の感想を話し、話題に上ったのは、映画で描かれる鳥・豚・牛の屠殺現場で女性の作業員が多いね、ということと、(日本では屠殺業にいわれなき偏見が存在するのでちょっと慎重に発言しなければいけないのだが)彼女・彼らは一生あの仕事を続けていくのかなあ、ということだった。
先にこの映画は一切のナレーションは無いと書いたが、作業員同士の会話シーンがいくつか記録されている。おそらく他愛もない話なのだろうが、何を話しているのか、私自身はとても興味を持った。ドイツ語なので全く聞き取れないのだが、せめてこの場面くらいは字幕を付けてほしかった。

この映画を見た方の多くは、普段目にすることのない家畜の屠殺シーンが印象に残ったことだろう。
だがそれは大量生産・機械化のいずれにも関わらず、誰かがやらねばならない仕事なのである。
かくいう私はヒマラヤ登山という一般の人々とは異質な現場で、家畜の屠殺(自分でさばいたものではなくネパール人コックが手を下したのだが)と食べるまでを経験する機会があった。カミさんは管理栄養士に至る学習過程で屠殺現場の見学を経験していたらしい。
それが流れるような機械化された現場であろうと、命を消費する事実に変わりはない。
あらためて命をいただく現実を認識させられた、すばらしい記録映画であった。

映画『いのちの食べかた』公式サイト

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