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末端ガイドからの提言 トムラウシの事例をうけて

はじめに、今回トムラウシ・美瑛岳で亡くなられた方々のご冥福をお祈り致します。

日本山岳ガイド協会所属ガイドの一人として、今回のトムラウシ・美瑛岳遭難事故をうけて次の項目を提言致します。

1.アミューズトラベル社ならびに株式会社オフィスコンパス、もしくは日本山岳ガイド協会による事故状況報告書の早急な公開を望む。

2.日本山岳ガイド協会はその研修内容において、集団登山の形態に即した内容を盛り込むべきである。

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以下、本音で想うところを書く。

事故の詳細については山岳ガイド嫌いな某遭難ブログとか性格悪そうな雪氷学会会員のブログとか登山は知らないけど想像力豊かな方のブログとかで散々書かれるでしょうから割愛します。
ガイド会社、山岳ガイドを社会悪に仕立て上げたくてうずうずしているマスメディアの記事は、情報収集のために目を通しますが、それで今回の事故を解析しようとは思いません。

北海道の宮下岳夫氏が自身のブログで書いてあることが、私にとって全てですね。
『たとえ非難のど真ん中に入ろうとも、ガイドは一人も殺してはいけない。』

提言1について
 誰もウェブ上では触れていませんが、アミューズトラベル社はガイド組織として、れっきとした日本山岳ガイド協会傘下の組織(マウンテンツアーガイド協会、担当者は現在社長としてメディアの格好の餌食となっている松下氏)なわけです。ぜひ今回の事故の事実を、メディアという粗悪なフィルターを通した情報ではなく、組織としての報告をJMGA会員に報告してもらいたい。またその義務があると思います。少なからぬJMGA会員が、アミューズ社の業務に関わっているのは周知の事実ですから。

提言2について
 日本山岳ガイド協会の登攀ガイドのセンセイ方にみられる、「ロープさえあれば顧客が助かる」ってさんざん言われてましたが、今回のような事故にロープが何か関係ありました?
 我々日本の山岳ガイドは、ヨーロッパの山岳ガイドのサルマネする以前に、もっと突き詰めなければならない問題(旅行社との雇用形態、業務形態などなど)を抱えているのではないでしょうか。
 今、JMGAのエラい人とツアー登山の最前線で力を尽くしているガイドの間には乖離がある、と私は考えています。

 ツアー登山、アミューズ社について想うところは多々ありますが、本日はこれまで。
 私の姿勢は、今回の事故を教訓に、また粛々と登山初心者の方々を月山に引率する。それだけです。

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コメント

今回の遭難事故については多くの方々が「何で?」と思われているでしょうね。
でも単独登山専門の私としては「ガイドは神様でも仙人でもない」です。集団についてゆけないと判断したら避難小屋に置いていってもらいます。あとは自己責任で下山します。念書書いてもいいですよ。
16日から北岳に行ってました。入山した時点では晴れてましたが、夜から悪天。白根御池で2泊して、雪渓で少し遊んで帰ってきました。強行して肩の小屋まで行った人によると、雷&強風&ミゾレで凍死しそうな寒さだったとか。
北海道のことは帰ってから知りましたが、同様になる可能性もあったわけです。
装備万全でも、最後は自分の判断力ですかね。

投稿: かもめ | 2009.07.20 09:18

re:かもめ様
<<念書書いてもいいですよ。
クライアントが皆かもめ様のようにサッパリしているとありがたいんですけどね。
かくいう私も、でかい低気圧通過時のツアーで、不安なお客様に宿・バスで待機していただいて、風雨の中強行した経験あります。

<<雪渓で少し遊んで帰ってきました。
ツアーに参加している中高年の方々を見ていて、もっと頂上にこだわらない「山歩き」を楽しむ姿勢(余裕といいかえてもいい)があってもいいのに、と思うときがあります。

<<装備万全でも、最後は自分の判断力ですかね。
 高級なデジカメはお持ちなのに、身を守る衣類・装備が今ひとつという方は多いですね。メディアではガイドの装備チェックの有無について執拗にこだわっているようですが、私の場合はなから信用せず、状況によっては予備のウェア・雨具を持って行くこともあります。

 有償のガイド山行では、ガイドは当然、「判断」も業務の内でありまして・・・
 さきほど、メディアで「客がガイドに救援要請を詰め寄った」という報道がなされていましたが、判断のイニシアチブをとれていなかったという点で、やはりガイドが責を負うことになるのでしょう。
 そのような事態が自分の身に起きるという可能性も含め、暗澹たる想いです。

投稿: 聖母峰 | 2009.07.20 22:25

偶然、このサイトがあり見ましたので・・・「以下、本音で想うところを書く」の内容、まったく同感です・・・宮下岳夫氏の言葉。 特に山岳ガイド協会の講習内容ですが、ツアー登山への指針や講習内容が皆無といっていい。 
ただ登山ツアー会社が「儲けよう、儲けよう」、参加者が「安く、より安く」というマイナスの磁気が反発し続ける限り、今後も悲劇は終わらないのでは。
以上、村岡でした。
山形県酒田市出身で福岡で山岳ガイド(アンデニスタクラブ主宰)をやっている者です。

投稿: 村岡由貴夫 | 2009.08.05 09:32

re:村岡由貴夫様
 コメントありがとうございます。
 私の文章ではハチャメチャになっていますが、

<<ツアー登山への指針や講習内容が皆無といっていい。
村岡様ご指摘の通りです。過去ガイド山行における悲惨な気象遭難が繰り返されているにもかかわらず、研修内容は「ロープ偏重」であることに疑問を抱いておりました。

 重ねてご指摘のように、今後も悲劇は繰り返される、と私は悲観的に考えています。
 改革的な何かを期待するよりも、私たちガイド一人一人が地道に声を上げるしか無いような気もします。

 ところで村岡様は酒田の池田昭二氏のお知り合いの方でしょうか。
 池田氏ご本人には面識はありませんが、氏が書かれた雪洞に関する資料を大変参考にしております。
 また今春福岡に2ヶ月ほど滞在しましたが、歴史ある山々に大変感銘を受けて帰ってきました。
 またよろしければコメントお寄せ下さい。

投稿: 聖母峰/大滝勝 | 2009.08.08 01:49

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