【映画】ザ・コーヴをみた。
※この記事にはネタバレが含まれます。
明日から東日本巡業の旅が始まるのだが、家庭団欒は放り投げて映画『The Cove』をみた。
この映画に関する公開前からの様々な話題・騒動については省略する。
映画は、アメリカのTV映画『わんぱくフリッパー』の調教師だったリック・オバリーを中心に、海洋保全協会(Oceanic Preservation Society, OPS)なる団体の設立者でこの映画監督のルイ・シホヨス、各方面から集められた映画作成スタッフの動向、そして話題を呼んだ「盗撮」による映像で構成されている。
私は政治志向としては保守的なスタンスにあり、環境保護の仮面を被った犯罪者集団グリーンピースやシーシェパード等の環境テロリストには批判的な考えを持つ。
公開前からの「公開反対」という論調は全く理解できなかった。
まず映画を見てみたい。議論と思考はそこから始まる。
とはいえ、性格悪そうな雪氷学会員が書いているsnowなんとかいうブログと異なり、私は理路整然とした論理を記述する能力は欠落しているので、感情の赴くまま感想を書きたい。
もう各所で語り尽くされている論調ではあるが、ドキュメンタリーの仮面を被ったプロパガンダである。
皮肉なことに私はシーシェパードの「教祖」ポール・ワトソンと全く同様に、
『人間社会においてメディアに客観的報道など存在しない』
(※扶桑社刊『シー・シェパードの正体』より引用)
と考えている。
劇中、撮影隊に参加したフリーダイバーの女性がイルカ漁の現場を目の当たりにして涙ぐむ場面がある。そこで地元、太地町の漁師達の談笑の笑い声が強調される、巧妙な演出が加えられていることに気が付いた。
日本のIWC代表、水産庁担当者が画面に現れるとコミカルな音楽が流れる。
万事、そんな演出がなされている。
もっとも、そんな映画手法に関することは本質的なことではない。
映画を見終わり思ったこと。
撮影隊は長い時間をかけて地元漁協のパトロール体制を下調べし、偵察を繰り返し、盗撮を敢行する。
その手間の十分の一でも、イルカ漁にたずさわる人間へのインタビューに時間と手間をさけなかったのか?なぜ彼らはイルカにばかり目を向けて「人」を理解しようとしないのか?
その答えは別エントリーで書くが、扶桑社刊『シー・シェパードの正体』に書いてある。
結局、この映画に関わる人たちはイルカの声は聴けても、黄色いサルどもの声など聴く耳もたないということだろう。
映画のクライマックス、「入り江」はイルカ漁で流された血で真っ赤に染まった海が幾度も映し出される。
ヒーローをもり立てるBGMと共に、太地町のイルカ漁で鮮血に染まった海の映像を映し出している液晶モニターを身体に付けたリック・オバリーがIWC総会会場に乗り込み、英雄的な姿としてスクリーンに映し出される。
事実誤認・詐称のツッコミどころはあれど、巧いプロパガンダ映画である。
本日の私の目的は二つ。
映画を見ること。
もう一つはエンドロールを見ること。
この映画の協賛企業、イコール環境テロリスト支援企業の名を知りたかったが、残念ながらエンドロールに流れていた(私が確認できた)のはほとんどが個人名または研究機関名であった。
劇中、日本人への該当インタビュー場面があり、
一般市民の回答「イルカ漁なんて知りません」
↓
日本政府の隠蔽だ
というお笑いな論理をリック・オバリーらは展開するわけだが、日本人の大部分が知らないのに「伝統・文化」といわれても困る、とは勝手に困ってろよ右翼の鈴木邦男。広く知られていない伝統・文化なんて日本にも海外にも、それこそ無数にあるはずなんですが。
この映画は、あの鮮血に染まった海の場面が全てである。
もしイルカの屠殺が牛のように電気ショックで行われるものであるならば、この映画は成り立たなかっただろう。
この映画をみて「やはりイルカ漁は残虐だ、止めるべきだ」と思われた脳味噌が7月の飯豊連峰なみにお花畑な方々には、ぜひともドイツ映画『いのちの食べかた』をご覧になることを 強 く おすすめする。
その他、この映画の問題点についてはウィキペディアでもご覧下さい。
所詮はバカに付ける薬は無い毛唐どものプロパガンダ映画ですから、うそ・おおげさ・まぎらわしいは別に珍しくもないでしょう。
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