« 村山葉山『十部一峠コース』はつまらないコースなのか? | トップページ | 失われた甘味処 »

雷の行方

庄内側から姥沢へ、月山縦走のガイド山行。
本日の山行は、旅行社様の配慮でメテオテック・ラボ社から気象情報の提供を受けての催行。
ちなみにメテオテック・ラボの予報では、「午前中までは天候は保つが、午後から雷発生」という趣旨の内容。
出発時間から考えて、ちょうど頂上を越えた稜線で雷の危険が高い。
幾つもの行動パターンを考えてのスタートとなる。

庄内側、月山八合目駐車場は視界不良の中、出発。
過去幾度か引率させていただいた旅行社のツアーで、参加者もリピーターの方が多い。
先日の蔵王山行を共にしたお客様がおられ、わざわざ私の後ろについて「先日ガイドさんの歩き方がすごく安定して見えたんで、ちょっと教わりたいんです」とおっしゃる。
あまりにも身に余るお言葉である。

 人と違う歩き方といえば、大学山岳部の合宿で一週間+予備日の装備・食糧を背負い、気力の限界を超える時点まで歩かされたことがある。
 そうなると、人間の身体は無意識に「人体にとって最も楽なポジション」をとるようになる。

 そんな風に「野蛮な」方法で身につけた歩き方なので、文登研講師とやらでブイブイ言わせている登攀ガイドのセンセイ方と異なり、あらためて初心者に「山での歩き方」を初歩の初歩から教える「指導力」が身に付いていない、ということを痛感させられる。

 さてメテオテック・ラボの「宣告」を受け、ひたすら耳を澄ませながらの登山。
 ゴゴゴゴと空がうなる。
 よくよく聴けば、ジェット旅客機のエンジン音。
 登山中、二度も飛行機の音に脅かされる。

 山頂では、今シーズンおそらく最後であろうクロユリを堪能。
 山頂から下山間際、雨がパラつく。雷雲の前兆か、とビビリながらお客様に雨具着用を指示。
 そして判断のポイントとなる「牛首」に到着。
 私はここで雷発生はまだない、と判断し、稜線の登山コースを選択。
 雨具着脱、雪渓でのアイゼン着脱などに時間を喰われながらも、雷発生のリスクを考え、休憩は最少におさえ、姥ヶ岳では写真撮影のみとしてすぐに通過させ、リフト乗り場へ下山。
 姥ヶ岳の下降に伴うアイゼン着脱では時間がかかると思い急がせたが、それでも下山はリフト営業終了30分前、16時だった。

 結果的に月山での行動中は雷に遭うことは無かったのだが、メテオ社の名誉のために以下のことは明記しておく。当日の16時より、山形市内は局地的な激しい雷雨となった。まったくの「局地的」な雷雨で、山形市の一部地域では記録的な大雨で浸水被害もでた程だったが、同じ山形市内でも全く降雨の無かった地域もあった。
Ra
登山当日16時の東北電力 落雷情報の画像より

 雷雨の被害を伝える報道を見聞きしながら、とても結果オーライとする気分にはなれない。
 現実に月山登山中に雷には遭遇しなかったものの、メテオテックラボ社の情報を受けながら、リスクの高い稜線コースを選択したのはガイドとしてどうなのか。
 「判断」という行為には「判断材料」が必要なわけで、私が牛首で雷はまだ来ないと判断したのは、観天望気と過去の経験としか言えないのだが、それが適性といえるのか。

 ブログにはポジティブなことを書こう、と最近読んだビジネス啓蒙書にあったのだが、どうしても反省点ばかり多くなる。反省点を重ね、経験値を積み上げて、パーフェクトといえるガイド山行を完遂できる日が来るのだろうか。ネガティブな私には、別れ際のお客様の笑顔が、全てである。

|

« 村山葉山『十部一峠コース』はつまらないコースなのか? | トップページ | 失われた甘味処 »

山岳ガイド日記」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/21370/48805152

この記事へのトラックバック一覧です: 雷の行方:

« 村山葉山『十部一峠コース』はつまらないコースなのか? | トップページ | 失われた甘味処 »