テロと戦うべきは誰か。
私は、読者の皆様に誤解を招かれても大いに結構でございますが、少数民族の人々に化学兵器をバラ撒いて虐殺したイラクのフセイン政権は打倒されるべき存在であり、そのためには軍事的手段しかあり得ないと現在もなお考えていますし、あらゆるテロ行為には断固たる措置を取るべきと考えています。
しかしながら、テロと戦うのは誰であるべきなのか?
アメリカで、14歳から21歳の青少年が、訓練用ガス銃を手に対テロ戦闘の訓練を受けています。
彼らの所属団体は『ボーイスカウト』。
正確にはボーイスカウトの下部組織がこういった対テロ戦闘訓練を少年たちに施しているのですが、そのことがアメリカのリベラル系・反戦系メディアにセンセーショナルに取り上げられています。
Scouts Train to Fight Terrorists, and More by NewYorkTimes5/13
ボーイスカウト自体、その歴史と起源を振り返るに戦争が大きく絡んでいることは関係者もご存じのはず。
もちろんボーイスカウト自体は、現在では健全な野外活動を主目的とする団体であります。
肯定的に考えれば、
学校内での銃乱射・大量殺人が現実となっているアメリカ
9.11を経験したアメリカ
州軍など、「軍隊」が一つの職業として確立されているアメリカ
郵便局の壁やスーパーの牛乳パックに、誘拐されて行方不明の幼児の顔写真が掲載されるアメリカ
では、少年たちが銃を持ち、戦闘訓練を受けるのもさもありなん、と考えることもできましょう。
しかしながら、野外活動を主目的とするはずのボーイスカウト団体がこのような軍事教練的な活動に手を染めるのは、保守的な政治思想の持ち主を自認する私でも容認できるものではありません。
テロリストに対処する戦闘行為は、職業軍人ならびにそれに準ずる関係者が従事すべき「業務」だと考えます。
最初にこの記事を読んだ私は、少年たちが戦争にかり出される例としてヒトラー・ユーゲントを連想したのですが、上記リンクのPSL(Party for Socialism and Liberation) はキューバ政府支持・親中国というアメリカ国内でも極左系メディアではありますが、やはり記事中で『the Hitler Youth』という表現を用いています。
繰り返しますが、私は7月の飯豊連峰なみに頭の中がお花畑な市民活動家・平和運動団体のクルクルパーどもと違い、国家防衛は国民を護る重大な、誇るべき任務だと考えています。
ただし、その戦闘行為の責をボーイスカウトの青少年たちに負わせるのは間違いであり、野外活動・野外教育が担うべきは、青少年の健全育成が主目的のはずである。
今や世界唯一の大国と言われ、莫大な軍事予算を抱えるアメリカが、何故に子供たちに戦闘訓練を受けさせるのか。
野外教育の分野でアメリカは先進国と私は理解していたのだが、ボーイスカウト団体が戦闘訓練の一翼を担うという今回の記事は、同国の野外教育の恥部を見せつけられた記事といわざるをえない。
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