きょうのはっけん。【おきうと】
おきうと。
九州出張が決まって以来、絶対に食べてみようと思っていた食べ物が「おきうと」である。
本田靖春氏の名著『K2に憑かれた男たち』の中で、77年K2登山隊の隊長を務めた福岡のサムライ・新貝勲氏の好物として実に魅力的に描かれており、登山隊成立までの苦労話の中に光るエピソードとなっている。
本を読んだ学生時代、この「おきうと」という食べ物が気になっていたのだ。
「おきうと」とは海草を煮て固めた食べ物で、博多・福岡の人々の好物、という程度の知識しか無い。
居酒屋、魚屋、デパート、あちこち廻ったが見あたらない。
ネットで調べれば一発でわかるのだが、それでは見知らぬ街を歩き回る楽しみが減るというものだ。
最初に見つけたのは意外にも、博多駅の観光客向けお土産屋だった。
ずらりと並ぶ明太子の間に、小さなパックが隠れるように置かれている。
それが私と「おきうと」との初対面。
お土産屋のおばさんに聞いてみると、『お土産というよりも、福岡の人が懐かしがって買っていくんですよ』という。そのときは福岡市内に所用があったため、購入は諦めた。
やっと今日、近所のスーパーで「おきうと」発見。
サインペンくらいの太さの棒状のものが3本、パックされている。
これを切って食べるのか、と部屋であけてみたら・・・
こんな小判状の「おきうと」が丸まって棒状にみえたのでした。これを細く切って食べます。
本来は博多・福岡の人々の朝食のおかずらしいのですが、我慢できずに夕食にたべちゃいました。
酢味噌と醤油、両方で試しましたが、私は酢味噌派です。
海草の味の、さっぱり風味でおいしいですね。夏の食卓に良さそうです。
このオキウト、地元で「エゴ」「ケボソウ」と呼ばれる紅藻類、エゴノリ、アミクサから作られる。
エゴノリ、アミクサはほぼ日本中に分布している。
これらエゴノリ、アミクサの成長の様子は学術的に未解明の部分が多いらしい。(六月社刊「北九州の自然」参照)
それでも、昔の人は美味しく食べる方法と、その海草を見つけているわけですね。
山里で雑草や山菜を食べ始めた先人の知恵にも頭が下がりますが、海産物を人間の食卓にあげた人々の歴史にも尊敬の念を抱きます。
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