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被災地日記 4月22日

陸前高田に来て三日目。
小学校の現場を撤収。
その次は、学校から眼下に広がっていた、津波で全滅した谷間。

その谷には巨大な水産加工場、冷凍倉庫があった(過去形)。
何万もの水産物が谷間に沿って津波に流され、1km以上にわたってガレキと廃材に混じり、恐ろしいまでの悪臭を放っている。

まさにその腐った魚が散乱した谷間が、次の作業現場。
作業自体は三日ぶりに戻ってきた次の作業班が担当するのだが、機械や資機材設営は私達の作業班と合同で行う。

資機材を積んだトラックで谷間に降りる。
腐った荒巻鮭、腐った無数のサンマが足の踏み場も無いほどに泥に埋もれている。
ちょうど機械を下ろしたところになにやら塊がある。
腐った筋子の山だった。

ひどい悪臭とともに、それら水産物を空から狙うウミネコの大群が空を舞い、ミャアミャアと耳障り。
天候は小雨。
頻繁に使うべき言葉ではないが、「地獄」という言葉を思い浮かべる。

先週、政府の復興会議に登用された赤坂憲雄氏の言葉を山形新聞で読んだ。
既に退職されたが、長いこと山形の東北芸工大で活動していることもあるのだろう、山形新聞では赤坂氏の言動にウエイトを置いて報道している。

「格好のいい言葉は誰でも言える。復興に必要なのは、泥と汗にまみれて現場作業する人間。」

報道される赤坂氏のコメントに対し、私はそう思っていた。

ひととおり現場の段取りが進み、私達の作業班はいったん山形に戻ることになった。
荷物をまとめるため、現場から道路向かいの駐車帯にわたろうとした時、私は見た。

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もう日も暮れた夕刻。
大量の魚の死骸にまみれた谷筋の国道に、ウミネコの死骸。
近づいてみる。
車にでもぶつかったのだろう、口から真っ赤な鮮血を吐いて死んでいた。

大量の腐った水産物、路上のウミネコ、そしてここでは、未だに行方不明の人間も数多い。
あまりにも死に満ちた世界。

無力感とともに感じた事。
やはり、メディアが報じるようなヒーローは、被災地には要らない。
人がそれぞれの立場で、やれることをやるしかない。
赤坂氏のような研究者は、研究者の立場で。
私のような役立たず社員は、それなりに。

今生きている我々も、目の前のウミネコや腐った魚のように、いつかは死んで朽ちていく、小さすぎる存在なのだから。

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