山に帰る。
台湾には数多くの山岳少数民族が生活している。
その中のブヌン族は人口4万人、かつて首狩の習慣を持ち、旧日本軍に最後まで抵抗した勇猛果敢な部族として知られる。
その彼らが自分たちのルーツを明らかにしようと、元の居住地のあった山中に入っていった、という記事には何か心打たれるものがありました。
入山前の儀式、鉄砲を空中に打ち鳴らす(自由時報電子版12/23より引用)
台湾メディアが伝えたブヌン族の人々のコメントのように、かつて台湾を統治していた日本人によって「村は焼き払われ」「平地への移住を強制され」、現在に至っています。
もう何十年も経過し、山中にある元々の居住地まで片道3~5日かけて歩くとのこと。山中にある元の居住地に2週間滞在の予定、ブヌン族の男達には山岳会関係者や生態学研究者が同行します。
この山中訪問の活動は今年で七年目、今回の彼らの目的は家屋を再建し、「棟上式」を行うことだそうです。
私は政治的に保守的な思想の持ち主なので、左翼関係者が隠蔽する『旧植民地における日本の果たした役割』にはもっとスポットライトがあてられて然るべきと考えていますが、やはり日本の統治時代は台湾の山岳民族、その文化に与えたインパクトは良くも悪くも大きかったのだ、と感じさせられます。
私が訪れたブヌン族の集落は静かで、人々も穏やかな人たちでした。
もっとも、台湾において山岳民族の人々が彼ら自身のアイデンティティーを求める運動は一つの社会問題でもあります。
台湾の山岳民族が近代化の名の下に失った文化、それを取り戻そうという若い世代の動きは活発になりつつあります。
自分たちの足下を見れば、日本においても失われつつある、または失われた山里の文化は数多いのが現実です。
寒冷前線の通過で霜が降り、歩きにくい山道に向かうというブヌン族の報道写真に、ちょっと考えさせられました。
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