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有朋自遠方来不亦楽乎

台風が温帯低気圧に変わったとはいえ、グズグズ天気の日曜。
南蔵王の某登山道が新たに整備されたという情報をキャッチ。
左肩胛骨の痛みは残るが、鎮痛剤を服用、整備された登山道を確認すべく、高速道で蔵王連峰を越え宮城側へ。
宮城に抜けしばらくしたところで、携帯が鳴る。
ああ~ん?
性格極悪で携帯でおしゃべりするような友達もいない私、悪い知らせに違いないと車を停め、携帯をひらいたところ、韓国でお世話になっている申さんから。
「オレガンマニムニダ~」
時間はあるかと聞かれたので、ありますよと答えると、あと2時間後、11時着の新幹線で山形駅に到着されるという。

このときの私の心象風景↓
Coffee
『探偵物語』で珈琲ブワッな優作ちゃん

本日の予定はすべて変更、山に行く格好のまま、山形駅へ向かう。
入場券で新幹線ホームに立つ。
11時山形着の新幹線が到着。
車体から一斉に降りてくる多くの人の中で、頭一つ抜けて背の高い人物が見える。
大韓山岳連盟・京機道山岳連盟理事の申さんだ。
見覚えのある笑顔に、ほっとする。

 申さんは製造関係のビジネスに関わり頻繁に日本に出張されているのだが、出張先は東京・名古屋など大都市方面と伺っていた。
 聞けば、私に会うためわざわざ東京から山形を訪れてくれたという。
 台風も前後する悪天の中、大変恐縮する。

 とりあえず落ち着ける、食事できる場所へ向かう。
 申さんはラーメン・うどんが好みだというが、最近山形に乱立している讃岐うどんの店はいささかチープすぎる。山形市内の本格韓国料理店は知っているが、いざ韓国の方をお連れする自信は無い。「山形はラーメン有名ですか?」と聞かれる。たしかに山形はラーメンで売り出しているが、当たりはずれが大きいのでこれまたリスキーである。
 結局、以前に私が会社の会長に連れて行ってもらった高級トンカツ屋にお連れする。

 車の移動や食事しながら、話題は韓国の登山界から幅広く韓国のスポーツ事情まで。
 ちょっと意外だったのは、韓国のクライミング競技人口は層が薄い、とおっしゃっていた。
 日本のクライマーならご存じ、キム・ジャインやソン・サンウォンら上位陣が圧倒的な強さを誇っていることは、底辺拡大にはつながっていないという。申さんは日本のコンペクライマーの名前を挙げ、層の厚さを指摘されていた。申さんは私の当ブログも時折ご覧になっており、先日紹介したハン・スランさんの父上は申さんの後輩にあたるという。どうも、山の世界は狭いものである。

 子供の玩具・本であまりに散らかった惨状に呆れられながらも、私の自宅で珈琲を飲み休憩。
 壁に貼ってあった幼稚園の行事予定表から、教育の話題に話しが飛ぶ。

 申さんとの出会いは、私が無謀にも韓国語もろくに話せぬまま、ソウルのグォンギョル登山学校に押しかけ入校したことがきっかけ。初めての韓国訪問の日、申さんのご自宅に泊めていただいたり、登山学校で重要な講習の日には通訳していただいたりした。そのとき小さかった娘さんも、今は中学生だという。

 晴れていれば車をすっ飛ばして近くの山に向かいたいのだが、あいにく台風接近中。
 山形市内にあるクライミングジム「デッドポイント」に一緒に行く。
 倉庫を改装したジムの駐車場に入ると、申さんの眼はもう輝いている。
 「いや~、こういう建物が理想なんですよ~」
 
 申さんは韓国の水原(スウォン)でクライミングジム『Cruxzone』を運営している。
Crux
 クライミングジム「Cruxzone」の様子

初めて出会ったときから「日本のPUMPみたいなジムが目標です」と熱く語っておられた。
 いろんなクライミングジムをまわってきているが、倉庫を改装したタイプのジムを視察するのは初めてだという。
 「アメリカ風のジムですね」と、ジムの広い空間、人工壁を熱心にご覧になっていた。
 帰り際も、壁の裏側の構造を熱心に観察している。韓国では溶接で鉄骨を組み合わせるため、結構人工壁の設営は大変らしい。

 ああ、こんなに喜ばれるのであれば、はじめからデッドポイントに寄ればよかった。
 グォンギョル登山学校の経験を経て、インスボン、雪岳山を登るために幾度か渡韓したが、いずれも申さんと山行を共にしていただいた。一時期はクライミングジムの運営を専業とされていたが、その後、今の会社に再就職されている。その辺の事情は、私もちょっと遠慮して聞くことが出来ない。近年はなかなかお会いする機会が無かったのだが、故・ゴー・ミスンの事故やオ・ウンソン女史の件、その他韓国の登山事情について、ときおりメールで情報をやりとりしていただいている。

 山形市内を車で走っている途中、
 「いつかはPUMPみたいなジムに、大きなジムにしたいですね」
 と語る。
 ああ、申さんは出会った頃と変わらないなあ。
 韓国人ということを意識する前に、クライミングジム運営という目標に向かっている姿が私にとって何より尊敬できるのだった。

 「いや大滝さんに会えればいいんですよ」
 と、申さんは15時前の新幹線臨時便で再び東京へと戻られた。
 日本のビールは韓国のそれよりも美味しいらしい。
 「缶ビール飲みながら、帰ります」

 海外の方も認めるジムが地元にありながら、ちっともトレーニングしない自分に反省。
 雪岳山のリッジクライミングで、申さんと共に見晴らしの良い岩場でビールを飲んだ日を思い起こしながら、笑顔でホームへと去っていく申さんを見送った。

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