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『チョコレートの真実』 それでも私はコンビニでチョコを買う。

Ck キャロル・オフ著 北村陽子訳 『チョコレートの真実』。
 あまりにも密度の濃い内容に、読むのに時間がかかる。
 チョコレートの原料となるカカオ。
 カカオ豆の人類との接点から、スペイン人の南米遠征によってヨーロッパにもたらされ、さらにアメリカに渡り製菓ビジネスにその価値が委ねられていく過程で、今現在もなお搾取されているカカオ生産現場の凄惨な状況を 冷 静 に 描いた本。
 素晴らしいのは、その情報量もさることながら、あくまでも冷静に、冷徹に壮大なカカオ豆と人間との関わりをレポートしていることだ。
 感情的・扇情的なNPOあたりのババアが書いたレポートとは雲泥の差である。

 カカオ豆の生産現場といえば、今流行の「フェアトレード」を思い浮かべる方もおられるだろう。
 同書では、巨大アグリビジネスに巻き込まれるフェアトレードの「現実」もあますことなく描いている。

 途中まで読み進めて気がついたのだが、これはカカオ豆の生産現場を訴えるだけの本ではない。
 カカオ豆という農産物に翻弄される、人間の姿を描いた第一級のルポルタージュである。

 20世紀初頭、アメリカでチョコレート王(同書での呼び名)、ミルトン・ハーシーはチョコレート他の製菓業を成功させ、企業城下町、その財力でもって従業員のために理想的な街ひとつを創り上げてしまう。しかし、労働組合設立という時流には勝てず、やがて街も従業員の結束も、無惨に崩壊していく。

 そう、この本はカカオ豆を通じて人間の姿を描いているのだ。
 あのアフリカ独立運動の父といわれるエンクルマも登場する。アグリビジネスに翻弄されるピエロとして。
 
 同書の後半はアフリカ、コートジボワールでの悲惨な現場の報告である。カカオを巡るシンジケートの前に、ジャーナリストの命すら簡単に消されてしまう現実。
 
 チョコレートという1つの食品に関わる本として、ぜひ老若男女問わずオススメしたい。

 さて、この本を読んだ方は読後、チョコを食べる気になるだろうか。

 私は表題のとおり、今までと変わらず、コンビニで、スーパーで、喰いたければチョコを買うだろう。(消耗の激しい現場で、たまにチョコ喰いたくなるのだ。)フェアトレードのチョコを買う余裕など、私には無い。
 
 こういう問題で始末におえないのは、東京電力から相応に電気の恩恵を受け取っておきながら原発反対とお気楽に叫んでいる某山岳ライターとか、中国と結びつきを強めている雑誌「ソトコト」読んでおきながら「中国産食品は・・・」とかロハスとか語る 偽 善 者 どもである。
 表面だけつくろってオナニーするのは、いかに楽ちんなことでしょう。

 以前読んだマリ・クレール誌で土屋アンナが「自分はエコのためにコンビニは利用しない」と公言していたが、そりゃ年収5000万を誇るモデル嬢なら可能でしょう。身の丈にあったエゴあいやエコとやらを実践する分には、どうぞ御勝手に。
 
 はっきり言って、貧乏な土木作業員の私としてはコンビニは有り難い施設であるし、子供を喜ばせるために自分の疲れをいやすために、チョコは遠慮無く買い求めますよ。
 しかし同書で突きつけられるあまりにも暗澹たる世界と現実。
 子供達には、いつか私も含めて自分たちが食べている食品を支えている世界のことを、 必 ず 話してあげたい、と考えます。
 そんなことを考えさせる本でありました。

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