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奪われた栄光 ~1924年 英国エベレスト隊の闇~

登山史マニアな方にはたまらないニュース。
1924年の英国エベレスト隊のマロリー遭難。
マロリーとアーヴィンは果たして登頂に成功したのか?が大きな謎として取りあげられていますが、その陰に、「何故マロリーは経験の浅いアーヴィンをパートナーに選んだのか」ということも研究家にとっては謎として取り沙汰されています。

 今出張中の身なので手元に資料が無いのですが、私の記憶ではノエル・E・オデル氏の証言として「アーヴィンは酸素供給機のメカニックとして優秀だった」ことがマロリーがパートナーとして選んだ理由と言われています(岩と雪・池田常道氏の記事による)
 さて、1924年英国エベレスト隊で登山隊メンバー選定に関する新事実が、日本でも知られる作家・ジェフリー・アーチャーの取材で明らかにされました。

George Finch's chance of Mt Everest glory stolen by Heraldsun2/20
以下記事引用開始
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奪われた栄光 ジョージ・フィンチのエベレスト

 ヒラリー卿のエベレスト登頂にさかのぼる29年前、オーストラリアの登山家はエベレスト初登頂のチャンスを英国王立地理学協会によって奪われていました。
 この意外な事実は、英国のベストセラー作家、ジェフリー・アーチャーの小説「栄光への道」執筆の取材で明らかになりました。
(中略)
 マロリーはフィンチと組まない限り登山隊に関わることを拒み、多くの人々にとってはフィンチはマロリーより優れた登山家と考えられていました。
 強力で経験豊かなフィンチが、マロリーとザイルを組みました。
(中略)
 しかし、フィンチとの関係は王立地理学協会によってくつがえされました。それは第一次世界大戦後、英国の国威高揚のために支持されたのです。
 英国王立地理学協会のエベレスト登山委員会秘書、アーサー・ヒンクスは、オーストラリア人がエベレスト初登頂を果たすことは受け入れがたいということを述べています。
 ヒンクスは、オーストラリア人が離婚した際に不誠実だったという噂を根拠に、フィンチを除外しました。彼はフィンチの国籍を本質的な問題として、公然の秘密としていました。
 マロリーがフィンチ抜きで登山隊に関わることを拒んだ際には、英国皇太子がマロリーの愛国心に訴えて問題に介入しました。
 ジョージ・フィンチ(1938年に英国王立地理学協会に入会)は、登山の功績により、大英帝国勲章を授けられ、1970年、82歳で亡くなりました。
 エベレストは、1953年まで征服されませんでした。そして英国人によってではなく、ニュージーランド人エドマンドヒラリーとシェルパ族テンジン・ノルゲイによって成し遂げられたのです。
(後略)
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以上記事引用おわり

Finch←ジョージ・フィンチ近影

先日に当ブログで書いた「二人のノエル 【書評】ヤングハズバンド伝」にもあるように、1920年代の英国エベレスト隊の実態は、スキャンダラスな面が多々存在しました。
 まあ1970年の日本エベレスト登山隊の許可問題も、最近ではナムチャバルワ許可取得の日本山岳会の裏工作も、同じ穴の狢だけどな。
 歴史のifを考えることは無意味である。特に登山では。
 私自身は某新聞朝刊コラムに執筆したとおり、マロリーが生還できなかった以上は尊敬に値せず、エベレスト初登頂の栄冠はヒラリーとテンジンに与えられるべきものである、というのが私の持論であります。

 この記事のタイトル「glory stolen」とはフィンチが登頂できることを期待したタイトルなのでしょうが、大英帝国の威光がまだ残っていた時代としては、フィンチが栄光に輝く機会が失われたのも、時代の流れとして致し方無かったのかもしれません。
 また一つ、1920年代の英国エベレスト登山隊の「闇」に光が当てられた記事といえましょう。

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