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壁ガール

韓国の山岳雑誌『山』より、女性二人でクライミングジムを開設した山岳部OBたちの物語です。

キム・インギョン、ムン・ジヨン氏、100坪規模のクライミングジム「マッドジム」開設 by 月刊山6月号

以下引用開始
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[話題] キム・インギョン、ムン・ジヨン氏、100坪規模のクライミングジム「マッドジム」開設
 徳星(トクソン)女子大山岳部OBがクライミングジムを作る

ソウル、衿川区(クムチョング)、禿山洞(トクサンドン)にクライミングジムが誕生した。

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「頭の中に描いた姿そのままのマッドジムが完成して、とてもうれしい」というキム・インギョン氏(後)とムン・ジヨン氏(前)

 5月13日クライマー達の祝福の中で開場したマッドジム(Mad Gym)がそれだ。 広さ303㎡(100坪)の室内空間に242㎡(約80坪)規模の人工壁が整備され、付属施設としてトレーニング室・男女シャワールーム・休憩室などが備えられている。
 このジム開設には、徳星女子大山岳部出身のキム・インギョン(35)、ムン・ジヨン(34)、徳星女子大山岳部の先輩・後輩の間柄の二人の女性クライマーが明け方から深夜12時近くまで一月間このジム開設に関わったが、構想は1年前にさかのぼる。

1年前から構想…一月間の工事で完成

 外壁工事に1枚当たり約1坪大(244×122cm)の合板170枚を用いたマッドジムの特徴は、断熱と換気のために建物の壁と70cmの空間を置いて人工壁を建設した。それぞれ40坪規模のボルダー壁と持久力向上および講習用スペースに分かれているという点だ。 5ブロックで構成されたボルダー壁は多様な角度と形の壁で構成されている。スポーツクライミングに入門したばかりの初級者用の95~110度の壁、カンテ、中級者用のルーフ、そして高水準のクライマーがトレーニングできる幅広いルーフも設けた。

 合板3枚をなめらかに連結して他の構造物を簡単に付けることができるルーフ壁はマッドジムが心血を注いだ壁だ。人工壁の床には30cm厚のマットの他に移動式の補助マットが敷かれているが、墜落の危険を考え、天井には人工ホールドは付けなかった。

 マッドジムが最も気を遣った空間は‘持久力向上および講習用スペース’だ。 95度の初級壁(4.5m),110~120度の中級壁(4.5m),145~160度の上級壁(4.5m),80~180度のルーフ(6m)で構成されたこの空間は、何より講習を目的とする。 教育中に他の会員に邪魔されないために入口も狭くさせておいた。

‘クライミングにハマった人々の人工壁(Mad for Climbing in Gymnasium)’という意味のマッドジムは韓国女性山岳会会長であるペ・ギョンミ(徳星女子大OB・アジア山岳連盟事務局長・大韓山岳連盟国際交流理事)氏が夫キム・テサム氏とともに武橋洞(ムギョドン)で運営したクライミングジムの名前だ。

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(左)マッドジム ボルダー壁. 他の人工構造物を付けられるようにルーフの作りを単純ながらも長くした。 (右)名称は大学の先輩が運営していたクライミングジムの名前をそのまま使った。

「私どもがいつも尊敬しておりましたペ・ギョンミ先輩にお願いしました。「マッドジム」の名前を使わせて下さいとお願いしたところ、快く許諾してくださいました。全国の色々なジムを直接視察してみて、また、ウェブサイトを通じて外国のクライミングジムも几帳面に調べました。 数百枚の写真をひろげて断面図と3D映像を比較しながら設計しました。 頭の中で構想した設計図面と同じクライミングジムが作られてとてもうれしいです。」

 開設を2日前に控えた真っ最中、電気工事中のマッドジムで会ったキム・インギョン氏とムン・ジヨン氏は“女二人で男たちを相手にしなければならないクライミングジム建設には苦労が多い”と話した。 ホールドを無償で提供するといってくれていた人が約束を破ったりとしたことが最もあきれたことだったし、大工をはじめとして男でさえ扱いにくい建築職人を相手にするのも非常に難しいことだった。

「多分女二人で80坪の室内にクライミングジムを作ったのは私たちが初めてでしょう。 初めには資金に合わせて60坪程度のジムを考えましたが、ある人がホールドを無償でくれるといってくれたので100坪に増やしたのです。 ところが突然申し訳ないという言葉もなしに約束を破られたせいで、あきれたし坪数を減らすか悩みもしました。 ところが‘金に悩まず堂々と進めなさい’と助けてくださる方々が周辺にたくさんおられました。儲かったら返してくれればよいとのことでした。設計から看板、電気工事に至るまで多くの部分を中東(チュンドン)高校OBの先輩らが助けてくださいました。 大韓山岳連盟イ・インジョン会長は「徳星女子大出身生は本当に過激だね」としながら封筒を渡したりもされましたし。 そのような良い先輩らのおかげで岩漿工事をしながら希望という言葉が頭の中にいつも浮び上がりました。」

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「マッドジムを最高のトレーニング場に作る」と抱負を語るキム・インギョン氏(右)とムン・ジヨン氏(左)

 キム・インギョン氏は女性クライマーとしては高齢といえる30代半ばで10代、20代の後輩らと技量を競い昨年アジアンチャンピオンシップで総合3位を占めたことがある。 当時「総合5位が目標だったので本当にトップに躍り出たような気持ちだった」というキム・インギョン氏は20代後半にスポーツクライミングに入門する前まではヒマラヤ高山登攀の夢を育んできた。 その夢が1997年大学山岳連盟ガッシャブルム2峰遠征で実現するかと思われたが、そこでは死の恐怖を体験しなければならなかった。

「クレバスを踏み抜いて15mも落ちましたが、運良くひっかかりました。ところで気がついてみるとだんだんずり落ちていくんです。生きのびなきゃと考えて壁をつかもうとしましたが、なめらかな氷壁が手でつかめるわけありません。爪でずっとひっかくばかりだったんですよ。 救助されるまで五時間はかかりましたか。日中転落して、真夜中に脱出できたからです。クレバスから抜け出した瞬間、そのまま失神しました。 疲れきっていたんでしょう。」

 そんなにすさまじい状況を体験したのに6年後の2003年、また再び高所登山に挑戦した。 今度は北米最高峰マッキンリーであった。 その登攀では、暴風雪のために撤収している間に後輩隊員が事故に遭い、登頂の夢は成し遂げられなかった。 帰国後キム・インギョン氏はスポーツクライミングに熱中した。 遠征トレーニングの一環として、平衡感覚を育てるために試みた人工壁でのクライミングに魅力を感じたためだ。

「本当に昼夜別なく狂ったように運動しました。 ネルソンスポーツに勤めていた時は夜明けに二時間ずつウェートトレーニングをして退社後夕方8時からジムが閉まる時まで運動をしました。 そこに飽き足りなくて会社を辞めておよそ1年間最初からスポーツクライミングだけに専念したんです。」

 キム・インギョンは学問に対する情熱も高く、大学専攻(会計学)と関係がない社会体育学を勉強するために延世大学社会体育学課に学士編入し、昨年は韓国体育大学で‘アルパインポールの使用が下肢モーメントに及ぼす影響’という論文で修士学位を受けることができた。
 キム・インギョンは体系的な訓練を通じて自分に足りない部分を補い、粘り強いクライミングコンペ参加を通じて自分の欠点を把握して訓練を重ね克服してきた現役スポーツクライマーでもある一方、スポーツクライミングの指導者としても活発に活動してきた。 コーロン登山学校実技講師、韓国登山支援センター諮問委員、大学山岳連盟スポーツクライミング委員、登山アカデミー代表講師などで活動しているキム・インギョン氏は慶煕(キョンヒ)大でスポーツクライミング講義を受け持っていて、時々高麗(コリョ)大でも講義する。

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快適な環境のシャワールーム内部. (右)80人が利用できるロッカー

 キム・インギョン氏は“人々に教え、彼らを通じてフィードバックを得て、また高年齢の方々が熱心に訓練する姿を見ながら生き方を学ぶ”として“教育を天職だと考える”と話した。 後輩で‘同僚’にしたムン・ジヨン氏は、マッドジムで運営と管理を主な業務とするが、教育に対する情熱はひけをとらない。 大学で数学を専攻して最近まで数学講師として生活してきたムン氏は大学2学年の時、山岳部を止めた後はハイキングだけ楽しんできた。

 そうするうちに先輩キム・インギョン氏が韓国体育大学大学院に通いながら、ムン氏はクライミングに興味を持った。当時、韓国体育大まで通おうとすればとても遠いため悩んでいる間、数学講師として生活している後輩ムン・ジヨン氏が学校近くに住むという事実にハッと思い浮かんだ。キム・インギョン氏がムン・ジヨン氏に掲げた条件が「居候として暮らす代わりにスポーツクライミングを教える」とのことだった。

 「数学の問題を解いて死ぬのが夢」と話す程に数学が好きだというムン・ジヨン氏は懸垂一つまともにできない体力だった。 だが、やればやるほど面白味が出てきた。 クライミングがあたかもパズル ゲームをする感じだったのだ。クライミングジムでムーブの課題が解けないで家に帰ってくると、天井にホールドを書いてイメージクライミングしたりした。 そのようにますますクライミングにハマる頃、キム・インギョン氏はまた他の提案を出した。 それがマッドジムだった。

 二人はそれぞれ違った分野でジムを運営する計画だ。 ムン・ジヨン氏が運営と管理の責任者、キム・インギョン氏は講習と広報を担当する。1週間に1回ずつ、運動を通じて体脂肪量を確認して能力をチェックした後に次の課題を提示する‘運動処方班’、1週間に2回ずつ運動を通じてストレッチング能力を向上させ腹部・臀部・下肢・脊椎起立筋で成り立ったパワーゾーンを強化させる‘ストレッチング・パワークライミング班’、クライミングに必要な筋力を鍛練させる‘体力トレーニング班’等の教育プログラムも作った。

最高のスポーツクライミング教育場を作るのが夢

 ソウルだけでなく安養(アンヤン)・水原(スウォン)・仁川(インチョン)からアプローチがやさしい電車1号線禿山(トクサン)駅から3分の距離に位置して多くの人が利用すると期待しているキム・インギョン氏とムン・ジヨン氏は「将来的にはプログラムもより一層多様に開発して、一般人のためのダイエット班、幼児班、中高校生のための特別活動班も作るつもり」としながら“マッドジムが最高の教育場にするのが最初の夢ならば、2号店、3号店と拡げるのが二番目の夢”と明らかにした。

 「スポーツクライミングをする青少年らがますます増える傾向です。 ところが全員が選手として成功するわけでは
ありません。全員が良い成績をおさめて大学に進学できるわけではありません。熱心にスポーツに励んできた後輩たちに働き口を与えたいんです。 自身が積み重ねたノウハウを土台に、マッドジムでトレーナーとして活動しますよ。」
 キム・インギョン氏は「すべてのことを生産的に考えて前進するのが、私どもを助けてくださった先輩方に報いる方法だと考えています」と覚悟を固めた。
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以上引用おわり

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