摩耶山(まやさん)
庄内の隠れた名峰、摩耶山(1020m)へガイド山行。
隠れた、というのは、摩耶山の年間入山者数は約3000人。(山形県学術調査報告書より)
月山や鳥海のように年間数万人が訪れる山域とは格段に登山者が少ないが、山容は険しく、まさに「隠れた」名山である。
先週の雁戸山と同じく旅行社のS氏(JMGA有資格者)とペアを組み引率。
ルートは越沢登山口から、周回コースの往復登山。
昨年の倉沢コースよりも、比較的初心者向けである。
出発前、クライアントの一人から「スパッツ付けていった方がいいですか?」と聞かれたので、沢筋を歩くこと、渡渉を考慮してスパッツ着用を勧める。
数分後、S氏がそのクライアントからスパッツを外すよう指示していたので事情を尋ねると、「暑さ対策」。そのお客様は特に暑さに弱いのだという。
幾度も山行を共にしている顧客との信頼関係あってこその気配り。
本日の山行では「暑さ対策」が後々キーワードになった。
摩耶山の越沢コース、ガイドブックでよく写真が掲載されるハシゴ段を越えた後は、頂上稜線まで延々と登りが続く。
頂上稜線まであと40~50分といったところで、「ちょっと遅れ気味かな」と思っていたお客様が既にバテ気味になっていた。比較的なだらかな場所で急遽休憩タイム。
しんがりを務めるS氏に話したところ、「○○さんですか」と或程度予想していた様子。ツアー出発時、バスに乗り込む際のちょっとした動作から、普段あまり歩かれていないことを見抜いていたという。さらにS氏はバテ気味のお客様の服装チェック。薄手のシャツを重ね着していたので熱がこもらないよう、インナーを脱ぐようS氏は指示。
私はといえば、水分補給と歩くペースばかりに気を取られていた。
バテたお客様はしんがりを務めるS氏に同行してもらい、引き続き頂上稜線めざす。隊列が分かれないよう、さらにペースを落としてひたすら登る。
もうすぐ稜線というところで、無線でS氏から「××さんと△△さんに水分補給させてください」とご指名で水分補給の指示。休憩には不向きな傾斜だが、とりあえず隊列を止め、ご指名の方々に水分補給してもらう。
なるほど、他の参加者に比べて少し疲れ気味の方々である。
短時間の間に顧客の体調と「特徴」を見抜かなければならない、その自分の至らなさに鬱々のまま頂上稜線へ。
ひたすら地味で眺望の無い急登から稜線に抜けると、そこには豪快な眺め-摩耶山でしか望めない、月山、朝日連峰の西側からの景観-が広がる。
それまで疲れた様子のクライアント達の、稜線に抜けて景観を目にした際の感動ぶりに、鬱々の私も元気づけられる想い。
下山。
もうすぐ登山口というところは針葉樹の道。
クライアント達はお疲れの様子だったが、私にとっては杉林の木漏れ日が落ち着ける道のりだった。
登山口に下山したものの、ガイドの基本であるクライアントをよく「観察」することの大切さを痛感、そして本日のガイドの私にはその観察力がまだまだ欠けている現実。
下山のストレッチを皆でやりながら、傾きかけている日差しの中で
『 日 暮 れ て な お 道 遠 し 』
の文字が頭の中をぐるぐる廻ってました。
ところで、
今まで行動食・昼ご飯用ポーチとして使用していたアウトドアリサーチの保温(保冷)バッグを
顧客がお昼食べてる時は顧客の体調や顔色、食欲に気を配らなくちゃいけないし。
私のような三流ガイドも、飯取り出す時くらい癒されたいんですっ。
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コメント
ここ、好きなお山です…初心者コース?と言えども良いところです。
人を観察するって、難しいですよね。
投稿: は。 | 2010.06.08 20:19
re:は。様
<<ここ、好きなお山です…初心者コース?と言えども良いところです。
以前訪れた時、新潟から来ているという方が、もう
年に何度も、登山コースを縦横無尽に組み合わせて登っているとおっしゃってました。この山を愛好される方は多いようですね。
とにかく、あの眺望のきかない登山道から頂上稜線に抜けたときに目前に広がるパノラマは、なかなか他の山では味わえない感動があると思います。
投稿: 聖母峰 | 2010.06.08 22:07
ガイド山行は本当に気を遣いますね!
でも、みんなが故障なく下山できたらうれしいですね。
昨日もありがとうございました。
投稿: S | 2010.06.18 20:10
re:S様
昨日は大変お世話になりました。新たな出会いがあって有意義な夜でした。
また今後ともよろしくお願い申し上げます。
投稿: 聖母峰 | 2010.06.19 01:21