« すくって 食べて 流しそうめん | トップページ | 山岳ガイドの、或る日の夕食。 »

素晴らしきかな、初夏の摩耶山

日曜日。
NPO法人エコプロ主催のガイド山行・摩耶山に on the job training を求めて押しかけサブガイド。
メインガイドは月山朝日ガイド協会の事務局を務める真鍋氏。クライアント7名を挟み、しんがりを私が務める。

Pa0_0639
山頂からのぞむ摩耶山の山並み。

 山形の山と言えば鳥海、飯豊、朝日、月山、蔵王といったところが有名どころだが、日本海にほど近い場所に位置する摩耶山(標高1020m)はかつて修験道の山として古くから登られた山である。
 摩耶山の「摩耶」という名称は、仏陀の母親の名前からとったという説もあり(出典:山形県学術調査報告書)、また山麓の古い神社には鉄鉱石が奉納されている、古代の鉄の産地でもある。
 日本海に近い位置から冬季の厳しい気候で花崗岩は激しく風化し、急峻な地形でフィックスロープ、鎖場、ハシゴ場が連続する。それだけ事故も多い山域である。
 私が今回エコプロのガイド山行に同行したのは、あらためてそういった難場・悪場でのガイディングを経験するためである。

 あえて書いておくが、最近「岳人」誌で登山家・山本一夫氏が語るように「注意して」という言葉を出すくらいならロープ出せ、というのはもっともな論である。
 しかしながら、最近ガイド関係者(特にエラい先生方)にみられるような、「ロープさえあれば事故は減るのだ」という短絡的かつ単細胞的な発想は私は同意しかねる。
 ロープさえあれば事故は減るという方々は、かつてマスコミを騒がせた、ガイドが絡んだ一連の気象遭難をどのようにフィードパックするつもりなのか?

 ま、ガイドといえばヨーロッパアルプスあたりのガイド に し か 頭が向いていないセンセイたちはさておき、東北の山でも滑落して死人が出ているのは現実。前述のようにロープフェチな登攀ガイドのセンセイ方には辟易するが、私も今シーズンは心を入れ替えることにする。
 ガイドの師匠からは「ハーネスはレッグハーネスよりシットハーネスも用意した方がいい。装着が面倒なハーネスは、ロープを出すことを面倒に感じてしまうからな」と言われていたのでハーネスも新調。  

 本日は摩耶山の倉沢コースをめざす。
 ちょうど倉沢登山口の山開きと日程が重なっており、地元の草刈りメンバーと相前後しながらの登山となる。
 花崗岩の山といっても風化が激しく、岩がしっかりしているところがほとんどだが、一部もろいところもあり、「ラクッ!ラクッ!」と叫びながらの登山となる。
 そして私たちを驚かせ、疲れを吹き飛ばし、癒したのはあまりにも見事な花模様。

 標高700m付近、沢を横断する箇所からヒメサユリの大群落。沢筋の斜面をピンクに飾っている。
 さらに急峻な道、両側が切れ落ちた道を進むと再び樹林帯。
 そこで私たちが目にしたのは、純白のイワカガミだった。しかも斜面一面を覆う大群落、すべてが白い花のイワカガミなのだ。
 クライアント達は皆感嘆しながら、頂上稜線に近づく。
 稜線直下に岩壁があり、その下をトラパースするのだが、その大きな岩壁は

 ヒメサユリの大群落の淡いピンク
 ニッコウキスゲの明るい黄色
 ツツジの紅色がかった赤

 で彩られていたのだ。まるで幼子がクレヨンで描く花畑のような、見事な色彩。
 その画像は、

 Photo
ご覧になりたい方は、ぜひ初夏・山開きシーズンを狙って摩耶山にお越しください。
私たちが歩いた倉沢コースは、たいていのガイドブックでは難コースとして省略されているか、簡単な記述が乗っている程度の紹介で終わっている。そのため、あまり花が見事だとは聞いたこともない。
花の山として、自信をもっておすすめいたします。

登山そのものはやはり急峻なコース、7名のクライアントと共に登り、いろいろ考えさせられる。
鎖場、フィックスロープといっても、よくよくみれば良い手がかり・足がかりの岩場がすぐ横にあるのに、あまり山慣れない方にとってはやはり鎖やロープに視線も気持ちも集中してしまうのだろう。
ついつい鎖を握りしめ、体重をかけてしまい、ごろんと横向きに斜面にへばりついてしまう光景をよく見かける。
これまた私は持論として認めたくないのだが、クライミングが登山の基本になる、という事を痛感させられる。

ほんのちょっとした岩場・枝に手足をかける際の効果的な体重移動は、やはりクライミングのそれであるからだ。

私自身は、乾いた花崗岩に登山靴のフリクションを聞かせて登高する感触を楽しむ。
急峻な山、花崗岩。
以前訪れた韓国の雪岳山で、大韓山岳連盟の申氏といつ果てるともわからぬ下降を続けた事を思い出す。

15時には登山口に下山、無事にプログラムは終了。
私は一日、寡黙なサブガイドで過ごす。少しは真鍋節のカケラも真似せねば。

Pa0_0640
摩耶山山頂に咲いていたヒメサユリ。

Pa0_0637 山開きのため、登山者でごったがえす山頂。本来はもっと静かな山でございます。

Pa0_0638 クライアントは女性が多いのですが、皆さん行動食や昼食には一工夫も二工夫もされていますね。薄いコンニャクと昆布を巻いた煮物。美味でした。

Pa0_0641 手作り笹巻きゆべし。これまた美味でした。

この日ご一緒したクライアントの皆様、ごちそうさま&おつかれさまでした。

|

« すくって 食べて 流しそうめん | トップページ | 山岳ガイドの、或る日の夕食。 »

山岳ガイド日記」カテゴリの記事

コメント

初夏の摩耶山 いいですね
この名は記録してこの季節に訪れたい

写真を見て満足するな 現地で歩いて見ろ!
よく分かります、あえて写真を載せなかった意図が

投稿: きじばと | 2009.06.16 16:34

re:きじばと様
 コメントありがとうございます。
 
<<写真を見て満足するな 現地で歩いて見ろ!
 私、性格良くないものでそういった意図も多少含んでいるのですが、一番の理由はやはり花の美しさに非常に感銘を受けた光景ということです。
 とてもブログの小さな画像で表現しきれるものではないし、その山の美しさには実際に触れてみてほしい・・・という程の花の山でありました。

 標高1000mをわずかに越える山形の僻地の山で、宝物を見つけたような印象でした。
 この山域は古代の遺跡・史跡も多く、エピソードも多い土地柄なのですが、それはまた後日あらためまして。

投稿: 聖母峰 | 2009.06.17 00:45

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21370/45352289

この記事へのトラックバック一覧です: 素晴らしきかな、初夏の摩耶山:

« すくって 食べて 流しそうめん | トップページ | 山岳ガイドの、或る日の夕食。 »