« ジョン・ハーリンⅢ世、スイスで大怪我 | トップページ | アルプスの山岳ガイドの昔話と、今ウルトラスーパーグレートに不愉快な話題。 »

学びを諦めないということ

 国民から視聴料をせしめてはつまらないドラマを制作する上に中国共産党に尻尾を振る売国守銭奴放送局NHKの『地球ドラマチック』(これは海外の選りすぐりのドキュメンタリー番組を放映するから安心して見られるのだ)を視た後、何気なく普段は上から目線の報道姿勢がうざったい『NHKクローズアップ現代』を視る。

 いや良かった!
 夕食取りながら視ていましたが、途中から完全に箸が止まりました。

 NHKクローズアップ現代
 学びをあきらめない~74歳老棋士・最後の闘い~

放送内容は次のとおりです。
以下引用開始
---------------------------------------------
「火の玉流」と呼ばれる攻撃将棋で、現役最高齢74歳まで活躍した棋士・有吉道夫九段が、5月末に引退した。「棋聖(きせい)」を獲得し、史上8人しかいない1000勝も達成した名棋士だが、その記録以上に有吉さんが尊敬を集めているのは、老いても衰えぬ情熱だった。「頭脳の格闘技」と呼ばれ、一局で体重が5キロ減少するとも言われる将棋。体力・気力の衰えから50代で引退する棋士が多いなか、有吉さんは61歳までA級に在籍。A級陥落後も、全棋士の棋譜を集めて最新戦型の研究に没頭。C級陥落後は、孫ほど離れた若手を幾度も蹴散らした。「生涯現役」を貫くには何が必要なのか、有吉さんの引退までの日々を追う。
---------------------------------------------
以上引用おわり

先月の仙台滞在中、熟読したのが棋士・羽生善治氏の著作。
登山における「判断力」の参考書として選んだ本。将棋の勝負を通じての判断力、判断材料、そしてその判断を支える諸々の事について、俺は山で死なねえとか言ってる爺の自慢話よりは大変参考になる本であった。

その絡みで本日の番組を視た。
上記の番組概要には書いてないが、ここ最近の若い棋士はパソコンを駆使して過去の対戦記録を分析、従来の手法とは一線を画した革新的な戦法で戦うため、年配の棋士は歯が立たないという。(将棋の世界でパソコンが大きな役割を果たしていることは羽生氏の著作でも紹介されていた)

注目すべきは、パソコンが使えない有吉九段が選択した修練方法である。
過去からペーパーに記録した将棋の対戦記録というアナログ手法でさらに努力を重ねる、という地道な方法。
そして積極的に若い棋士と徹底的に勝負を繰り返し、ひたすらに努力を重ねるという方法。

 単なる努力・根性称賛番組におわらず、有吉九段は若い頃から地道に論理的な戦法の研究を続けていたことにも触れられていたが、印象的だったのはゲスト解説者として登場した羽生氏の言葉。
 年をとっても勝負の世界に生きるため、プラスになること(経験値を積み重ねること)、マイナスとすること(忘れること、余分なものをそぎ落とすこと)の二つがあるという。マイナスという言葉をネガティブではなくポジティブなワードとして用いていたこともさることながら、さらに学び前進するため「余分なものをそぎ落とす」という発想に名人・羽生善治の哲学を見る想いがした。

 山の世界も同様である。
 昔の技術・常識にとらわれそこから一歩も踏み出せない(一歩前進する余地があることもしらない)糞爺を山の世界ではたまに見かけるわけだが、積極的に新しい知識をとりいれ学ぼうという有吉九段の姿に、とても心うたれるものがあったし、常に知識・技術・経験の積み重ねが要求される山岳ガイドのはしくれとしては大変感銘を受けた。

 再放送の機会があれば、ぜひ山をやっている方にもお薦めする番組である。
 登山を学び続ける人にとって、必ずや何かしら訴えるものがあるはずである。

|

« ジョン・ハーリンⅢ世、スイスで大怪我 | トップページ | アルプスの山岳ガイドの昔話と、今ウルトラスーパーグレートに不愉快な話題。 »

山岳ガイド日記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21370/48829953

この記事へのトラックバック一覧です: 学びを諦めないということ:

« ジョン・ハーリンⅢ世、スイスで大怪我 | トップページ | アルプスの山岳ガイドの昔話と、今ウルトラスーパーグレートに不愉快な話題。 »