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韓国登山界の『ニューウェーブ』

ま、登山界なんてのはどこでも似たようなもので。

記録・競争を目指さぬ新世代登山家 by ハンギョレ新聞8/3
以下記事引用開始
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記録・競争を目指さぬ新世代登山家
新ルート、シェルパレス、最少の装備で‘8000m峰のスター登山家にだけ支援’が変わってこそ

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登山家キム・チャンホ(40)氏が去る4月ヒマラヤ マナスル峰(8163m)無酸素登山途上、頂上付近で休憩中(キム・チャンホ氏提供)

 先月23日、登山家キム・セジュン(40)氏はヒマラヤ山脈パキスタン側にそびえるラトック1峰(7145m)を登るため、22日間の偵察山行を終えて帰国した。
 ラトック1峰は1978年から、日本のヤマノイヤスシ、アメリカのジェフ・ロウら世界的登山家が登ろうとしたが皆失敗した難ルートだ。
 キム氏は前人未踏のこの山を登ろうと2年かけて準備中だ。

‘他の人々から認められなくても…’
 キム氏は他の人々が登ったことがない新ルートを開拓する登山家だ。 我が国では無名だが、海外では名高い。インドヒマラヤ・メルー峰(6600m)北壁。落石・雪崩も多くて登られていないルートだ。キム氏は昨年シェルパレスで最小限の装備を利用して、55日間かけてこの山に登った。
 キム氏がメルー峰登頂に成功したという情報は米国「クライミング」、フランス「モンターニュ」等、世界的に権威ある山岳雑誌に紹介された。登山家として快挙である。だがキム氏の成功は国内メディアでは全く紹介されなかった。

 登山家モ・サンヒョン(35)氏も‘アルピニズム’を追求する登山家だ。 彼は先月一ヶ月間、スイス・シャモニー地域のアルプスに行ってきた。 アルプスには高さ1000~4000mの山脈が数千ヶある。モ氏が行ってきたところは‘シャルドネ-ウィノスパー(渓谷)’などだ。 こちらは高さは4000mに過ぎないが、氷壁と岩壁だけでも1000mを越えるビッグウォールが多い。ビッグウォールは歩いて登るのでなく壁を登らなければならないから、主にロープを使い数多くの技術が必要とされ、また危険だ。モ氏は“1000mを越える岩壁を登り、楽しむだけでなく技術と応用力も学んで新ルートを開拓する真の意味の単独登山をしたい”と話した。

去る4月ヒマラヤ・マナスル峰(8163m)を登った登山家キム・チャンホ(40)氏もシェルパはもちろん同行者もなしで単独登攀を楽しむ。2006年にはヒマラヤ山脈ガッシャブルム2峰(8035m)を一人ザックを担ぎ18時間20分で登った。

 国内山岳界の付和雷同の現象、これら‘新世代’登山家らの新しい挑戦と違い、国内の山岳界では相変らず‘8000m以上’の山に登ってこそ名声を得て財政的支援を受けることができる。オム・ホンギル、パク・ヨンソク氏など国内最初に8000m以上の高さの‘ヒマラヤ14座登頂’を果たしたスター登山家らだけに登山用品メーカー等の後援・支援金も集まる。
 こうなっては8000m峰ではなくても他の人々が登らない新ルート、または新しい方法で登攀しようとする若い登山家らは支援を受けることができず、自費をはたいて山に登る。ヒマラヤ登攀には1人当り2000万ウォン(訳者注:日本円で約160万円)がかかり、5~6人でチームを作れば少なくともチーム当たり1億ウォン余りが必要だ。
  実際、キム・セジュン氏はメルー峰に登る際には10年間毎月8万ウォンずつ積み立てた終身保険を解約しなければならなかった。
 2007年韓国人として最初にヒマラヤ・ローツェシャール峰(8400m)を登ったある若い登山家は、
「支援がいくつかのスター登山家らだけに注がれ、若い登山家らが新しい形式の登山をすることはできない。先輩登山家らの方式を否定するのでなく、もう物量主義・成果主義方式ではない他の種類の登攀方式が必要だ」
 と語った。

 登攀の多様性が必要とも指摘されている。ビッグウォール登攀、山頂まで歩いてスキーで降りてくる‘テレマークスキー’、自然壁の登攀技術を習得するのに必要な人工壁登攀(スポーツクライミング)等、外国では多様な登攀方式が活性化している。
 ヒマラヤ遠征隊長をした重鎮登山家イ・某(43)氏は
 「国内メディアはスター作りに、登山用品業者は広告効果に汲々としていたのが現実」としながら、「国内の山岳界は画一的な山岳文化」と指摘した。

パク・スジン記者
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当ブログの読者の皆様で、登山に詳しい賢明な方なら、日本、韓国のみならず欧米どこでも、メディアはタイトルのみを重視した登山、スターを作りたがる傾向があることはご存じでしょう。

 日本でも「ウインタークライマースミーティング」に集うような真の実力者はあまりメディアに取り上げられませんが、私は韓国は「登山大国」と認識していただけに玄人向けの登攀も大衆に評価されていると思っていましたが、日本とほぼ同じような状況とは予想外でした。

 誤解していただきたくありませんが、日本のどっかのゴミ拾い屋のようにたいした内容の登山をしていなくても多くのスポンサーを集めるのは、やはり「プロ」としての実力です。

 「8000m14座」や「最高齢」「最年少」というタイトルは「数」として理解されやすく、非常に大衆受けしやすいものです。
 真に困難な登攀者の行為が理解されるためには、当事者の努力が必要とされるのも、また現実でしょう。
 先日亡くなった原真氏の「登山家として生きるための、戦術ではなく戦略を磨け」という意味の言葉はけだし名言ですね。

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