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神の山、ブナの山。

英彦山(ひこさん)。
大峰山、そして我が山形の羽黒山に並ぶ「日本三大修験道の山」。
福岡滞在中にぜひ訪れたい山であった。

久々の休日、英彦山の中腹を歩いていると、

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見事な霜柱。
暖かい九州、雪が無いとはいえ、山上は冬なのだ、と自分を戒める。

Pa0_0410頂上直下のお社に、井戸があった。
稜線も近い場所、すなわち地下水の涵養も乏しい場所に井戸が存在することは、私にとって驚きである。参拝するのも忘れて井戸の蓋を開けてみる。
溜まり水のようではあるが、こんな場所に井戸が存在すること自体、神々しい。
先人が畏敬の念を抱いたことに深く共感。あらためて手を合わせる。

Pap_04022本日は夕方から所用があるため、山行の目的を「ブナ」の視察に絞り、ルートも中岳往復とした。
標高900m付近からぽつぽつとブナの木が現れる。
月山のブナ同様、木肌はチャボスズゴケで彩られている。
根元までコケに覆われているのは、雪に乏しい九州のブナらしい。
(※ 積雪地では、ブナの木肌に生えるコケの位置が、おおよその積雪深の目安になる)
ここ九州では、ブナの分布はおよそ1000m以上の山岳地に限られる。
また自然保護団体・山岳団体の有志がブナの実を収集、ブナの繁殖に尽力していると聞く。

頂上でティータイムを過ごし、下山にとりかかる。
往復登山という形式を好まない方もいるが、私は好きだ。
下山にじっくり、景観を楽しむのが私流。
ブナの木と同時に楽しみにしていたのは、英彦山中腹の参道。
当ブログにコメントをお寄せくださった方のアドバイスとともに、2万5千地形図に判読できる門前町の様式が私の期待を駆り立てる。
Pa0_0420直線で500m以上、徒歩で約20分、延々と石段が続く。
両脇の段々地形はかつての宿坊の名残。
わずかに現役の宿坊も残るが、ほとんどは空き家、空き地だ。
かつては大勢の修験者、参拝客で賑わったのだろう。
私に聞こえるのは鳥の声と水の音だけ。
感性の乏しい私ではあるが、今も続く山形・羽黒山、奥多摩・御岳山の宿坊の賑わいとは対照的な、鳥の声だけが賑わう宿坊跡に、時の流れを感じざるを得ない。

下山途上、今も残る宿坊前で草むしりをしている女性がいた。
私が挨拶する前に「おつかれさま」と声をかけてくれる。
ここには多くの参拝客を迎えた伝統が残っているのだ、と思った。

添田町営バスで「銅(かね)の鳥居」に下車したのが9時過ぎ、頂上を往復し、途中の売店で買い物をして、11時20分「銅の鳥居」発の添田町営バスに間に合わせた。
急ぎ足の訪問ながら、重厚な歴史を積み重ねた英彦山の雰囲気を満喫。

Pap_03952
お土産に「英彦山がらがら」を買いました。
素朴な土鈴です。コロコロという控えめな音が気に入りました。
安全祈願に、今年ザックにつけておこうかと思います。

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コメント

わざわざ英彦山にお越し頂いてありがとうございます。
鳥居から2時間で往復、ガキの頃の記憶しかない私にとっては驚異的。
英彦山ガラガラは今も持っています。
途中おばさんに声かけてもらえた事は、私も嬉しい。
多分雪舟の作った庭付近だと思います。
お節介な英彦山の紹介文を書いてすいませんでした。
今後も懲りずにお願いします

投稿: きじばと | 2009.03.30 20:28

re:きじばと様
 GreenWalk誌の英彦山特集のバックナンバーを購入し、図書館で英彦山関連の書籍を読み、とても興味が深まりましたが、所用で泣く泣く中岳往復のみとした次第です。もっと自然に触れられる奥深いコースを歩きたかったのですが。

 参道では「小さい頃(遠足で)嫌々歩かされてさあ」と話しながら登っている年配の男性がいて、近郊の学校登山を経験された方はみんな同じ想いなのかなあと微笑ましく聞いてました。

<<お節介な英彦山の紹介文を書いてすいませんでした。

とんでもございません。
おかげさまで福智山とはまた違った、良い山で時間を過ごすことができました。
どうぞ今後ともまたコメントお寄せいただければ幸いです。

投稿: 聖母峰 | 2009.03.30 23:06

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