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都合良く造られる「神」と「悪魔」

以前当ブログで、無脳症で生まれた乳児の遺体を「カエルの生まれ変わり」として驚喜するネパールの民衆について、批判的に書きました。

人々に翻弄される「神」

似たような悲劇は、未だネパールで起こっているようです。

Nepalis flock to see 'baby god'  by BBCNEWS8/12
http://news.bbc.co.uk/2/hi/south_asia/8197192.stm
(元記事には先天的な障害を持って生まれた乳児の画像が掲載されています。URLは掲載しますが、私の意志として容易にクリックして見られるようにはリンクさせていません。好んで見てみたいという奇特な方はどうぞ御勝手に)

「神の子」に群がるネパール人、と題された記事は、ネパールの寒村に住むジャヌカ・ギミレが出産した子供について取り上げています。
その子は先天的な障害「寄生性双子( parasitic twin)」として、通常の手足の他に、腹部に脚と手が付いた状態、すなわち4本の腕と4本の脚を持って産まれました。
そして夫妻に何が起こったか。

Ganesh 4本の腕を持つということで、ヒンズー教の神・ガネッシュの生まれ変わりとして沢山のヒンズー教徒が子供を見ようと各地から集まることになりました。その数およそ5000人。多いときには一日に100人ものヒンズー教徒が訪れ、崇拝し、お布施や衣類・食べ物を寄進したそうです。

その一方で、母であるジャヌカ・ギミレは恐れを抱いています。
「夫がいなければ、村人は私を魔女として殺したでしょうに」、と。
村人は迷信深く魔女の存在を信じている、とジャヌカ・ギミレは語っています。
折悪しくモンスーンの到来が遅れ、雨の時期がずれこんでいます。
農業に依存するネパールの村では死活問題。
現に地元のヒンズー僧侶は、雨が降らないのはその子供の呪いだとして、こう語ります。
「百姓はその子のために農業ができない。前世に対する神の呪いだ。」

父親はカトマンズの医療機関で治療を希望しましたが、医師は6ヶ月の診察期間が必要としました。
両親にとって、半年もカトマンズに滞在する余裕はありません。
治療には5万ドルが必要とみられています。

5万ドル。
世界最貧国のネパールの、しかも僻地の農民にとっては生涯年収を遙かに上回る数字です。
それ以前に、障害を持って産まれた子供が人の都合によって「神」にも「悪魔」にもなりうるという現実。

宗教の問題だ。
そう言われるとき、人はそこで思考停止になりがちですが、果たしてそれでいいのでしょうか。

私が仏教徒の家としてそうやって育てられたように、毎夏の盆の墓参りでは、寺に飾ってある「地獄絵図」(スプラッタ映画顔負けの、鬼が人間を切り刻んだりしている絵)を子供に見せ、「食べ物好き嫌いするとこうなるんだよ」と言って聞かせたりしてます。
それを「あなた、それは子供にトラウマを及ぼす虐待行為ですから即刻止めなさい」と言われれば、素直に従えるか自信ありません。
そして私自身、人の二倍も三倍も悩む性格なもんで、「宗教に走って救われたらどんなに楽だろ」と思う時があるのは認めましょう。

それでもなお思うのですが、人の都合で障害児を「神」「悪魔」に仕立て上げる行為が宗教の名の下に繰り広げられるのは許されるんでしょうか。
ネパールには「昔の日本がある」とか「子供達の目が輝いている」などと語る中高年トレッカーは多いですが、現地の人々の人生に深く影響を及ぼす宗教のあり方に、暗澹たる想いを抱かざるを得ません。

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