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月山で一番熱い夏・2010

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8月4日夜、月山・志津キャンプ場へ移動。
皆が滞在している一番奥のキャンプサイトめざして、一人夜道を歩いていると、一匹の蛍が目の前を横切る。
数日前から気象情報を収集しつづけていたが、明日は午後から大気の状態が不安定。
蛍の淡い光に、明日の好天を祈る。
ほどなく、山形県朝日少年自然の家夏季チャレンジキャンプ(PDFファイル)に合流。
 残念ながら「ふりかえりの時間」は予定より早めに終わっており、子供達の様子を直接確認することはできなかったが、夜のスタッフミーティングで各班の面倒をみるサポーター(ボランティアスタッフ)から子供達の様子を聞く。
 キャンプも二日目になると、グループになじめない子供、行動に問題が目立つ子の存在もはっきりしてくる。そういった傾向を把握すべく、自然の家の夏季キャンプの登山は前夜のうちに合流しておくのが、私にとって大事。
 パッキングを終え、夜は自然の家所長と同じテントに泊めてもらう。
 眠りかけた頃、外で「すみません」と先生の声が聞こえる。
 テント泊まりでどうしても寝付けない子がおり、私たちのテントで眠ってもらうことになる。

8月5日
 月山の周囲には既にいやらしい積乱雲が見え隠れしているが、とりあえず晴天。
 志津キャンプ場で出発式。ここで私から子供達に月山登山について注意点をお話。

 暑い。
 姥ヶ岳の登りで、既に後ろを歩く女の子二人組は「つかれたー」「あついー」を連発。
 頂上までの往路、この女の子二人組のぼやきとつきあいながらの登山となる。
 本日は暑さとの勝負となる。
 雪渓は絶妙な位置まで融けていた。コースロープ外の数メートル向こうには冷たい雪の塊がある。
 子供達はそれを見て
 「暑いー!あそこまで行きたいー!」と騒ぐ。
 三年前の登山では、子供達に雪渓の上を歩いてもらえたのだが、昨年、今年は雪解けが速い。盛夏の今だからこそ、子供達に山の雪渓を体験してもらいたいのだが、いかんともしがたい。

 姥ヶ岳を越え、頂上までのルートが一望できる場所に来る。
 雲の影が山体を覆う姿を見て、
 「雲の影だ!」と子供達は感激の様子。普段何気なく見過ごしている光景に、子供達が感動している様子を見てあらためて考えさせられる。
 牛首で休憩。遅れた子供一名の様子をみるため、迎えに行く。
 しんがりを務める彦さん(昨年までの自然の家研修担当の先生)が付き添いで歩いてくれていた。後できけば、その子は長袖の体育着の下はランニングシャツだったため長袖を脱ぎたがらず、熱中症気味だったらしい。彦さんが持ち合わせていたTシャツを着せて、なんとか追いついてきた由。普段の中高年ツアーとはまた違った心配りが必要と痛感させられた。

 休憩後、月山登山のクライマックスである「月光坂」の登りにとりかかる。
 すぐ後ろを歩く女の子二人組は「つかれたー!」「もう休む!」とバテ気味。
 写真撮影になると笑顔でポーズをとるので、甘えているのかなと推察していたが、月光坂の登りは辛そうだ。
 「どこまで登ればいいのー?!」
 「どこ頂上なのー!?」
 という彼女たちの言葉に考える。
 彼女たち、子供達には明確に「目に見える」目標が必要なのだ。
 鍛冶小屋跡で小休止をとる。
 鍛冶小屋から頂上まで徒歩で10分もかからない程度の距離、休む必要もないのだが、子供達には「休憩」の欲求を満たすこと、そして「目に見える目標」が必要なのだ。私は内心で「ガス抜き休憩」と思った。
 月光坂の登りでは「あそこが頂上」といっても、ゆるやかな稜線のスカイラインが見えるだけなのだが、鍛冶小屋跡には石垣が見える。
 「みんな、あの石垣まで登れば休憩だよっ!!」と声をかける。
 その言葉につられて、子供達もパワーアップ。
 鍛冶小屋で小休止。
 ここで休憩をとるのは、子供達を休ませるという目的だけではない。遅れ気味の子も合流させ、みんな一緒に頂上に到着させたい、という私の狙いもある。

 頂上広場に到着。
 あれだけ疲労の色を見せていた子たちも、登頂という目標を果たしたことで、写真撮影では笑顔になる。
 ここで昼食。食事中、ずっと周囲の雲の様子を注視する。先生方と協議、予定より早めに下山開始。

 下山では子供達の脚に負担をかけさせないため、短時間毎に休憩を挟む。
 本日の往路はひたすら暑さとの闘いだった。稜線で少し風がふくと皆「すずしい~」と声をあげ、暑さとの闘いで皆の気持ちに余裕もなかったため、花の紹介も一切せず歩き続けた。

 朝日少年自然の家の活動に関わって今年で9年目。
 夏季キャンプの登山の引率を担当させていただくのは3回めになる。
 もっとも、引率といっても私は先頭を歩いてペース作りをするだけで、各班をまとめるサポーター、自然の家の先生方の尽力があってこその登山である。
 ふりかえると、どうしても安全管理の視点から私は子供達に注意してばかりに終始してしまうのだが、もっと山のおもしろさ、自然の妙を伝えることはできないだろうか、と毎年悩む。

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昨年に引き続き、今年もリフト下駅の水飲み場は大盛況。
子供達に水の美味しさを味わってもらえる場所。

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登山を終え、キャンプサイトに戻る子供達。
キャンプサイトに続くこの道を帰る時、私にとって登山引率の達成感が沸いてくる時でもある。

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