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あらためて、嘉田由紀子 滋賀県知事の見識を問う。

日本野外教育学会誌『野外教育研究』第12巻第1号が到着。
調査・実践報告の論文では、茨城大学の櫻井健太氏らによる『読図初級者における事前及び現地情報の取得と道迷いの関係についての検証』が興味深い。
この報告論文は、冒頭に『しかしながら読図の指導法という観点でみると現在は登山経験者の経験的な知識から行われていることが多く、読図初級者の実態に即した指導法の確立はされていないのが現状である。』と唱えている。その具体的な内容は、読図初級者の能力と道迷いの関係について調査するため、実際に学生29名を被験者として地図をもたせてフィールドを歩かせ、情報取得の様子や行動形態を調査した興味深いもの。
 最近、登山関係者ではなくオリエンテーリング関係者が読図指導に台頭し、読図技法の習得について講習等が開催されているのは素晴らしい傾向だと思う。

 野外教育研究でもっとも期待していた記事は、実は別にある。
 08年6月に、滋賀県において開催された日本野外教育学会大会において、基調講演を行ったのが滋賀県の嘉田由紀子知事。
 以前当ブログでも取り上げたが、嘉田由紀子知事は「財政難」の名の下に滋賀県の荒神山自然の家の休館にGOサインを出した人物である。その人物を基調講演者にとりあげた野外教育学会の姿勢に疑問を感じるとともに、氏の講演だけは内容を知りたいと考えていた。ダム問題、新幹線の駅建設問題、栗東市の産廃処分場問題など難問が山積みの中、自治体の長として賛否が大きく分かれる嘉田由紀子知事。
 マスメディアの粗悪なフィルターを通してではなく、嘉田知事の生の声が知りたいと考えていた。
 今号の野外教育研究誌に掲載された講演記録はそういった意味では私にとってタイムリーなものである。
 (大昔、日本ヒマラヤ協会の機関誌に掲載するため、或る登山シンポの議事内容をテープ起こしして原稿書いたけど・・・あのテープ起こしという作業がメチャメチャめんどくさい。嘉田知事講演を原稿化した方おつかれさんです。)

 結論からいえば、今まで野外教育学会誌で幾人もの方の講演を誌上で拝読してきたが、非常に理解しやすい講演内容であり、嘉田知事ご本人の野外教育にかける情熱が伝わる講演であった。
 だからこそ問う。
 財政難の下に野外教育施設を休館することが、適切な『行政のメス』なのか?

 執拗に斉藤弘山形県知事を攻撃する一方で嘉田知事をダム問題でしか取り上げず、さかんに持ち上げるダブルスタンダードな山形の某市民派左翼市議会議員もいますが、きわめて財政難に陥った現在、教育機関にも大鉈を振るわなければならないというのが現実ではあろう。
 野外教育に対してこれだけの情熱を持った方が、自然の家休館という選択肢を選ぶ。
 山形から遠く離れた滋賀県ではあるが、今後の嘉田県政を注視したい。
 財政難による自然の家休館・閉館という問題は決して滋賀県だけの問題ではなく、日本全国で起こりつつある問題であるからだ。

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